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引き取った女の子は邪神の転生体でした  作者: 遠野空
第五章 幻の地下都市
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カオル君の介入


 俺達がキョロキョロしている間に、声は若干、厳しさを増した気がした。


『返事を頂けないようなら、自動防衛システムによって攻撃を行いますが?』


 などと表明した途端――。

 アデリーヌやサクラはもちろん、他のメイドさん達が一斉に俺の周囲に集まり、身構えた。

 誰も合図してないのに、なんという統制の取れた素早い動きっ。

 じゃなくて、押しくら饅頭じゃないんだから、そんなぎゅうぎゅう身体を押しつけられると、いろいろとヤバい。


 特に、俺の前を塞ぐように密着しているサクラとアデリーヌ!




「なんだよ、二人共。もう少し離れないと、一網打尽にされるぞっ」


「自分がトップだっていう自覚が足りないわね、レージ」


 サクラが振り向きもしないで言う。

「組織のトップが死なないように守るのが、下の者の役目でしょうに」

「大変遺憾ながら、わたくしもこのブレイブハートと同意見ですわ」

 アデリーヌも笑顔で頷いた。

「いやだからって――」


『有効と思えるお答えを、まだ頂いていません。盗掘者と見なして攻撃するまで、あと十五秒の猶予を与えましょう』


 機械的な宣言の後、いきなり俺達の周囲の天井各所がパタパタと軽快に引っ繰り返り、その裏側にあったらしい、黒光りする銃器みたいなのをこっちに向けた。

 その間、僅か数秒!

 か、数が半端ないぞっ。物騒な部屋だなっ。




「ふん、そんなの全部、わたしの刀で叩き斬ってやるわよ!」


 早くも膝をたわめて跳躍しようとするサクラの肩を、俺は危ういところで掴んだ。

「待てって! 自動防衛機能とやらと全面戦争してどうすんだ!? おい、コンピューター声の君、俺は壁の認証部分に掌を置いた時、正式に認証されたはずだぞっ」


『貴方が上のダミー遺跡で、認証を試みたシステムログは残っています。しかし、この基地で認証されるべき手形ではありませんでした。なのに貴方はなぜかあそこをパスした……益々怪しいと判断せざるを得ません。――あと、八秒。七、六』


「うわっ」

 カウントダウン継続してたのかあっと俺が戦慄した瞬間、脳裏に声がした。


『レージ! 非常事態だし、他に方法はなさそうだ。僕と一時代わりたまえ』


 俺は大きく息を吸い込んだ。

 カオル君かっ。おまえこそ、しばらく出て来ないと思ったら、こんなギリギリに登場すんなよっ。

 しかし、攻撃されるまであと数秒もないだろうし、俺はユメを抱き上げて心中で叫んだ。


(なんとかできるなら頼むっ)


 ――次の瞬間、俺の意識はぶっつり途切れた。




 


 素っ気ないカウントダウンで五秒と言われた時、わたくしは当然、次に来る攻撃に備えようとしていました。


 部下のメイド達と共に、まずはマジックシールドで敵の攻撃を防ぎ、その後、即座に反撃に出るつもりで。

 しかし、なぜかわたくしの肩に置かれ、レージ様が落ち着いた声で言われたのです。

「アデリーヌ、後は予に任せよ」


「……うっ」

「なんですって!」


 わたくしと、そしてブレイブハートの女が同時に振り向いた時、ユメちゃんを抱き上げたレージ様は先程までの苦悩が嘘のように微笑しておいででした。


『二秒、一秒――』




「待て、マリア! おまえは私を知っているはずだっ。かつて教えたはずだぞっ。次におまえに会う時は、おそらく私は別の姿で現れるだろうと」


『……どうして私の名前を』


 カウントダウンは中断され、謎の女は狼狽の声を上げました。


「当然、知っているとも!」


 わたくし達が見つめる中、レージ様……いえ、レージンフィルス様は朗々たるお声でお告げになりました。


「知らぬはずはない。なぜなら私はおまえの創造主であり、ここに集う全ての者の創造主だからだ」


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