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5-4話

 インスタ映えする料理、それはインスタ映えにこだわるOLやセレブ妻がよく載せている見かけだけが異常に良く、食ったら平凡な味のバカ高い料理だ。奴らはフォロワーさえ増えれば味などどうでも良いのだ。ちなみに中世なのか現代なのか良く分からないこのテクノロジーと時代設定は気にしたら負けだ。


 そろそろ俺も調理に取り掛かろう。食料と調味料は大体揃っている。しかし家庭用のオムライスに必要な肝心なものが無い。そう、それはトマトケチャップ。スープベースとトマトそして調味料を炒めて即席のケチャップを作る予定だ。


【スキル】[コンビニ]発動。


 イイトコロデキタヨー!オカネタリルカナー!


 隙を見て俺はバーコードリーダーで左手のバーコードを認識させた。「ピッ!」取り寄せられたのは、


 『カモメ プレミアムケチャップ(瓶入り)』


 よっしゃープレミアムキター!お金もなんとか足りたようだ。


 今回取り寄せられたのは『カモメ』ブランドのケチャップ。少し酸味が強いのが特徴で料理に使うには都合が良い。ちなみに、『ヘルモンネ』ブランドの方は、まろやかなので直接食べるには良いが、料理に使うには俺としては少し物足りないので良かった。


『勇者ヨシオははまだ取り掛かっていないように見えます。この鍋で煮込んでいる野菜は何なんでしょうか?オムライスと関係ないように見えますが?』


 全く準備の進んで無さそうな俺に、レポーターのシャム姫が質問した。


「これはスープベースです」


『スープベース?』


「ええ、野菜の切れ端を煮込んだものです。水の代わりにスープベースを使うことで味が豊かになります。本当はもう少し煮込みたいのですが今日はこのくらいでいいでしょう」


 そう、俺が最初に始めたのは人参、玉ねぎ、セロリ、海藻等の切れ端を鍋に入れ水と一緒に煮込んでスープベースを作る作業だ。


「さらにこれをスプーン一杯ほど入れます」


 おれはポケットから『カモメ プレミアムケチャップ(瓶入り)』を取り出し蓋を開けた。


『それは・・・トマト?でしょうか』


「ええ、トマトだけでなく香辛料などを一緒に煮込んで味付けしたもので、トマトケチャップという調味料です。スープなどにも少し入れることで美味しくなります」


「ちょっと味見して良いですか」


 タベタリーナやシャム姫、周囲にいた調理人達が集まってきた。トマトケチャップを少し皿に出して皆に味見してもらった。


「酸っぱい!でも美味しい!後に残る香りも爽やか!」


「おお!肉に付けると肉が数段美味くなりそうだ!」


「それでは、これを使ってまずはケチャップライスの調理に取り掛かります。きざんだ玉ねぎ、それから小さく切った鶏肉をフライパンで炒めます。火が通ってきたらご飯を投入します。そこにトマトケチャップとお玉一杯のスープベースを入れ炒めます。最後に塩と胡椒で味を調えます」


『いい香りが漂ってきました!』


「炒め終わったら、一旦、フライパンから皿に移しておきます。次に油とバターを多めにフライパンに入れます。これで玉子がフワフワになります」


『フワフワに?カリカリではなく?』


「ええ、フワフワです。ボールに玉子、牛乳、スープベース、少量のケチャップを入れ空気が入るようかき混ぜます。ここからは時間との戦いです!」


『凄い勢いでかき混ぜられています!』


「玉子を溶きながらフライパンに入れます。フライパンの上で、さらに玉子をかき混ぜまず。少し表面が固まったら、ここで、すぐに先ほど作ったケチャップライスを投入します」


『まだ固まっていないのに!』


「完全に玉子に火が通らないうちにご飯を包むのです。あ、あれ?」


『おっと!玉子でご飯をうまく包めず手間取っているようです。あ~あ、玉子が破けました。所々、ご飯がはみ出ています!』


「・・・皿に盛りつけます。最後に、美味しくなる魔法をかけます」


 ケチャップをスプーンですくって、オムライスの上に文字を書いた。


「シャム(ハート)」


『きゃー!素敵!とても良い演出です!ついでに玉子の破れをケチャップでカバーしたようです。さあ、両者出揃ったところで厨房からパーティームに移動し試食です。試食・判定するのはこの方々です』


「できたか!楽しみにしていたぞ!」


 パーティールームにはヒツジキング三世がいた。な、なぜ王様が!

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