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召喚勇者はコンビニ店員 ~嫁にする予定のプリンセスはトップアイドル~  作者: 猫田ねむる
20章 婚約者1 ルイジアナ国とニシノリゾート共和国
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20-10話

 久々にダンジョン自治区の俺の館でゆっくりしている。これまで忙しくて考える時間があまりなかったので、ここで現状を確認してみよう。


 俺は時空の歪みに飲み込まれこの異世界に勇者として転移した。同時にコンビニで時空の歪み巻き込まれた他の三人のうち二人はすでにこの世界に転生していたので、その後出会うことができた。キタノオンセン帝国女帝ラブ・メグの双子の妹であるラブ・スジークが筋肉好代さん(当時会社員)、そしてスイーツ教女神アマイが天井千代子さん(当時高校生)だ。あと一人、 無限野玲詩妃むげんのれしぴさん89歳とは出会えていない。


 この世界には勇者が必要な理由があった。もうじき魔王が誕生しオタク達を引き連れ反乱を起こすのだ。そこで勇者である俺の出番なのだが、なぜか俺の攻撃力は人並み以下。剣と勇者の世界で俺スゲーとかツエーどころの騒ぎではない。自分の命も守れそうにない。


 だが幸運にも、ここは力が支配する世界ではなく乙女ゲーム『姫と勇者とミルクショコラ』とそっくりな世界であることが分かった。攻撃力の無い俺でも事前に魔王対策をすれば世界を救えるかもしれない。今から二年後がゲームの舞台だ。俺の狙いは、個人ではなく組織として戦うことだ。ゲームが始まる前に自分達の味方を増やして戦力を整え、逆に魔王やオタク達の力をできるだけ削ぐ。可能であればゲームが始まる前に魔王を倒したい。


 そのためにも、まずは味方づくりが大切となる。シナリオ的には婚約者がキーになりそうだ。本来ならプレイヤーが女性を一人選び、ライバル女性を蹴落としながら、そして時には女同士の友情を育みながら勇者(俺)との婚約を目指すというストーリー。マルチエンディングゲームであり、上手く結婚できることもあれば結婚できない、あるいは一夫多妻になることもあるらしい。プレイヤーが不在な今、逆に勇者の方から動いてゲームを上手く進めようという考えである。


 ここでは婚約者=戦力とみなせる。婚約者が少なすぎると俺の味方となる国や組織が少なくなり戦力不足、逆に多すぎると味方も増えるがオタク達の妬みを買い敵も増える。婚約者の選定が難しいところだ。そこで、シャム姫は王城の魔術師シバを中心として魔王対策部会を立ち上げ婚約予定者の選定を慎重に行っている。


 すでにマンチカン、アンゴーラとは正式に婚約済。ジェーン、ラグドールとの婚約は承諾済みであるが、出身国の承認がまだである。


ルイジアナ・マンチカン

 旧ルイジアナ王国の末裔の姫。プリンセス娘序列二位の小学生。兄はルイジアナ・イケメン・ブリーダー。マンチカンとはニシノリゾート共和国オモイザワ村で初めて出会った。スワン王妃やシャム姫達と一緒に洞窟の女神を目覚めさせに行く道中、マンチカンの実家前で無理やりタピオカミルクティーを奢らされたのだ。そして、その場でマンチカンは俺に婚約を申し出た。財産目当てのようだがマンチカン押しのトップオタ達に命を狙われていた俺は、それに同意した。


アンゴーラ

 ニシノリゾート共和国の基礎を作ったオタ・クー王の末裔の姫。現オモイザワ村の村長で二十五歳。背が低いのにムチムチしているおかっぱ頭の普通の人。少し前までデパートの受付で働いていたが新人にはかなわないと感じ自主退職した。オモイザワ村がゴキ集団に襲われた時、アルマジロ亭の非常階段で気を失って倒れていたアンゴーラを助けたのが最初の出会いだ。アンゴーラ本人からの申し出を受け入れ婚約。


