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12-8話

「女帝はスタイルも良く美人で可愛らしいんだ。性格は最悪だがな」


「美人で可愛いくてムチムチならそれでいいじゃん!」


「やはり、目的はそこなのですねヨシオ」


「いえ、人助けです」


「俺達は美人で可愛い女性に片っ端から近付いて試供品を渡し、もし女帝だったら国に連れ帰ろうとしていたんだ。さすがに手渡しできる距離に近づけば変装してごまかしていても分かるからな」


「ちなみに試供品って?」


「キタノオンセン帝国の特産品の泥パックセットだ。あの美肌や美人になれるということで有名な土産の試供品だ」


「まさかのお土産付き!」


「私もほしい!」


「俺もほしいのだが!」


「なるほど、考えたな。それなら相手に警戒されず近づくことができる。しかし、それならばなぜお前達は馬車を襲ってきたんだ。普通に尋ねればいいだろ」


「いや、先に攻撃してきたのは魔術師のお前ではないか!」


「え俺?いつ?」


「オモイザワ村に来る前に立ち寄ったアルマジロの森があるサービスエリアだ」


「ああ、確かに立ち寄ったが」


「俺達は女帝がオモイザワ村に向かったという情報をつかんだ。さらにお前達の馬車に可愛い女性が乗っていてオモイザワ村に向かっているという情報も手に入れた。だから、女帝が乗っているかもしれないと思ってサービスエリアに立ち寄ったんだ」


「なるほどね。ロッソも含め美人で可愛い娘が五人も乗っていたからな」


「そこで試供品を馬車の女性達に渡そうとしたら攻撃してきただろ」


「え、ちょと待て!俺は馬車から降りアルマジロの丘に行ってすぐに馬車に帰ってきたはずだが」


「まだ、しらを切るつもりだな!」


「えええ!?」


「とぼけるのか!俺達は丘を登ってお前達の馬車を訪ねようとしていた。しかし、アルマジロ雪崩に巻き込まれ丘の下まで転がり落ちたんだ。それでも必死になって馬車の中に女帝が居ないか確認するため丘を登った。お前達はすでに出発し、目当ての女性達はいなくなっていた」


「アルマジロ雪崩(心当たりありすぎる)確かにそのくらいのタイミングで出発したかなぁ、えへへ」


「しかたなくサービスエリアにいた人達に試供品を配りながら尋ねたら、アルマジロ雪崩が起きた直後、魔術師のお前が丘から逃げてきたのを見ていた人がいたんだ。お前が先に攻撃してきたのは明らかだ。だから、確信したんだ。馬車には女帝が乗っていて、女帝の仲間が先制攻撃をしてきたと」


「いや、攻撃はしていない。女帝もいない。アルマジロの件は偶然だったんだ!しかもお前達がいるなんて知らなかったし(汗)」


「理由など、こちらの知ったことではない。結果としては攻撃されたのだ。そして女帝を保護するため俺達は先回りしたんだ」


「だからといって明らかに武器を持って襲ってくれば盗賊団と思われてもしかたないだろ」


「その点は反省している。少しやり過ぎた。その時までお前達を女帝の仲間だと思っていたんだ」


「しかし、なぜ女帝を探しているのだ」


「お前も噂くらいは知っているだろ・・・派閥争いだ」


「派閥争い?細マッチョ派と草食系男子派ってやつか」


「ああ、それだ。俺達は見ての通り草食系男子派だ」


 肉じゅばん(インナースーツ)を着ていないので昨日の凶悪な印象は無くなっている。ひょろひょろの体格だ。


「女帝は細マッチョ派と聞いたが」


「ああ、その通りだ。細マッチョ派の現女帝と草食系男子派のガリペラ姫が次期女帝の座をかけて争っている。しかし現女帝はマッチョつながりでハートフルピース王国と仲が良いので邪魔される可能性があると考えている」


「太マッチョと細マッチョ!マッチョつながり!暑苦しいところは価値観が同じだな」


「ハートフルピース王国が女帝に協力するのを防ぐため、ガリペラ姫は先手を打ってハートフルピース王国に宣戦布告をしたのだ」


「ヒツジキング三世が細マッチョ派を助けに行くとは思えないが・・・とにかく命の危険を感じた女帝は逃亡したというわけだな」


「ああ。しかし、女帝はただでは転ばなかったのだ。女帝はなんらかの方法で温泉源、つまり源泉を閉じてしまった。しかもキタノオンセン帝国の全ての源泉の元となる特別な源泉を」


「特別な源泉!」


「ああ。そのおかげでキタノオンセン帝国は温泉が出なくなった。今は温泉のストックや再加熱、あるいは温泉の元でしのいでいるが限度がある。不満の矛先は女帝ではなく、ガリペラ姫に向かっている」


「温泉の元とかインチキ!」


「そこで俺達は女帝を連れ戻し、特別な源泉を開けてもらうようお願いするつもりだったんだ」


「そうか。ちなみにお前達は国の諜報部員だな」


「いや、違う。俺達はガリペラ姫のファンクラブのメンバーだ」


「ファンクラブ?」


「ああファンクラブメンバーだ。ガリペラ姫は草食系男子が好みだと公言しているので、ファンも皆草食系男子だ」


「草食系男子派って政治結社じゃなかったの?」


「ガリペラ姫のファンクラブの名前だ」


「えええ!じゃあ、細マッチョ派っていうのも」


「女帝のファンクラブの名前だ」


「ファンクラブって、もしかしてアイドル同士の戦い?」


「当たり前だろ!古来より貴族で幼いころから教育された女帝候補が戦い、勝ち残った候補者が女帝となるのだ。俺達には選挙権は無く、握手券やグッズを買って応援するだけだ」


 忘れていた。キタノオンセン帝国もアイドルを競わせて選ぶって言っていたな。


「じゃあ、さっきの政治的な話って?ファンクラブ会員が知れる内容ではないと思うけど」


「ガリペラ姫のSNS、ツーチャンに書いてあった」


 まさかのネットに書いてあったってやつ。かなり信憑性が問われるやつだ。


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