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12-2話

「ヨシオはさすがですね」


「え、何が?」


「トマトケチャップですよ!試作品を売って儲けてさらにモニターで情報収集。金儲けの才覚ありすぎです」


「いやいや、あれは城のレストランにお任せした結果だ。俺の考えでは無い」


「トマトケチャップだけじゃ無いです。フリスビーの売れ行きも昨日から好調です」


「もしかして、昨日のシルバーウルフのおかげかな」


「そうみたいです。さらに、ダイヤモンド・シャープナーも量産しているらしいですね。さらにさらに、塩味のチーズも生産中とか」


「ど、どうしてそれを!しかもチーズの件は俺も初耳だ!」


「ふふ、仕事柄、情報収集は得意ですから」


「そうだった」


「で、いくら儲けたのですか?」


「いや、先日やっと銀行の口座つくってもらってキャッシュカードもらったところなんだ。オムライスが売れたので300万HPDくらいは貰ったと思うんだけど良く知らないんだ」


「じゃあ、あそこで確認してみましょう」


「『テッポウ魚銀行』・・・あれって、普通の銀行だよね。テッポウ魚の養殖場じゃないよね!」


「普通の銀行です。魔動ATMが建物に入ってすぐところにあるから確認してみましょう。使い方知らないみたいだから、私も一緒に行ってあげます」


 俺達は銀行に入って魔動ATMの前まで来た。


「カードを画面左の魔法陣に置いて、右手を右の魔法陣にかざして。そうそう」


 俺は言われた通りにカードを置き、手をかざした。うまく認証されたようだ。


「そのまま、左手で画面に表示された『残高』ボタンをタッチして」


 魔動ってついているけど、これ普通のタッチパネル式のATMだよ!おれは言われた通り『残高』ボタンをタッチした。画面に数字が表示された。


『残高30,000,000HPD』


「ほらほら、言った通り300万HPDだろ」


「いえ、桁が違うわ。3千万HPDよ」


「えええ!3千万!」


 そこにはコンビニのバイトリーダーだった自分が見たこともない桁の金額が表示されていた。


「なぜ、こんな事に。間違えて振り込まれたのかな」


「いえ、間違いありません。これでも少ないかと。これから各種のライセンス料が入ってくるから爆発的に増えるはずです」


「爆発的に!?」


「そう爆発的に。なので、今後はお金目的で様々な人達が近寄ってくると思います。特に女子には気を付けて下さい。あ、ちなみに私はお金に困っていないので安心して下さい」


「知ってる。王と王妃の実の娘、正真正銘のプリンセスだもんな」


「くれぐれも口座に入っている金額は言わないようにして下さいね」


「分かった。気を付けるよ」


「それでは、気を取り直して情報収集の続きといきましょう」


「了解。もう少し大通りを歩こう」


 俺達は銀行を出て再び大通りを歩き始めた。相変わらず屋台では色々な物が売られ、雪がちらついているのに人通りも多く賑やかだ。


「あれは何かな?占い?」


「魔力測定器で魔力を測ってくれるところです。まあ、子供向けのエンターテイメントですね。扱える魔力が少なくても日常生活で困ることは無いからあまり意味は無いです」


「そうなんだ。そういえば魔力は魔道具を利用して使うばかりだな。魔動携帯電話、魔動馬車、魔動PC、魔動プリンター」


「そうなのです。だから魔力の大きさにあまり意味は無いのです。でも中にはとてつもなく大きな魔力を扱える人がいて、そんな人は魔術師と呼ばれ、医者や研究者になれます。でもそんな人は極々一部の人です。ヨシオは測ったこと無いのですか」


「測ったこと無いんだ。面白そうだからやってみようよ!」


「いえ、結構です。そもそも子供向けのお遊びだし、大人がやるものじゃないですから」


「すいません、魔力測定お願いします」


「ちょと、まだ話は・・・」


 俺はロッソRの話を無視して、測定することにした。だって、異世界で魔力ですよ!ファンタジーすぎる!


「ようこそ、魔術師の館へ。私は魔術師のメグちゃんなのじゃ。魔術師になりたいのじゃな。そこに座りなさい」


 黒い服を着て、顔の半分を布で隠している自称魔術師の女性がそう言った。しかも自称でちゃん付け。キャラ濃いすぎ。エンターテイメントはすでに始まっているようだ。俺は言われた通り座った。


「それでは早速測定するとしよう。右手を出して、それから肘の上まで服をめくって、腕をこの輪っかに通すのじゃ」


 俺は言われる通りにした。


「始めるぞ。はぁーーー!!!(ポチっとな)」


「あ、今、スイッチ押した。(ポチっとな)とか言っていたし」


「言ってないのじゃ。魔術で魔道具を起動し魔力を測定しておるのじゃ」


 輪っかの内側が風船のように膨らんできて腕を締め付けた。


「はい、そのまま十五秒・・・(プシュー)はい終了」


「すいません。これ血圧測定じゃないですよね」


「し、失礼な。これは魔力測定器なのじゃ!」


 そう言いながらスマホっぽいものをいじっている。絶対スマホが本体で、輪っかは血圧測定器に違いない。掛け声は何だったんだ。


「・・・!!!」


「何か?」


「いや、そんなはずは・・・もう一度測ってみるのじゃ。その方が正確なのじゃ」


「失敗したんですね」


「正確に測るためじゃ。はい、もう一度。そのまま十五秒・・・(プシュー)はい終了」


「血圧測定ですよね」


「違うし。あれ!?」


「また失敗したんですね」


「そちらのお嬢さんも測定してあげるのじゃ。もちろん、タダじゃぞ」


「いや、この娘はこういうことに興味な「タダならお願いします!」」


「お願いするんかぃ!」


「タダですから」


「それでは測定するとしよう。右手を出して、それから肘の上まで服をめくって、腕をこの輪っかに通すのじゃ」


 ロッソRは言われる通りにした。


「始めるぞ。はぁーーー!!!(ポチっとな)」


「あ、やっぱり今、(ポチっとな)とか言った」


「言ってないのじゃ」


 強情な奴め。


「はい、そのまま十五秒・・・(プシュー)はい終了」


「どうですか?先生」


 ロッソRが本気で心配そうに尋ねている。子供向けってバカにしていたのに。


「うむ、残念ながら凡人じゃ。魔力は微小じゃ。じゃが、気にしなくて良い。それが普通なのじゃから」


「俺は?俺は?」


「うーん。これが正確なら、お前はかなり大きな魔力を扱えるようじゃ。しかも一般的な魔術師の十倍以上。こんな数値は見た事無い。医者か魔術師に転職すべきじゃ」


 こ、これって異世界召喚あるあるだよね!やっと、俺にも勇者っぽい能力が!

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