クイーン・ジェーン

 ダークエルフ国の三番目の姫。元プリンセス娘序列一位。ビキニアーマーのイケてるお姉さん。年齢不詳。自治区産のワインが気に入り有無を言わさず婚約することになった。


ラグドール

 エルフ国の十番目の姫。現在は俺の部下。かつて、退屈なエルフの国を飛び出しダンジョン自治区で冒険者=ショコラな妖精・ラグドールちゃんとして活躍していた。その後、都会に憧れて公務員試験を受け王城の財務局に採用された。そこで俺の会計担当となったのが最初の出会いだ。ライバルのクイーン・ジェーンに対抗すべく婚約を申し出てきたので仕方なく受け入れた。王城ではコスプレ感満載の教育ママのようなメガネを装着した金髪ロングストレートのOL風だったが、現在は典型的なエルフの容姿である銀髪ストレートのナチュラル美人に戻している。ただし性格はがさつなままだ。


 以上が現在の婚約者だ。こうやって思い返してみると、全て女性の方から婚約を申し出ている。モテる男はツライぜ・・・多分シナリオの強制力だと思うけど。だが、これ以降の婚約者候補は一筋縄では攻略できないだろう。


 以下、婚約者候補。


メンクイーン

 スイーツ教の聖女。時には王城の兵士、時にはイケメン・ブリーダーのファンクラブ会員、時にはタベタリーナ料理長の護衛。イケメンと王城で戦った後、倒れていたメンクイーンを助けたのが最初の出会い。しかし俺との婚約は拒否している。俺とスイーツ教女神アマイちゃんとの婚約には積極的。


スイーツ教女神アマイ

 天井千代子さん。一緒に時空の歪みに飲み込まれたが、千年の眠りの後に女神として復活。乙女ゲームの内容を知っている唯一の人。本人は協力的だが、女神という立場上、簡単に婚約はできないようだ。スイーツ教関係者の協力をどこまで取りまとめられるかがカギになるだろう。


ラブ・メグ

 キタノオンセン帝国の女帝。ラブ・スジーク=筋肉好代の双子の姉。魔女の館で魔力測定をしてもらったのが最初の出会い。ただし女帝なので婚約は難しそう。かといって妹のスジークは権力を持っていないので帝国の戦力が得られない。他に帝国代表の婚約者候補は居ないものか。


ユルフワ・ガリペラ

 自称旧グレートユルフワ帝国の末裔。整形メイクのスペシャリスト。年齢不詳だが三十歳以上なのは確実。キタノオンセン帝国前帝王の息子チャールズの元婚約者。敵か味方か分からないが、邪魔されたくないので味方に引き入れたい意向。俺の気は進まないがガリペラ自身は俺との婚約に積極的。


シャム

 プリンセス娘序列一位。ハートフルピース王国の王女。圧倒的なファンの数、そして王国の姫という重要な立場。婚約に関して当人の同意は非公式には得られているが、スポンサーやファンなど関係者の説得に時間がかかりそうだ。簡単には婚約できない。売れっ子アイドルの宿命。


ミケ

 プリンセス娘序列三位。プリンセス娘のぽっちゃり担当。デパートの近くで馬車とぶつかりそうになったミケを助けたのが最初の出会いだ。その後、天ぷらキングでしっぽりと食事をしながら髪型のアドバイスをしてリップを授けた。それが的中したおかげでミケの人気が急上昇。ミケは俺の信者となり、婚約したがっているという噂。しかしそのおかげで俺はミケのファンから命を狙われている。さらに言えば、プリンセス娘の序列一位から三位までと婚約者するとどれだけ妬まれることか。俺の命は無いに等しい。慎重に行動しよう。


 シャム姫からの次の指令は届いていないが、ダンジョン自治区中央の奥の森にあるというエルフ国やダークエルフ国には行かねばなるまい。そのためにも明日は開通したばかりのダンジョン自治区中央に続く道を視察してみよう。

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