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魔王と勇者と厄災の魔女  作者: いわなです
第1章『厄災の魔女』という名の少女
6/15

『厄災の魔女』わかった

初感想と初ブックマークいただきました。

ありがとうございます、頑張ります。

 ティナスと暮らし始めてもう十日もたった。

 お家の中ってすごいね。水晶がたくさんあって、森の中をどこでも映せるの。ティナスがこれで人が来たらわかるんだって言ってた。森に入る時もだけど、まじょが見たことない魔法だった。

 それにまじょ、魔法上手なのに同じことできなかったの。どうしてってティナスに聞いたら、何か難しい顔して教えてくれなかった。


 でもね、ティナスまじょにいっぱい教えてくれたの。まじょの魔法すっごくすごいんだって。普通は長い呪文とか色々必要だって言ってた。ユウくん言ってた通り、まじょ、魔法上手だった。でも、ユウくんも長い呪文なんて言ってなかったから、ユウくんも魔法上手なのかな。

 あと、寝る前におやすみって言ったり、まじょとティナスが別の部屋使ったり、台所やお風呂の使い方も教えてくれたの。

 ユウくんの教えてくれなかったことも、いっぱい教えてくれたの。


 ユウくんはまだ会いに来ない。いつになったら来るのかな。こんなに会ってないの初めてだから、まじょわかんない。ティナスに聞いてもわからない、来ないかもしれないよって。早くしないとまじょ、おばあちゃんになっちゃう?ユウくん、まじょのこと見てもわからなくなっちゃう?でもまじょ、待ってるってユウくんに言ったもん。だからまじょ、待つために魔法使う。


「ずっとずっと止まれ、解けることなく。」


 これでまじょ、大きくならない。ユウくんにわかってもらえる。ユウくんが会いに来るまで、ずっと待てる。



「ティナスおはよう。」


「おう、おはよう。今日はやけに元気いいな。」


「まじょね、ユウくんのことちゃんと待てるようになったの。ユウくんが会いに来るの十年かかっても、百年かかっても、まじょのことわかるの。」


「どういうことだ?」


「まじょの成長止まったの。だから、ユウくんまじょのことわかるの。」


「…」


 ティナス、黙っちゃった。驚いてるけど、それだけじゃない。怖い顔してる。


「ティナス、どうしたの?」


「自分の時を止めたのか?」


 ティナス、怒ってるの?でも、どうして?


「うん、まじょの魔法で止まれってやったの。」


「…お前は、それがどういうことかわかって、いないのか。」


 どういうことって、どういうこと?


「まじょ、ユウくんのこと待ってるんだよ。だから、止めたの。それだけ。」


「…」


 ティナス、もう怒ってないみたいだけど、変な顔してる。ティナス、まじょと話す時にたまに変な顔する。


「ティナス、」


「お前は、ユウが、俺が時を重ね、年老いても一人で子供のまま…俺たちが死んだあとも変わらず、そのままであり続けなければならないことを、『厄災の魔女』、お前はわかっているのか?」


 ティナス、初めてまじょのこと名前で呼んでくれた。


 でもわかんない。まじょ、大きくなったから遠くに来てもいいの。一人でなんでもできる。まじょ、もう子供じゃないよ。ユウくんが、ティナスが死ぬ?死ぬってどうして?誰かが殺すの?ティナスの言ってること、たまにわからない。ユウくんはそんな難しいこと言わなかった。


「じゃあ、ティナスとユウくんもまじょが止める。それならずっと一緒。まじょ、子供じゃない。ティナスもユウくんも死んじゃダメ。」


「…『厄災の魔女』、か。いいか、そういうことじゃない。まず、人の時を止めてはいけないんだ。人は孤独のまま、永遠に生きることはできない。ユウには家族がいるだろう。親兄弟、友、恋人、周りの誰もが死にゆく中、自分だけが生きていくことになるんだ。そんな運命を人に背負わせてはいけない。」


 家族ってお父さんとお母さん?友ってユウくん?恋人?どうして生きていけないの?まじょは、ユウくんとティナスいたら大丈夫だよ。ユウくんとティナスは違うの?自分だけじゃないよ、まじょ一緒にいるよ?


「まじょが一緒にいてもダメなの?他の人も止めれば良いの?まじょとティナス、一緒にいたら孤独じゃないよ。」


 ティナス、わからないことばっかり。まじょ、ユウくんにそんなこと教えてもらってない。


「…」


 ティナス、バイバイしたときのユウくんと同じ顔してる。笑ってるのに弱々しくて、いつもと何か違う。


「ティナスも、バイバイするの?」


「いや…そろそろ朝食にするか。待ってろ、もう作ってあるからすぐに準備する。」


 ティナス行っちゃうの?


「ティナス、待って。」


 ティナスの服掴んじゃった。どうしたら良いのかな?やっぱりバイバイするのかな?


「大丈夫だ。えー、俺はここにいる。だからほら、泣くんじゃない。ここでユウを待つんだろう?」


 泣く?まじょ、泣いてるの?これが涙?すごくしょっぱくて、ティナスがぐにゃぐにゃしてる。


「まじょ、泣いたの初めて。ティナスと一緒、初めてばっかり。」


「…子供なんだから、泣くのが普通なんだ。今、お前は多分寂しいんだろう。…俺がいなくなったら嫌だと思うか?なら、それが寂しいだ。今はそれだけわかればいい。」


 寂しい。ティナスいなくなるの嫌だから、まじょ寂しい。


「うん、わかった。でも、まじょ子供じゃない。でも、まじょ寂しい。だからティナス、ずっと一緒?ここにいる?」


「ああ、俺はここにいる。ほら、いい加減に泣き止め。朝食の準備が終わるまでに、泣き止めよ。」


「うん、わかった。」


 ティナス、すごく笑ってた。

 ティナス、ユウくんみたい。ユウくんも、まじょがわかったって言ったら笑ってくれる。でもティナス、ユウくんの教えてくれなかったことも、いっぱい教えてくれる。まじょ、寂しいがわかった。まじょ、ティナスいないと寂しい。ユウくんみたいにバイバイしたくない。

 あれ、ユウくんとはバイバイしても寂しくない?嫌だって思ったよね、でも泣いてない?でもまじょ、ユウくん会いに来るの待ってる。


「?ティナスに聞いたらわかるかな。」


 そういえばまじょが止めたのも、もういいのかな。


「準備できたぞ。まだ泣いてるのか?」


「大丈夫、今行くー。」


 でも、まずはご飯。ティナスの料理、ユウくんのよりもおいしいの。


「「いただきます。」」

変態さん疑惑を退けたティナス、ロリコン疑惑浮上

違うよ(多分)

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