2丁目のOL レイナ
初めて連載書きます。数話で完結予定です。
誤字脱字あると思いますが、文章・表現などとくに気にせず、
軽く読んでいただけるとありがたいです。
私が引っ越してきたこの町には、勇者が住んでいる。
勇者ってあれだよあれ。えっと、簡単に言うと。
魔王を討伐しちゃうような人?
まさか、この日本に…というかこの世界に、勇者がいるとは思いもしなかった。
◇◇◇◇◇◇
転職して今月から勤め始めた会社で、朝から書類のファイリングをしていた時のことだ。
なにげなく見た書類の職業欄に『勇者』の文字を見つけ、思わず二度見した。なにこれ悪戯?と思い、上司に確認したら、
「うちの町は少ないほうだよね」
勇者がいるのが当たり前のように返された。
いやいや。私が以前住んでいたところには、そういう方はいませんでしたけど?
この上司、本気か?と思いながら、手元にある書類の束を見つめる。
パラパラとめくりながら、他にも『勇者』と記入されているものがないか確認したら、3件もあった。マジか…
お昼休憩に食堂で一緒になった同期の子達にも聞いてみる。
「うちの実家の隣におじいさんの勇者が住んでたよ。3年前に亡くなったけど」
「は?」
「勇者って世襲制じゃないじゃん?大枚はたいてジョブチェンジか、おじいさんまで勇者続けるか。老体であっちの世界に行くのも大変だ~って、いつも愚痴ってたよ」
シビアだな、おい。
しかも普通に異世界行き来できるんだ?
「うちの近所にも、小学生の女の子の勇者がいるよ」
「へ?」
「小学校は義務なのに勇者は強制か~、って死んだ目してた(笑)」
「あ~、確かにね~。そりゃ可哀想だわ」
勇者、この世界で日常レベルの存在だった。
「で、勇者がどうかしたの?」
「え?いや、その…、私の周りにはいなかったので、みんなどうなのかなって」
「へえ、珍しいね?」
「だね。大体、生まれた時から近所に住んでたよね?」
「うんうん」
「あ、でもこの町の勇者は少ないかも」
そうか…珍しいのは私の方か。
もしかして、今まで近所に住んでたけど、私が気付かなかっただけなのかな?でも、今まで家族からも友達からもそんな話聞いた事ないし。いったい、どういうことなんだろう。
今日家帰ったら妹に聞いてみようかな…。
午後からは勇者のことで頭がいっぱいになり、ミスの連続だった。
勇者は新人社員に地味にダメージを与えた。
帰宅途中に駅前の本屋に寄って、勇者に関する本を探す。
意外にも、ビジネス本コーナーと旅行関係のコーナーに何冊か置いてあって、取説のようなものから、自己啓発、討伐必勝法、魔法・装備取得術、世界別の宿・魔物・魔王城情報マップ等々、いろんな本が出てた。
今まで本屋で買い物したことあるのに、これを見落とすとか。
そうか~。この世界で勇者はありなのか~。
とりあえず、勇者の取説本を購入してアパートへ帰った。
お読みいただきありがとうございました。