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引き取った女の子は邪神の転生体でした  作者: 遠野空
第四章 聖母騎士団
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添い寝チャージ


 もはや目覚めることはあるまい――そう思っていたのに、俺は普通に目が覚めた。

 しかも、見知らぬ天井というわけでもなく、アデリーヌの屋敷に与えられた、自室の中である。


「ユメっ」


 慌てて跳ね起きたのだが、別に心配するまでもなく、ユメは隣で俺の腕を抱えて寝ていた。今回は、ちゃんとパジャマ風の夜着を着ている。

 時刻は、既に夜らしい。

 窓の外が暗いからな。




「うわぁ」

 

 ほっとした途端に、俺はたちまち意識した。……今の俺、記憶が戻っている! 

 ユメの力でこの世界に来たって、ちゃんとわかるぞっ。なぜ、ユメ達とはぐれた上に記憶が消えたのか、そこはまだ謎だが。


「なんてこった! なんで今まで忘れてたんだっ」


 思わず上半身を起こそうとして左手をベッドについたら、なにか弾力のあるものに、むぎゅっと触れた。

「あれ?」

 なんだこれ? と結構な大きさのそれを何度か手でぐにぐに強弱つけて揉んでみた……めちゃくちゃ病みつきになる感触だな、これ。


「……はぁ」


なんだ、今の色っぽい声……て、いや待てっ。

 今まで窓の方を向いて寝ていたので、全然気付かなかったが、そういえばユメのいる右側だけじゃなく、俺の左側からも微かな呼吸音がする。

 慌てて布団をめくり、ぱっとそちらを向くと――


「――っ!」


 脳が沸騰するかと思ったっ。

 もう片方の横には金髪のアデリーヌがいて、しかもこの人はブラ(この世界にもあるらしい)とショーツだけだった! サテン生地かと思うような、えらく光沢のある濃紺の上下だ。

 しかも俺は、知らぬこととはいえ、彼女の片方の胸を鷲掴みにして、揉みまくるという暴挙に及んでいた。


「ごめんっ」


 ぱっと手を放すと、別に気を悪くした風でもなく、アデリーヌはその場に正座して一礼した。

少し顔が赤いが、後は平静である。

 しかも、どういうわけか少し身体が光っている!


「こちらこそ失礼を……このような状態の時にどう対応すべきか自信がなかったものですから、一応、わたしが添い寝しながら魔力供給を行っておりました」 


 あ、なんかそう言うと同時にすっと身体の光が消えたな。

 魔力チャージっぽいことしていたのは、本当みたいだ。

 しかし、いかにも当たり前のように言ってくれたが、この子、実はまだ十四歳なのである。それを思い出し、俺は頭がくらくらした。


 なんというアダルト十四歳っ。下着も絶対、十四歳のレベルじゃないっ。

 いや、問題はそこじゃないが。


「こ、このような状態というと……もしかして、俺が倒れた時のことか。そうだ! あいつら、どうなったっ」


 話しているうちにそっちの記憶も蘇り、慌てて尋ねる。


「レージさま達を襲おうとしたやからは、半ば以上、レージさまの反撃で既に倒れておりました。残りは直後に駆けつけたメイドが仕留めましたわ」





「……俺を、背後から攻撃した女がいたはずだけど?」


 刺された時の状況を説明すると、アデリーヌは眉をひそめて考え込んだ。

 どうでもいいが、間近に下着姿の女の子がいると、心が平静を保てないな……おまけにこの人、恐ろしく完成されたスタイルだし。 


「となると、やはり背中から攻撃した不埒ふらち者がいたのですね……メイドが駆けつけた時は、女の姿はなかったようですが。しかし、直後に失礼してレージさまの傷跡を調べたところ、敵は相当な達人のように見受けられました」


「傷跡! そうだっ、そういや俺、アレでどうして生きてんだろう」

 今更だが、俺は慌てて、いつの間にか着ていたパジャマ風夜着ガウンみたいなヤツの前を開けた。


「……心臓から剣が突き出たのを確かに見たのに、もう傷がない」

「傷跡は、復活後数分で消えましたわ……ご心配なく」


 アデリーヌが手を伸ばし、心臓のあたりを撫でてくれた。

 う……ちょっと意識するんで、そういうのはまずいような。いや、ちょっともなにも、この人未だに思いっきり下着のままだが。

 あと、「復活」とかさらりと言ってくれたが、キリストさんじゃあるまいし、俺にそんな芸当はできないと思うのだな。


 多分、ユメの神的パワーだろう。 


 俺が一人決めに納得した途端、アデリーヌが厳しい表情で立ち上がってベッドを下り、優雅に一礼した。


「生き残りがまだ一人おりますので、謎の女のことを審問して参ります……レージさまは、ごゆるりとお休みください」

「あ、いやいや……治療、ありがとう」


 治療というか添い寝チャージみたいな感じだが。


「とんでもありません。屋敷内でこのようなこと……おわびのしようもございませんわ」


 なんだか手を握られて、また胸に押し当てられた。

 そ、そのおわびの仕方はそういうスタイルかもしれないが、俺には刺激が強すぎる。


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