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引き取った女の子は邪神の転生体でした  作者: 遠野空
第三章 レベル対応型、私邸内ダンジョン
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同行者はメイドさん


 自分で号令かけた割にはさらにサクラと揉めた後、最終的に俺達は俺の意見通り、「レベル40~レベル50」を推奨としたダンジョンに潜り込んだ。


 ちなみに、メンバーは俺とサクラ、それに「ユメもいくのぉおお」とせがみまくって俺が根負けしたため、ユメとその護衛達である。

 つまり、ユメに三名のメイドさんがぴったり付き添っている。


 あ、もう一人忘れていた。

 前衛というか、先を進む俺達と一緒に、実はもう一人メイドさんが付き従っている。

 アデリーヌが、俺とサクラにぜひもう一人メイドさんを付けたいというので、やむなくこっちから指名したのである。


 今朝、メシを持ってきてくれた、エレインという子だ。


 薄水色の髪をワンレンの髪型にした人で、片目が隠れたメイドさん。少女漫画風の大きな瞳に似合わず、レベルの50の四天王(レージ呼称)である。

 モデルさんかっつーほど、ウエスト細くて足が長い。まあ、メイド服にコルセットがついているせいもあるかもだが。


 とにかく、総勢七名! 遠足じゃないんだから、次はもっと減らそう。




 

 いよいよ転移した時、該当する魔法陣の上に立って「出発!」と声を上げると、それでもう、ダンジョン内だった。

 本当にこのシステム、手軽だなっ。


「うおっ」


 最初俺は、もう転移していると思わず後ろを振り向いたが、もはやそこは何もない壁であり、後ろからついてくるはずの、メイド三名とユメがいるだけだった。




「なんという……このダンジョンがゲームも同然だって? ちょっと信じ難い」


 正直、ここは予想以上に凄かった。

 触ると、全てリアルな感触があるのはもちろん、さらにかなり広い。

 マヤ文明作かと思うような、ぴちっとした煉瓦造りの通路なんだが、その四角い通路の広さときたら、横幅が優に十メートルはある。

 天井までの高さも半端ない。

 多分、五メートル以上はあるだろうな、これ。


 十トントラックだって、余裕でここで爆走できる。

 それでいて薄汚れているわけでもなく、どこか青みがかった壁と黒い通路のダンジョンが、ぐねぐねと入り組んで先へ続いている。


 壁にはちゃんと、等間隔で松明たいまつの明かりさえある。

 逆に言うと、松明の明かりが照らす程度の視界しかないということだ。


「じゃあエレインさん、よろしくお願いします」


 俺は一応、歩き出した途端、メイド服のエレインさんに一礼した。

 社交性レベルは決して高くない俺だが、こう見えて挨拶くらいはちゃんとするのだ。

 すると、驚いたことに彼女は髪と同色の水色の瞳を潤ませ、胸に手を当てた。


「同行のご指名を頂いたばかりか、私の名前を覚えていてくださるとは……もったいなきこと」

「ああ、いえいえ……お世話になっているのですし」


 というか、アデリーヌ以外に名前を覚えている人がいなかった。

「うおっ」

 いきなり微妙に距離を詰められ、彼女の胸が当たりそうになった。


「できましたら、敬語ではなく臣下に命令するようにお話しください……事実、そうなのですから。対等の会話は、おそれ多いことです」


「ええと、わかりました……じゃなくて、わかった」

 なんかもう、「いやさすがにそれは」とか言えない感じだからな。

 やむなく俺は頷き、ようやく前進が始まった。

 先頭が俺達三名で、ちょっと距離を開けてユメ達だ。

 ユメは俺と一緒にいたがったが、「とにかく今日だけは我慢しな」と言ってある。まだ俺も、ここがどういう場所か、様子がわかってないからな。

 ゲームみたいなものと言われても、本当にそうかどうか確かめないと。




 などと人が決意を新たにしているのに、歩き出した途端、サクラが嫌みを言いやがる。


「レージ、もしかして後ろの人の猥褻な写真でも盗撮したの? それで脅しているとか?」

「馬鹿かぁ、おまえっ。全部、彼女達の好意だ!」


 からかっているのはわかっていたが、それでも言い返してしまった。

 俺達の関係が異様なので疑問なのはわかるが、あまりにもひでー濡れ衣だし。

 心配になって背後を振り返ると、エレインはサクラの背中を睨んでいた。


 い、今のが聞こえたのかっ。思わず焦ったが、こっちが振り向いたのに気付くと、視線を合わせて微笑んでくれた。

 良かった……俺は別に嫌われてないようだ。

 いや、サクラだって嫌われたらまずいか。


「おまえな、もう少し口の利き方に」


 俺が注意しようとしたところ、サクラが手で制した。


「しっ。早速、最初の敵が来たわよっ」


 ま、マジかっ。

 はっきり言うが、心の準備は出来てないっ。


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