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9-5話

「ハイ、ヨシオ様、可愛い女子に反応しすぎ!」


「本当に、本当に可愛いのですか!シャム姫様!」


「いつになくグイグイと来ますね。そうです、全員可愛いのです。中でもロッソRの可愛らしさは群を抜いています。彼女がもしプリンセス娘のメンバーだったら私もセンターに立てたかどうか分かりません」


「それほどまでに可愛らしいのですか。うーん、少し旅行が楽しみになってきた」


「今、旅行と言いましたわね」


 またしてもうかつな発言をしてしまい、シャム姫から氷の視線が浴びせられるヨシオであった。


「いえ、あくまで任務の上での旅行という意味ですから。情報収集のお仕事ですから」


「そこ大切!真面目にやって下さい」


「でもロッソRさんは可愛いいのかぁ。途中、一緒に温泉に入ったり、宿であんな事や、こんな事があるかもしれませんが、それもお仕事ですから」


「そんな気楽な、下心のある気分でお仕事なんて!確かにロッソRは可愛いわよ!でも公私混同なんてサイテー!」


「それは仕方無い事なのです。可愛い女子に罪はありません。可愛い女子を見てウキウキするのは男性だったら当然です。シャム姫の周りだってそうでしょ」


「え、私の周り?」


「シャム姫は美人でしかも可愛いので一緒に仕事をする男性は皆、楽しそうじゃないですか。だからと言って、男性にもシャム姫にも罪は無いのです!」


 ふふ、名付けて『別の人を褒めていると見せかけて、いつの間にかシャム姫を褒める作戦』だ!これで誤魔化そう!


「うーん、なんか褒められていながら、全然納得できない私が居るわ」


「同じように、可愛いロッソRにも俺にも罪は無いのです!可愛いのが罪なのです!」


「そうなのかしら」


 いったい何の話なのか、すでに方向性を見失いつつあったが誤魔化せたようだ。そこに、戸惑った顔をしたショートボブの可愛らしい女性が部屋に入ってきた。


「・・・あのう、もうそこら辺で許して下さい。ハードル上がりすぎて登場し難いです」


「可愛い!でも、どこかで見たような」


「ロッソRちゃんね!いらっしゃい。気にせず入れば良かったのに。あ、そこら辺の椅子に適当に座って。お茶とお菓子はあそこにあるから自分で準備してね。ここメイドは居ないからね」


 俺の部屋なのに、なじみ過ぎているよシャム姫。


「ご挨拶にと思って来たのですが、ちょっと会話がドアの外まで聞こえてきて入るに入れず・・・ノックはしたのですが」


「ハハハ(汗)、はじめまして勇者のツツゴウヨシオです」


「赤い少女隊RのロッソRです。今回の件、よろしくお願いいたします」


「潜入調査は何をすればいいの?俺、良く分からないんだけど」


「準備はすでに整っております」


「はや!」


「そこは本職ですから。しかし潜入計画を立てる上で勇者様の能力を見極める必要がありました。申し訳ありませんが城内で勇者様を何度か尾行し調査しました。私の尾行には全然気付かなかったとは思いますが」


「え、ええ・・・」


 バレバレの尾行のドジっ娘はこいつだった。


「今回の計画においては、赤い少女隊Rの四人と私達二人がそれぞれ別行動で調査を行います。四人の行動は知らされていませんし、現地でその四人と情報交換をする必要もありません」


「わかった。可愛いロッソRちゃんがいるだけで十分だ。も、もちろん仕事です。重々承知しておりますとも」


 シャム姫が疑いの眼差しで俺を見ている。


「えっと、今回は旅行では、私達二人は宿に立ち寄った恋人達という設定で行く予定です」


「え、恋人、兄弟とか親戚じゃなく恋人!」


 シャム姫がそこに反応した!


「はい、恋人です。設定とはいえ中途半端な演技では周囲にばれてしまいます。『赤い少女隊R』は常に本気で任務に挑みます。本気の行動が人々に感動の渦を巻き起こすのです」


「どこかの劇団のようだ」


「そのため敵国に入るまで、いや入ってからもコミニュケーションを取り合い、二人の心を常に一つにしておく必要があります」


「二人の心を一つに!どうやって、どうやって」


 俺はそこに反応した!


「今日からなるべく一緒に行動します。旅先でも宿の同じ部屋に泊まり、宿やその周辺であんな事や、こんな事をする予定です」


「え、あんな事や、こんな事まで!」


 シャム姫が食いついている!


「ええ、もうちょっと詳しく言えば食堂や飲み屋で飲食しながらそれとなく情報収集。ついでに街中のお散歩やショッピングをしてそれとなく情報収集。疲れたら喫茶でパンケーキ五段重ねチョコ&メープルシロップ掛けを食べながら情報収集。宿に帰ったら、温泉で一休みしながら情報収集。とても忙しいです」


「パンケーキ五段重ねチョコ&メープルシロップ掛けだけ具体的なのね!」


 シャム姫が目を輝かせて言った。


「そこは譲れないところです」


「いいなぁ、私もゆっくりグルメ旅行したいなぁ」


 シャム姫は公務にアイドル活動にと激務だからまともな休みが無いのだろう。先週のナガグツ半島のミヲノは一日だけだったけど楽しそうだったな。


「お土産を買ってきますから楽しみにしていて下さい」


「後で土産物リスト渡すわ」


 ヨシオに大量の土産を買わせる気満々のシャム姫であった。かなり稼いだけどお金は足りるだろうか。出発前なのに今からお金の心配をしている小市民ヨシオであった。

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