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10-5話

 盗賊らしき人物達がサービスエリアの近くで様子を伺っているようだ。


「あの馬車の護衛はどうなっている」


「護衛兼観光案内が一人いるだけでございやす。他にはひ弱そうな乗客の男が五人いやした」


「まあ、こっちは五人で武器も持っているから楽勝だな。サービスエリアの端にある丘の上から再度確認し、奴らが馬車に乗り込んだところで一気に丘から駆け下り攻撃を仕掛ける。女をさらったらこちらに戻り離脱だ」


 強盗団の五人は高速道路の側を通る一般道に自分達の馬車を待機させ、全員が丘を登り始めた。


(ゴゴゴゴゴーーーーーー!!!!!!)


「何だ?何の音だ?」


「雪崩だ!上からアルマジロの雪崩だ!」


「なぜーー!!」


「「「「「うわーーー!!!!」」」」」


 強盗団の五人はヨシオが引き起こしたアルマジロの雪崩に飲み込まれ丘のふもとまで転がり落ちた。そしてボロボロになった強盗団が再度丘を登った時にはヨシオ達の乗った魔動馬車はすでにサービスエリアを出発していた。


「奴らがいません!」


「くそう間に合わなかったか!こんな時にアルマジロ雪崩とは、なんて運が悪いんだ。しかたない、下道を通って先回りするぞ。今度こそ逃がすな!」


「「「「へい!」」」」


 ◇ ◇ ◇


 ヨシオ達の乗った魔動馬車は高速道路を降り速度を落とした。ここからは山の間を縫って進むようだ。すでに日は沈んでおり、周りの景色は雪模様だ。


 しばらく走っていると遠くの山のふもとに小さな明かりが点在しているのが見えてきた。あと三十分くらいで着きそうだ。同乗している十人くらいの乗客達も明かりを見つけてわくわくしているようだ。


「ヨシオ!今日の宿泊先のオモイザワ村が見えてきたよ」


「とうとう来たか。ロッソも長旅で疲れただろ。早く温泉に入ってゆっくりしよう」


「ヨシオとの甘い話で全然退屈しなかったわ。今度、私に異国のケーキの作り方も教えてほしいな」


「帰ったら一緒に城の厨房を借りて作ってみよう」


「本当、うれしい!」


(ガガガガッ!)


「キャー!」


 突然、魔動馬車が急停車した。馬車の中に悲鳴が轟いた。


「乗客の皆様にお知らせします。現在、倒れた木が道路を塞いでいるため停車しました。通路を確保出来しだい出発しますので、しばらくお待ち下さい」


「倒木か。雪の重みで倒れたのかな」


「手伝った方がいいかしら」


「そうだな、見に行くか」


 俺達は魔動馬車を降りて前の方へ歩いて行った。


 そこには、細い木が十本程度倒れて道を塞いでいた。しかし手間はかかりそうだが人力で退けられそうな状況だ。


「パーフェクトマモルさん、手伝いましょうか?」


「魔獣使い様、ありがとうございます。助かります」


 とはいえ馬車の乗客の四人はひ弱な感じだ。もう何人かマッチョな人材がほしい。その時、傭兵のようなマッチョな体つきの五人組がオモイザワ方面から倒木を乗り越えて現れた。願いが通じた!明らかにガラは悪そうだが力自慢は大歓迎だ!


「いやーまいったよ。家に帰ろうと思ったら馬車が通れなくて困っていたんだ。皆で力を合わせればすぐ退けられるから、一緒に作業しませんか」


 俺達にとっては願ってもない提案だった。魔道馬車の運転手と護衛に加え、俺と乗客の男性達が地元住民の五人と協力して倒木を運び始めた。


 魔動馬車の中から女性達四人が心配そうにこちらを見ている。全員が美人で可愛らしいので、寒いけどやる気が湧いてきたぜ!


 やる気は沸いたが、残念ながら寒くて思うように体が動かない。思ったより重労働だよこれは。


 それを見たロッソRは小枝を集めて火をつけ、皆のために焚火を始めた。天使か!天使がここに居る!良いお嫁さんになりそうだ。予約しておこう。


 俺達と地元住人は雪の中必死に木を運んでいる。正確には俺達だけが必死だ。地元住民は体力も力も無いようで、少し動いたらすぐ休んで馬車にいる女子の方に色目を使っている。休憩しながら女子への筋肉PR。それいらないから!運べ!見かけ倒しな奴らだ。


 結局、一時間くらいかけて倒木を道路から運び出した。


「ふー、やっと全て運び出した」


「寒いし雪は深いし大変だったな」


「簡単だと思ったのに意外と時間がかかりましたね」


 全ての倒木を運び出し、俺と乗客の男達は焚火の周りで暖を取っていた。皆へとへとで疲れている。すると先程の地元住人の五人がご機嫌な顔で馬車を引きながら近づいてきた。手にはなぜか長剣を持っている。


 地元住民と言っていた男達はニヤニヤしながら全員が武器を構えた。俺たちはあ然としてそれを見ている。リーダーらしき男が口を開いた。


「ご苦労様。それでは、金や宝石類、それから女は置いて行け。なになに、命まで盗ろうとまでは言わないぞ。大人しくして従え」


「お前ら盗賊団か!初めからこれを狙っていたのか!」


 魔動馬車の護衛パーフェクトマモルが俺達の前に出た。しかし対峙している相手は五人。このままではまずい!


【スキル】[コンビニ]発動!


 俺はこっそりバーコードリーダーを起動しスキャンした。


「ピッ!」


 紙でできた筒状の物体が転送されてきた。

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