アルとティナス
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初めて町に来て、ほんとにいっぱい魔族の人たちがいたの。でも、誰もマヤのこと見ても気にしないの。石投げないし、逃げたりしないの。ちょっと変な顔する人もいたけど、ティナスの方見たらすぐに気にしなくなるの。
ティナスの言った通りだった。眼の色変えるだけでマヤ、町に来ていいんだ。
それで、初めてお店に入ったの。
「いらっしゃい。お、アルじゃないか、久しぶりだな。」
「よう、カタル最近調子はどうだ?」
「特に変わりはないが、昨日初めて竜族系の客が来てよ、髪が固いのなんのって。自慢のはさみが二本も欠けやがったんだ。まあ、職人の意地できっちり仕上げてやったがな。」
「竜族系か、珍しいな。」
「だろ?だがまあ、それでなにがあったって訳じゃあないんだが。それよりも、今日はなんの用だ?」
「ああ、それがな」
「お父さん、アルって?」
「ああ、そうだった。この町ではお父さんの名前、アレグルを略してアルって呼ばれてるんだ。」
「そうなんだ。」
だからマヤ、ティナスじゃなくてお父さんって呼ばないといけないのかな?
「アル、その子供どうした?」
マヤのことだよね。
「初めまして、マヤです。お父さんが、お世話になってます。」
手を前にしてお辞儀する。
ティナスに教えてもらった、ティナスのこと知ってる人にする挨拶。この人、ティナスと楽しそうに話してたから合ってるよね。
「…おいアル、こんなかわいい子供、どこから拐ってきた?」
「人聞き悪いことを言うんじゃない。ちゃんと話し合いと同意の上で、こいつは俺の大事なかわいい娘になったんだ。な、マヤは俺が好きで、一緒にいたいんだよな。」
「うん、マヤ、お父さんのこと大好き。ずっと一緒にいる。」
「ああ、俺も大好きだ。」
「でれでれだな、おい。かわいいし羨ましいなあ。おい、お前と俺は独身仲間だったはずだろう?」
「マヤは俺の娘だ。独身なのは変わってないだろう?」
「そうだけどよ…潤いがなあ、違うんだよ。こんなかわいい子が毎日一緒に、」
「そんなことよりも、さっさと仕事をしろ。」
「そんなことじゃねぇだろう。あー、まあ仕事するか。で、なんの用なんだ?その嬢ちゃんか?」
「ああ、こいつの髪をきれいにしてやってくれ。」
マヤの髪?
「マヤの髪、お父さんが毎日きれいにしてくれてるよ?」
「マヤ、こいつはカタル。俺の知り合いで、人の髪をきれいにする職人さんなんだ。だから、俺よりもずっとマヤのことをきれいにしてくれるぞ。」
「そうなの?」
「ああそうだ、俺はきれいになったマヤが見たいから、やってもらってこい。」
「うん、わかった。カタルさん、よろしくお願いします。」
「ああ、俺の人生で最高のできにしてやる。どんな髪型か希望はあるか?」
「お前に任せる。とにかくマヤを、さらにかわいくしてやってくれ。」
「…」
「なんだカタル、その目は。」
「なんでもねえ。よし、マヤちゃんそこに座りな。そのきれいな銀髪、もっときれいにしてやる。」
「はい。」
ティナス以外の人の返事は、うんじゃなくてはい。
「よし、始めるぞ。ってアル、いつまでそこにいるんだ?」
「マヤに町にいる間は、ずっと一緒にいるように言ったからな。」
「親バカめ。じゃあとりあえず、向こうに椅子があるから座ってろ。ずっと見られてたら、終わったときに驚かせられないだろ。な、マヤちゃん。」
ティナスを驚かせる。
「はい。」
「…わかった。マヤ、こいつがなにかしたら、すぐに呼ぶんだぞ。」
「さっさと行け。よし、始めるぞ。」
…
じっとしてるって難しい。髪の毛触ってもらうのって、なんか落ち着かない。マヤの髪、初めて切ったのはユウくんだったなあ。
ユウくん、いつ会いに来るのかな。
まじょ、ちゃんと待ってるのに。
…
「マヤちゃん、終わったよ。」
「うん…マヤ、また寝てた。」
「はは、アルのやつ呼んできてやるから、ちゃんと起きて待ってろよ。」
「うん…待ってる。」
あ、返事。はいって、言わなきゃ。
「マヤ、終わったか?」
あ、ティナス来た。
「終わったよ。お父さん、マヤきれいになった?」
「…」
あれ、ティナス返事してくれない。マヤ、きれいになってない?
「マヤ、きれいになってない?」
「違う。ほら、鏡をちゃんと見てみろ。」
マヤの髪、全部まっすぐになってる。それに、さわったらすっごくさらさら。
「マヤの髪、きれい。」
「カタル、今までで一番いい仕事したな。」
「いい仕事なもんか。ちょっと手入れして、切り揃えただけだぞ。」
「だが、これが一番マヤに似合うって思ったんだろう?」
「まあ、素材はかなりいいと思ったよ。だが、ここまでとはな。ほんとにいい子を拐ってきたな、アル。」
「拐ってない…聞かないんだな。」
「まあ、お前のことだからな。どうせ聞いても言わんだろう。それに、ほら。」
ティナスもカタルさんも、マヤのこと見てる?
「まあな。」
ティナスがマヤの頭、笑いながら撫でてくれる。でもティナス、笑顔なのに変な顔してる。
「二人の話、マヤよくわかんない。でも、マヤ、お父さん大好き。マヤ、お父さんと一緒にいるの。」
「マヤ…よし、次はマヤに似合う新しい服を買いに行こう。」
ティナス笑顔になった。
「うん、行く。」
「羨ましいなあ、くそ。おいアル、今回代金は要らねぇから、その分マヤちゃんになんか買ってやんな。それと、マヤちゃんをまた連れてこいよ。」
「そういうことなら断れないな。礼を言う、また頼む。」
「カタルさんありがとう、またね。」
お別れの時には、またねって言うんだって。また会おうねって意味で、そう言って別れたら次にまた会えるんだって。ユウくんとお別れするときに、またねって言ってないってティナスに言ったら、次に会ったとき教えてあげたらいいって言ってた。
「マヤ、次はあの店に入るぞ。」
「うん。」
またねって言ったから、カタルさんとはまた会えるんだよね。ユウくんにも早く、またねって言いたいな。
やっとキャラと会話が増えた
でも明るい話にしてくれないマヤちゃん