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魔王と勇者と厄災の魔女  作者: いわなです
第1章『厄災の魔女』という名の少女
3/15

『厄災の魔女』は殺さない

書いてすぐに読んでくださる方、いらっしゃるんですね。

ありがとうございます。

 歩いて歩いて、一日が過ぎた。

 その時やっと腕のけがを思い出した。いつの間にか、血は固まってた。まじょはあわてて後ろを振り向いたけど、血は垂れてなかった。


「良かった。」


 名前を呼んでもらって浮かれちゃったのかな。気を付けないと。そういえば、何も持たずに来ちゃったけど、まあなんとかなるよね。


「治れ。」


 まじょは魔法が上手だから、大丈夫。お金があってもまじょは村に行けないし、飲み物は魔法で水を出せる。服は材料さえあれば魔法で作れるし、食べ物は自然のものを今までもずっと食べてきた。方角は太陽を見ればわかるって、ユウくんに教えてもらったことがある。


「水出ろ。」


 治した腕に着いた血を洗い流す。


「うん、やっぱり大丈夫。」


 けがも食べ物も飲み物も服も、なんにも心配することはない。


「でも、ユウくんは逃げろって言ってた。何から逃げるのか聞くの忘れちゃった。」


 人には会わない方が良いのかな。なら、魔法で姿を見えなくすらば問題ないはず。


「消えろ。」


 これでよし。あ、見えないなら空を飛んでも大丈夫だよね。


「浮け。」


 これならきっと、すぐに黒い森に着けるはず。どんなところかな。ユウくんは行ったことがあるのかな。そういえば、まじょは小さいから遠くに行っちゃダメって、前にユウくん言ってたのに、もうまじょ十歳くらいだから良いのかな。

 そういえば、黒い森ってどれくらい遠いのかな。見たらすぐにわかるのかな。木が黒いのかな、空気が黒いのかな。


「なんにも聞かずに来ちゃったなあ。」


 ずっと考えてたら疲れちゃったし、一回降りて休憩しよう。


「ふう、まじょは魔法上手だけど、ずっとはしんどい。」


 周りは草原でまじょ以外は誰もいない。これなら大丈夫かな。


「解けろ。」


 何か食べ物があったらいいな。あ、向こうに木がいっぱいある。

 これ食べられるのかな。赤くて丸い実と黒くて固そうな実が成っている。赤いのは甘酸っぱくて、黒いのは中が白くて甘過ぎる。けどまあ、とにかくお腹はいっぱいになったから大丈夫。


「そろそろ出発だね、浮け。」


 高いところを飛んでるのに、黒い森は全く見えてない。方向をもう一度確認した方がいいのかな。


 ジュッ


 まじょのすぐそばに魔法が飛んできた。下を見ると、四、五人の男たちがまじょに杖や弓を向けている。


「空を飛ぶ魔法が使えるガキなんて、早々いないぞ。」


「早く打ち落として捕まえろ。」


 どうして皆、まじょのこと見えてるの。あれからまじょは逃げなきゃいけないのかな?


「でも、殺すのはダメだよね。落ちろ。」


 地面におっきな穴が開いて、皆慌てながら落ちていく。まじょがその穴の近くに降りると、皆まじょの眼をじっと見てる。よし、ちゃんと言わなきゃ。


「殺しちゃダメなんだよ。ユウくんが言ってたの、殺したらね怒られるの。だから、ダメなことしたらお仕置きだよね。埋めろ。」


 穴に土がふんわりと降っていき、皆必死に逃げていく。


「紫眼の魔女だ。に、逃げろ、殺される。」


「厄災が来る、助けてくれ。し、死にたくない。」


「違うよ。まじょ、殺したらダメなの知ってるよ。殺してないもん。」


 まじょ、大きな声で言ったのに皆、殺されるって言って逃げちゃった。すぐに逃げられるなら、もっと深い穴でも良かったのかな。でも、ちゃんと怒ってお仕置きしたからいっか。

 でも、なんでまじょのこと見えたんだろう。魔法もちゃんとかけて、あ。

 そうだ、一回全部解いたんだった。


「消えろ、浮け。」


 時間かかっちゃたから急がないと。でもさっきの人たちは、まじょが逃げる相手じゃなかった気がする。なら、見つかっても大丈夫だよね。

 それから少しすると、黒い木が生い茂った森が見えてきた。


「あった。木が黒いんだ。」


 黒い森には何があるのかな。ユウくん、まじょはあそこで何をしたら良いのかな。きっとあそこに行けば、わかるんだよね。

一人称『まじょ』とずっと子供口調が難しい

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