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23-50話

 天使なのか天女なのか、羽衣を身にまとう美しく可愛らしい女性がふよふよと飛んできて皆の居るステージ上にふわりと降りてきた。そして、床に転がるナツモト・タカスィーをゴミムシを見るような目で人睨みした。タカスィーはなぜか汗をかいている。


「はじめまして、タカイ・パピコと申します。この度はこのバカやらかしまして大変ご迷惑をおかけしました」


「「「プリンセス娘の基となった子猫倶楽部って本当にあったんですか!?」」」


「「「人気絶頂期に結婚したって本当ですか!?」」」


「「「相手が番組プロデューサーだったナツモト・タカスィーって本当ですか!?」」」


「え、ええ、全て本当です」


 タカイ・パピコは一瞬でヨシオの婚約者達に取り囲まれ質問責めにあっている。そんな中、足元にしゃく取り虫のように移動してきたタカスィー。


「パピコちゃん、目覚めたのなら、そう言ってくれれば・・・」


「うっせえわ!」


「はひぃ!」


 荒ぶるパピコ。


「いったいどういうことかしら。データを確認したらこの星は二十三回もリセットされていたんだけど」


 タブレットを取り出し情報を再確認するパピコ。


「パピコちゃんに喜んでもらおうと思ってやり直したんだ。だって、せっかく造った星が中世ナーロッパ止まりじゃ平凡すぎるじゃん。もっと、ほら、パピコちゃんが目を覚ました時にスゴイ! さすがタカスィー! とか言われたいじゃん」


 得意げに言い訳するタカスィー。だがパピコはさらに荒ぶる。


「だからといってせっかく育った世界を破壊するなんて、いったいどれだけの命が無駄になったと思っているの? 私達の仕事は命を刈り取ることなのですか?」


「すみません、本当にすみませんでしたぁ」


 芋虫状態なのにうつ伏せになって器用に謝罪するタカスィー。


「そもそもですが、私のスリープ設定を勝手に数十億年伸ばしましたわね。タカスィーが目を覚ました翌日に私も目が覚める設定だったはず」


 二人は同時期にコールドスリープから目覚めるはずだったにもかかわらず、先に起きたタカスィーによってパピコの設定は変更されていたのだった。


「そ、そうだ、確かにおかしい! まだ目覚める時期では無いはずなのに、あっ」


 犯行の自白である。タカスィーがそれを口にした直後、薄汚れてボロボロになったペンギン型ゴーレムがやってきて、パピコと握手した。


「ゴーレムのペンちゃんが起こしてくれたのよ。間に合って良かったわ」


 ペンちゃんはドラゴン型飛行機に乗ってタカスィーの拠点である宇宙基地にたどり着いた。そこで偶然発見したのが基地内にあるコールドスリープ装置。ペンちゃんは装置を解除し、目を覚ましたパピコに現状を訴えたのだった。


 そこでパピコはタカスィーによって予定以上に睡眠させられていたことに気付いた。パピコは寝ている間に地上で起きたことを知るため基地のシステムを使って確認することにした。そして、ペンちゃんは先に地上に戻ってきたのだった。


「まさか衛星軌道上の基地にたどり着けたのか!」


「そんなことはどーでも良いのです。データを調べていて気付いたことがあるのです。タカスィーさん、あなたはここで自分自身が勇者の婚約者達をもらい受ける的なことを言っていたような」


「えっと・・・」


「妻である私の許可を得ずさらに十人ほど妻を増やすってことですよね」


「いや、この星の為に・・・」


「はぁ?」


「すいませんでしたぁー!!!!」


 タカスィーはミノムシ状態のまま器用に土下座した。その頭をゲシゲシと踏みつけるパピコ。目が逝っててちょっと怖い。


「まあ、良いでしょう。あとでこの責任はとってもらいます。とりあえず、大型ゴーレムは破壊したし、小型ゴーレムはプログラムを変更しましたから、今後この星が破壊されることはありません。この星はあなた達が自由に使って下さい。このまま生きるもよし、勇者の遺伝子を取り込み発展を促すもよし」


 タカスィーとパピコは異星人。そして、生き物が住めない星を住めるようにする、つまり星の開拓を担う会社の社員らしい。この星も新たに開拓した星のひとつ。地球で言えば新たな団地を造ったという感覚らしい。


 大きく異なるのは、造成後、自分達の星の遺伝子を基にした生物を放つことで生物の急激な発展を促すところだ。ある程度知的生命体が育ち文化が発展し始めた頃、おかしな方向に進化しないように導くのがタカスィーとパピコの仕事だ。時には地上に降り現地の人間になりすますこともある。アイドルとしてのパピコや番組プロデューサーとしてのタカスィーのように。


 だがどうしても凶悪で危険な生命体にしか進化しない場合はリセットすることもあるようだ。この星のように発展度合いが遅いからといってリセットすることはない。そして星の造成をする理由については、何か彼らなりの何らかの目的があるのだろう。


「このくらいかしら、私から話せるのは。いつか何処かの星で会えるといいですね。私達の任務はここまでです」


 パピコはタカスィーを連れて去って行った。

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