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17-14話

今回は少し短めです。

 人手が足りない。全然足りない。コンビニも拡大したい、早く砂漠の中央までの道を造りたい、シクロクロス大会も行いたい、草木を食い荒らす砂漠ウサギを駆逐をしたい、植林のペースを上げたい、美味いサソリを養殖したい。やりたいことは多々あるが人手が足りなくて困っていた。


 それが教会で治療を行うことで俺が文字通りメインスポンサーになり、信者の手を借りることができるようなった。おかげで計画が順調に進み始めた。こうなると、当初の目的である料理の開発に専念できる。これはグルメ勇者にとっては重要な任務だ。たぶん。


 そもそも、ここダンジョン自治区ではロクな食料が手に入らない。砂漠ウサギは沢山生息しているが、その肉は非常に不味い。一方、サソリはほぼ伊勢海老と同じで非常に美味。だが乱獲されて生息数が少ない。そのため、なんとかしてほしいと城に陳情が届き、それを見て俺がここに赴任したのだ。領主にされたのは予想外だったが。


 というわけで、俺の館に占いババア(本物)と、売らない男爵(ジャガ男爵)を呼びつけて新作カレーの開発を行っている。この二人にはカレー屋の経営をしてもらう予定なのだ。


「不味いですわ」


「美容に悪そう」


「妖精なら死ぬレベル」


「猫でも食べないのにゃ」


「ネコのエサの方がおいしいの」


 砂漠ウサギを使ったカレーを試作しているのだ。スパイスの香りを嗅ぎつけたスワン王妃、シャム姫、エルフのラグドール、猫獣人のミキティ、ミミックのミミちゃんが試食してコメントを残し去って行った。


 硬く臭い砂漠ウサギの肉でも煮込んでスパイスと一緒に食べれば大丈夫だと思っていたが、全然誤魔化すことができなかった。硬さは煮込むことでなんとかなるだろうが、獣特有の臭いの消し方が分からない。暇を見つけては色々と試していたのだが上手くいかなかった。


 そこで元メイドの占いババアに来てもらったのだ。何らかの知識を持っているに違いない。


「というわけで臭いのなんとかならないか?」


「方法が無いわけではない。昔は皆、この肉を美味しく調理して食べていたのじゃからのう。血抜きじゃよ。捕獲したらすぐに血抜きを徹底的にやるのじゃ。まずうなる要因は魔獣の血が原因じゃからのう。ここにわしが捕獲してすぐ十分に血抜きをした砂漠ウサギの肉を持ってきた。これを食べてみるが良い」


 占いババアが持ってきた肉を一口大に切り分け、塩をふりかけ櫛を通して直火焼きにした。焼き鳥的なアレだ。爽やかな香りが辺りに立ちこめた。香りからして全く違う。同じ肉とは思えない。焼き上がりを試食した。


「ウマい! 臭いどころか、むしろ高級和牛的な爽やかさがある!」


 新作カレーの完成が近づいて来た。信者達に血抜きの方法を教えれば、今後入荷する肉は素晴らしいものになるだろう。俺達は更なる美味いカレーを目指し、三人でスパイスの調合、下処理の方法などを語り合った。


 その様子を少し離れたところから寂しそうに見つめるスワン王妃が居たことを俺は知らなかった。

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