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2-2話

 武器庫に到着した。


 武器庫の扉を開けて中に入ると、金銀パールで装飾された剣や、巨大な剣、日本刀風など各種の剣が所狭しと保管されていた。全て剣だ。きちんと種類別に分けてある。俺は現代の民でも使えそうな軽くて細い剣、レイピアに目を付けた。


「これは使い易そうだな」


「この城の兵には、刃が鋭くなくても重さでダメージを与えられるように大きな剣ばかりを持たせています。レイピアのような軽い剣は、刃が鋭くなければ役に立たないので使っていません」


 手に取って振り回してみる。フェンシングの剣のような感じだ。俺でも十分使える。


「おや?こちらの銀色のレイピアは・・・何の金属だろうか。全然錆びていないぞ」


「良く分からないのです。この金属は軽くてしなやかで強靭なのです。錆びることはありませんが、刃こぼれがあって使えません。でも硬くて砥石で研いでもほとんど削れないし、焼いても溶けないらしいのです。沢山あるのですが」


 これはもしかして・・・


 ◇ ◇ ◇


「城の正面から堂々と来てやったぞ。ケガをしたくなければ勇者を連れてこい、ふへへ」


 暗殺部隊の奴らは昼過ぎに堂々と城の正門に来ていた。十二人だ。


「ふざけるな!お前らなど俺たちで十分だ!」


「はは!切れない武器で何ができるのだ?」


 衛兵達が門の前で防衛しているが、重い剣は動きが鈍い。軽くかわされている。当たったとしても、皮鎧の上に引っかき傷がつくくらいだ。


「無理無理!筋肉バカの王様の手下らしい、お前ら筋肉に頼りすぎで動きが大雑把だ。そんなハエの止まるような剣、避けるのは簡単だ、ふへへ」


「必死に大きな剣を振り回しちゃって。全然当たらないぞ」


「そうそう、そもそも当たっても切れないんだよね」


「結局、初めから俺たちに任せておけば勇者どころか、今頃、王も始末してたろうになぁ」


 暗殺部隊は戦いに慣れている。城の衛兵達は浅い傷を負いながら耐えている状態だ。しかし、じりじりと押されている。


「勇者さんが来ないなら、こいつら始末して、部屋にお伺いしますよ、ふへへ」


「部屋にいなけりゃ、城内の人間を片っ端から始末しながら探しますけどね」


「ちょっと待ったー!」


 俺とヒツジキング三世は城の正面扉を開け登場した。ちなみに俺はコンビニ制服、ヒツジキング三世は白のタンクトップに半パン姿だ。鎧って何、防御って何、それおいしいの?


「お望み通り、勇者が来てやったぞ!悪人は俺が魔法でズタズタにしてやる!覚悟しろ!」


「フハハハハハ!筋肉が喜んでるぜ!うらぁ!挨拶だぁ」


 王様は剣を向けて襲い掛かってきた暗殺部隊の一人を素手で殴った。人が回転しながら宙を飛んでるよ。王様の挨拶怖い。


「おっと、これは都合がいい!勇者だけでなく王まで出てきた。手間が省けて助かるよ、ふへへ」


「お前ら来るの早すぎ。暗殺なら、普通は夜だろ!夜!勇者にも色々と都合があるんだ!」


「ああ、夜行けって言われたけどなぁ。俺って気が短いじゃん。それによく考えたら城の兵隊さん弱いし。変な魔法使う勇者だけ気を付けて、十二人で囲んで始末するだけなら昼でいいじゃん」


「お前らのせいでこっちは大変だったんだからな!今度から時間は守れ!」


「次回があれば、時間は守ってやるよ、ふへへ。さて、始めますか」


「おっと、君達の相手はまずはこっちだ。倒せたら勇者とこのヒツジキング三世が相手をしてやろう」


「え、俺も?」


 王はニッコリとほほ笑んだ。そして天に向かって拳を突き上げた。それを合図として、太マッチョイケメン三人組が俺達の後ろから登場し、敵に襲い掛かった。


「たった三人か。まあ、何人だろうが関係ないが」


 辺りでは、戦いが始まった。しかし、すぐに収まった。


「・・・あれぇ?」 


「お前達の武器は全て叩き切ってやったぞ」


 暗殺部隊十一人(もう一人は寝てる)は唖然として自分の持っていた剣を見ている。それもそうだ。十一本の剣の刃が一瞬で全て根元から切られ、地面に落ちている。


「剣を叩き切っただと!まさか、そんな筈は!魔法か、そうか!魔法剣だな!勇者め!低レベルと聞いていたが魔法剣をこの短い間に三本も!となるとA級以上か!くそう、この人数では勝ち目は無い!引け、引くんだ!」


 暗殺部隊は全員(一人は抱えられて)退散した。なんか勝手に勘違いされてるようだしA級ってなんだろう。


「すぐに衛兵の治療をしてやれ!それから追わなくて良いぞ。力を見せつけるのが今回の目的だからな!」


「「「承知いたしました!」」」


 王は追いかけようとした細マッチョイケメン三人組を止めた。城の中から護衛に囲まれたシャム王女が出てきた。


「勇者ヨシオ様!凄いです!あの細い剣で敵の剣が簡単に切れてます!今度はどんな魔法を使われたのですか!?」


「ちょっと剣を研いだだけです。それに戦ったのはあの三人です」


「でも、素晴らしいレイピアを用意されたのはヨシオ様ですね!どうやっても研げなかったあの銀色の金属を研いだのですね!素晴らしいです!さすが勇者です!」


「当然のことをしたまでです。お役に立てて何よりです。王女を守るのが俺の役目ですから」


 シャム姫の目がよりいっそうキラキラしている!可愛いよシャム姫!今か!今なのか!いや、まだだ。まだ、その時ではない。知り合って二日目だし。いや、でも愛は時間ではなく深さが重要とも言うし!

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