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魔王と勇者と厄災の魔女  作者: いわなです
第1章『厄災の魔女』という名の少女
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『厄災の魔女』という名の少女

見ての通り、主人公の一人称は『まじょ』です

 まじょの名前は『厄災の魔女』。

 みんな、まじょのことをそう呼ぶからきっとそう。


 まじょは『厄災の魔女』だから、村のはずれに一人で住んでる。まじょのお父さんとお母さんは村に住んでるけど、まじょは『厄災の魔女』だから村に行っちゃダメだって言われた。

 でもまじょは魔法が上手だから、水も出せるし、木も切れる。高いところの木の実も取れるし、火も起こせる。


 それに、ユウくんが色々なことを教えてくれるから、困ったことなんてなにもない。

 ユウくんはたまにしか来てくれないけど、まじょに石投げたりしないし、すごく優しくていっつも笑ってくれる。

 一回だけ、ほんとに一回だけ、村の人に魔法を使おうとした時、殺しちゃダメって本気で怒られたことがあって、それだけはまじょ、ちゃんと気を付けてる。

 だから大丈夫なのに、気を付けてるのに、ユウくんは今、笑ってない。

 昨日はユウくん、すごく笑顔で「明日やっと勇者になれるんだ」って、言ってたのに。


「ユウく…」


「魔女、『厄災の魔女』…」


 あ、初めてだ。初めてユウくんがまじょのこと、名前で呼んでくれた。やっぱりまじょは『厄災の魔女』なんだ。


「なに?ユウくん。」


「…腕を出して、少しだけ我慢してくれ」


「うん。」


 何をするのかな、我慢ってなんだろう。でもユウくんがすることだから、きっと意味がある。良く見たらユウくん、今日は本物の剣持ってる。ユウくん、もう勇者になったのかな。


 ピシャッ


 腕が赤くなった、ユウくんがまじょのこと切ったの?


「ユウ、くん?」


 ユウくんは何も言わない、だから待つ。そのまま、ユウくんはまじょの髪を掴んで剣を振る。


ザグッ


「髪の毛?」


 ユウくんはまじょの髪を切った。その髪をまじょの腕に当てると、まじょの銀髪はすぐに真っ赤になる。どうしてそんなことをするのかはわからない。だから、まじょはじっとユウくんを待ってる。


「逃げろ。ここには、この辺りにはもう来ちゃダメだ。」


「うん、わかった。」


 すぐにうなずく。ユウくん、すごく変な顔してる。きっと怒られた時と一緒で、ちゃんとユウくんの言ったことを気を付けていれば、いいんだ。


「…会いに来ちゃダメだ。」


「うん、ユウくんが来るの待ってる。」


 今までもまじょは村に行っちゃダメだから、ユウくんのこといつも待ってた。いつもと一緒、ユウくんが会いに来るのを待ってればいいんだ。


「でも、何から逃げるの?どこに行けば良いのかな。まじょ、あんまり遠くまで行ったことないよ?」


「…ずっと東に向かうんだ…そこに、黒い森がある。そこなら大丈夫だよ。」


「うん、わかった。じゃあ、すぐに行くね。」


「…ああ。」


「あ、ちょっと待って。ユウくん、もう一回まじょのこと名前で呼んで。」


「名前?」


「うん、さっきまじょのこと、初めて『厄災の魔女』って呼んでくれたでしょ?もう一回呼んで。」


「…」


 ユウくんが驚いた顔をして、まじょから目をそらしてうつむいちゃった。どうして?名前を呼んで貰うのダメなのかな。


「ユウくん、もう行くね。」


「…」


「急ぐなら魔法で飛んだ方が良いかな?でも逃げるなら、見つからないように歩いた方が良いかな?」


「…」


 ユウくんが返事してくれない。まじょ、何かしちゃったのかな?


「…そうだな、見つからないように歩いた方が良いよ」


 ユウくん、返事してくれた。


「うん、じゃあ…えーと、行ってきます?」


「…バイバイ、『厄災の魔女』。」


 名前、呼んでくれた。ユウくん笑った。でも、すごく弱々しい?今までに見たことない笑顔だった。でも、やっと笑ってくれた。


「うん、バイバイ、ユウくん。」

次話投稿のやり方わからなくて一瞬焦ってた(自業自得である)

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