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12-3話

「『俺スゲー』がやっと俺にも!」


「聞いたことないです。何ですか、その『俺スゲー』って」


「神が特別な能力を授けていて、それを使って世の中を『俺スゲー』な感じでご機嫌にやっていくやつだよ。わかるだろ」


「いや、全然分かりません。基本的に魔力は有無が重要であって、魔力の大きさと『俺スゲー』とかほとんど関係ないですから。そもそもヨシオは、これから一生懸命魔力の使い方と医学を勉強して医者になってがっぽりお金儲けて『俺スゲー』とかする必要無いでしょ」


「う、言われてみれば」


「しかも、この世界では特殊な体質の人を除き、魔力はほぼ100パーセントの人が持っています」


「うむむ」


「魔力の知識があまり無いとは、彼はどこか遠くの国から来たようじゃの。諦めなくても良いぞ。今の世の中ではあまり使い道が無い能力でも、これからの世の中では必要とされることがあるかもしれないのじゃ。長い目で見るが良いじゃろう」


「そうですね、私も言い過ぎました。ヨシオごめん」


「そのうち『俺スゲー』が出来る日が来るかな!?」


「おぬしの、その大きな魔力をうまく活用する方法を研究するのも良いじゃろ」


「『俺スゲー』を実現できるよう今後、色々と試したいと思います。メグちゃん、色々とありがとう」


「うむ、精進したまえ」


「ところで、最近この辺りで変わったこととかありましたか。何しろキタノオンセン帝国が何を考えているのかわからないので、このまま旅行するのが心配なんです」


「そうじゃのう、確かに宣戦布告はびっくりじゃったのう。おかげで、傭兵達は増えたが女性や子供の数は少なくなったようじゃ。以前のキタノオンセン帝国は穏やかな国じゃったがのう」


「そうなんですか。帝王の気が変わったのですかね」


「ああ、あのスタイルが良くてセクシーで頭の良い女帝じゃな」


「「ムチムチボインの女帝ですね!」」


「その、ムチムチ・・・の考えが変わったというのは聞かないが、そういえばちょっと前からその女帝率いる細マッチョ派と、ガリペタ、いやガリペラ姫が率いる草食系男子派で争いがあったらしいぞ」


「「そんな恐ろしい争いが!」」


「女帝とガリペラ姫は正に水と油!絶対混ざり合わない、理解しあえないのじゃ!この争いはどちらかが消え去るまで続くじゃろう」


 ああ、なんてことだ。メグちゃんは服の上からでも分かるくらい上半身が主張している。一方、ロッソRの方は全く主張がなされていない。ここでも争いが起きるのか!


「何か失礼なこと考えてませんか?言いたい事があれば言うべきですヨシオ」


 ロッソRによるシャム姫ばりの冷たい視線が俺を貫いた。


「い、いや何でもないです。情報ありがとうメグちゃん。勉強になりました」


「ああ、常に勉強するが良い。それが長生きする秘訣じゃ」


 俺達は魔術師の館を出て、再び大通りの散策を始めた。キタノオンセン帝国の状況が少し見えてきた。ムチムチボインとガリペタの争いだ。これが今回の戦争に関連しているのだろうか。激しくどうでも良いことに巻き込まれているような気がする。


「俺の力ではどうしようもなさそうだ。もっと特別な力が俺にあればなぁ」


「ヨシオには特別な能力は無いのですか?こんなに活躍しているのに」


「ああ、ちょっとした便利な道具は使えるんだけど、俺自身には能力が無いんだ」


「そうですか?私が思うに、お金を儲ける才覚と、料理に対する情熱とアイデアは明らかな俺スゲー?的なものと思うのですが」


「確かに、この世界では俺の知識は特別かもしれないけど、所詮、故郷の知識を持ち込んで偶然うまくいっただけなんだ。しかも全然勇者っぽくないし」


「そうなのですか。やはりよく分かりません。例えば、どんなのが『俺スゲー』なのですか」


「そうだな。例えば、気楽に行動していたらいつの間にか事件が解決されているとか、苦も無くお金がどんどん儲かるとか、とにかく自分自身が気に留めず行ったにもかかわらず、それがこの世界では凄い!ていうのが『俺スゲー』な感じかな」


「そ、そうなんだ(すでに十分『俺スゲー』だよ!)」


「あ、それから岩に刺さった誰にも抜けなかった伝説の剣を引っこ抜いて、いきなり使えるようになるとかのパターンもある」


「岩に刺さった伝説の剣というのは聞いたことがありませんが、もしあったら一緒に引っこ抜きにいきましょう」


「おお、ありがとう」


 その後幾つかの表通りの店に立ち寄ったりしたが、大した情報は得られなかった。


「ヨシオ、この後、警備署に行きます」


「警備署?」


「ええ、この村を守っている兵隊の本拠地です。昨日、私達を襲ってきた盗賊達に尋問をしているらしいですが、黙秘して何も進展が無いらしいのです。しかたがないので、私達からも昨日の様子を聞いて、切っ掛けを作りたいらしいです」


「わかった、すぐ行こう」


 俺達は警備署に向かった。歩いてすぐの所にあった。


 中に入った。


「昨日はご迷惑をおかけしました」


 そこにはパーフェクトマモルが居た。


「気にしなくてもいい。誰も怪我をしなかったんだから。マモルも呼ばれたのか」


「ええ、さっきまで話をしていました。どうやら問題なのは盗賊が私達を襲った理由が明らかになっていないことのようです。お金なのか、女性なのか、それとも特定の誰かなのか。単なる物取りの単独犯なら問題無いようですが」


「何か別の目的があったり、裏で誰かが関わっている可能性があるのか。それは確かに心配だな」


「私達もほとほと参ってます。頑固な奴らです。申し遅れました、私、この辺りの警備を任されている警備署の署長ケイジデカと言います。よろしくお願いします」


「「よろしくお願いします」」


 鋭い目つき、服の上からでも分かる鍛え抜かれた体つき。そして、いかにも刑事のようなトレンチコートを身につけたケイジデカ!彼に尋問されたら俺は0.5秒で真実を言う自信がある!

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