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引き取った女の子は邪神の転生体でした  作者: 遠野空
第二章 ご神体(のごとき)扱いのレージ
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武装メイドさん

 文句はないが、この子の服を探して周りを見ると、ベッドの横に全部脱ぎ散らかしてあった。

 可愛い縞模様のパンツまで落ちてて、俺が照れる始末である。


「なあユメ、服を脱ぐのはいいけど……いや、よく考えたらそれも問題あるか。とにかく、脱いだ服はちゃんと畳んでおかないと駄目だぞ。だらしない人だと思われるからな」


 とか言いつつ、俺もそこら辺に脱いで寝ることはあるのだが、今日はちゃんと畳んでソファーに置いてあった。

 そりゃまあ、よその家だしな、ここ。


「昨日のお風呂場はしかたなかったけど、ユメはいつもはパパにしか裸見せないのよ。それでもだめ?」


「い、いや……裸を見せる見せないのは問題ではなく……まあいいや」

 小首を傾げて訊くこの子のあまりの可愛さに腰砕けになり、俺は結局、途中で頭を撫でてやった。

「まあ、注意できたらするということで……」

「うん……注意するの……えへへ」

 撫でられると嬉しいのか、やたらとニコニコする。

 それがまた可愛くて余計に撫でてしまうという……。


「どういうわけか、会う前はもう少し大きい子のイメージあったけど、今はあんまり違和感ないなあ」


 上半身を起こして何気なく呟いたら、なぜかユメはぱっと顔を上げた。

「パパもそう思う!? ユメもね、街で歩いている時、どうしてだか、自分が少し小さくなっている気がするのよ……前はもう少し大きかった気がする」

「そうなのか?」

 筆で描いたみたいな綺麗な眉をきゅっと寄せるユメを見て、俺も多少の疑問は湧いたが。

 しかしまあ、そこまで気にするものでもなかろう。


「あまり気にすることないぞ。気付いたら年取ってるより、だいぶマシだ。身体の方は、また成長するさ」

「パパは気にしない?」

「ああ」

「……じゃあ、ユメも気にしない」


 笑顔が戻ってほっとした。

 すると、まるでタイミングを計ったようにノックの音がした。


「あ、はいっ」

「朝食をお持ち致しました」


 やたらと可愛い声がした。


「えっ。いや、てっきりまたあの広間で食べるのかと」

「普段はそうなのですが、アデリーヌ様が、『ユメちゃんと一緒にいるようだから、今朝は同じ部屋でお食べになりたいかもしれないわ』と仰いましたので」


「いやぁ、気を遣わせて申し訳ない」

 ということは、ユメがこっちに来てることはバレてるわけな。

 状況柄、俺は思わずバツが悪くなったが、でもまあ今のユメは、どう見ても十歳未満だしな。あんまり問題ないような……やっぱりあるような。





「あの……入ってもよろしいでしょうか」

 外からまた言われ、俺は慌てて返事した。

「あ、申し訳ない。まだベッドですが、それでもよければ」

 慌てて毛布ごと布団を引っ張り上げると、ユメもさっと布団の中に隠れたりして。

 俺以外の人には、まだ人見知りするらしい。


「では、失礼致します」

 ドアを開け、ワゴンを押してメイドさんが入ってくる。

 この屋敷は、なぜか綺麗なメイドさんが呆れるほど大勢いるんだが、この人もまた、とんでもなく可愛いというか、メイドさんレベル高い。

 髪も瞳も薄水色で、凜々しいというよりは、可愛い系の人だ。

 前髪を伸ばしているので、片方の目がほとんど隠れていた。

 少女漫画みたいに瞳の大きな人でもある。


 顔はまだそこまで大人にも見えないので、多分、サクラとどっこいどっこいの年齢だと思うのだが。この人が秋葉原のメイド喫茶とかで勤めたりすると、周囲の他の競合店が潰れそうだな。なぜかメイドさんのくせに帯剣してるのが不思議だが。


 俺がぽかんと見とれている間に、女の子はワゴンを置くだけではなく、てきぱきと食事の支度を始めようとした。 ベッドに寝たままでも食べられるベッドテーブルが部屋の隅にあったんだが、それを押してきて、配膳まで全てやってくれようとした。

 そこでようやく気付き、俺は慌てて止めた。


 いや、スカート短いのが相変わらず気になり、パンストの足ばかり見てたんで。




「いえいえ、そっちは俺がやりますので。お気遣いなく」

「……もしご遠慮でしたら」

「いやぁ、本当に大丈夫です。ちょうどベッド出たかったので」

「そうですか」

 上目遣いのずきっとくる視線で俺を見やり、それからなにやらもじもじした後、ふいにスカートのポケットから小さなカードを出して渡してくれた。


 なんだこれ? メイド喫茶でくれる、キャラカードみたいなのか。まさかな。


「私はエレインと申します。今後とも、どうかよろしくお願い申し上げます」

 腰が九十度になるほど、ベッドの俺に深々とお辞儀などした。

「あ、いや……こちらこそ」

 もらったカードを見ようとしてた俺は、慌てて自分も低頭した。

「ごゆっくりどうぞ、レージさま」

 最後の挨拶の後、なぜかエレインとやらは真剣な声でこう述べた。


「我が、大いなる君のために」


 右の拳を左肩の下に当てたりして。

 大いなる君って、あのスタイルいいアデリーヌのことか? いや、この人もたいがいスタイルいいけど。


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