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23-17話

 魔王軍に捕まっていた俺は、婚約者であるオモイザワ村長アンゴーラの助力のおかげで地下七階の軟禁部屋から脱出することができた。その後、一緒に六階を目指していたが、敵ゴーレムの妨害のためアンゴーラとは離ればなれになってしまった。しかたなく一人で六階行きのエレベーターに乗り込んだのだった。


 さて六階に到着しエレベーターから降りると、そこは現代的な商業ビルの内部、ショッピングモールのような所だった。映画館やフードコート、開放的な専門店やカフェが建ち並ぶ。そこに人影は見当たらない。開業前なのかいつもこの状態なのかは判断は付かない。だがダンジョンだから何が起きてもおかしくは無い。警戒しながら五階に向かう道を探すことにしよう。


 しばらくフロアを探索していると、遠くの方から複数人が会話する声が聞こえてきた。物陰に隠れるのは簡単だが、もしここが魔王軍の施設で今から開店準備が行われるならすぐに見つかってしまう。いやこの規模だ。魔王軍の軍事基地の娯楽エリアかもしれない。となると数千人数万人の戦士がいるのかもしれない。俺の戦闘力は零だ。見つかってしまえば逃げるのは無理だろう。早急に身を隠さねば。


 隠れるのに良いところが無いかと周囲を見ていると”関係者以外立ち入り禁止”の扉を見つけた。こういうところにある部屋はたいてい掃除道具置き場や建物管理用の設備が設置されている場合が多い。そっと、扉を開けると中には配電盤らしき設備が並んでいた。建物の電気設備管理用の部屋なのだろう。電気が使われているかどうかは不明だが。


 さらにその部屋の奥には小さな扉があった。そこも開いてみると階段があり下に降りられるようになっていた。降りてみると無機質な広い廊下に出た。ショッピングモールの床下にそって作られているようだ。たぶん、これはメンテナンス用の通路のようなものに違いない。夢の国なんかで事件や事故で負傷者が出た場合には救急車両が地下通路を利用して患者を運び出すとかいう噂を聞いたことがある。ここはそれっぽいやつだろう。


 この廊下は至る所につながっているようで頻繁に十字路に出くわす。親切にも矢印で行き先も書いてある。また上のフロアにつながる階段やハシゴがいたるところに見受けられる。もちろんそこにも行き先が書いてある。適当にフラフラと歩いていると十字路で”ゴーレム工場”という矢印を見つけた。興味本位でそれが示す方向に歩いて行くとすぐに”ゴーレム工場”につながる階段を見つけた。


 階段を昇り扉を開くとそこは先程と同様の配電設備の部屋だった。だが先程とは異なり機械が作動する音が聞こえる。部屋入口の扉を少し開けて外を見ると、そこは大きな工場だった。ベルトコンベアの上で組み立てられているのは各種ペンギン型ゴーレム。そこで働いているのもペンギン型ゴーレム。アンゴーラが”ペンちゃん”と呼んでいたゴーレムにそっくりだった。


 俺はすぐに扉を閉め廊下へと戻った。ここはペンギンゴーレムの生産拠点もあるのか。やばい! 早く婚約者の皆と合流して対策をしなければ。とはいえ未だ合流できず五階への道も見つからず。そのうえ喉も渇いてきた。


 しばらく廊下を歩いていると”ラウンジ”と書いてあるハシゴを見つけた。ハシゴの高さは2m程度でその先には人が一人くぐれるくらいフタをがあった。ラウンジなら飲み物くらい置いてあるかもしれない。


 さっそくハシゴを昇り天井に付いているスライド式のフタを少し開けた。しかしそこからの景色は薄暗くてよくわからなかった。でも暗ければ見つかりにくい訳であり好都合だ。俺はフタを大きくスライドさせてフロアの床に顔を出して周囲を確認することにした。


 正面に見えたのはネコさんプリントの布。右は太もも? 左も太もも? ということは・・・恐る恐る上に覆い被さっている布をどけると何処かで見た厚化粧の金髪縦ロールの少女と目が合った。


「あれ? ここどこ? あ、どこかで見たような。だれだっけ? えっと、とりあえずコンニチワ」


「キャー! 変態!」


 ひざ蹴りが俺を襲った。これがラッキースケベという奴か!?

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