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引き取った女の子は邪神の転生体でした  作者: 遠野空
第一章 落ちぶれた闇の軍勢
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やみのぐんぜいは、新たな兵士をぼしゅうしています

「おまえ、凄い奴だったんだなあ……」


 気まずそうに突っ立っているサクラを激賞してやった俺は、微妙に厳しいような厳しくないような依頼条件を読んだ。

 ちなみに、依頼条件なんか書いてあるのは、ランクの上位五十名までだ。

 あとは「贅沢言わずに受けろ」って話だろう。




「ここに書いてある禁止事項、全部依頼されたのか?」

「実際は、その倍くらい……最初は真面目なのばかりだったのに、一度、人が多い夜にここへ来たら、それから急に変な依頼が増えたのよ」

 すげー迷惑そうに言う。

 多分、うっかりサクラの姿見て惚れた奴が大勢出てきて、エロ方向の依頼しようとしたんだろうな。こいつにそんなの期待しても、絶対無理だろうに。

「パトロン制度なんてのもあるのな、やっぱり」


「そう、パトロン側からの募集もあるわよ……ジョンがレベル計測のリング持ってくるまで間があるから、一応は見ておく? 戦闘系のギルドなのに、割と募集の幅が広いわ。上手く向こうが契約結んでくれたら、衣食住の心配はなくなるわね」


「関係ないとは思うけど、一応」

 元々俺は好奇心も強い方なので、謹んでお勧めに従った。

 やはり、一階ホールのカウンター近くにそれはあった。ただし、これは紙に書いて貼ってあるのではなく、黒板みたいなのに丁寧にチョークで書いてある。

 以下、こんな感じだ。





○パトロン希望者からの申し出○

(基本的に契約期間は、最低一年。衣食住を保証する前提)


募集当事者と、下は条件。


デイン家当主

☆見目麗しい女性を希望。剣技に秀でたり、絵が描けたりするとなおよし。

衣食住は当然、それに毎日の謝礼を保証。


タリサ伯爵令嬢

☆先史時代の遺跡に詳しい者を希望します。護衛も兼ねることができれば、優遇。

かかる費用は、全てこちら負担。


ラーデン男爵

☆リュートの演奏に自信ある者。

我と思わん者は、当屋敷にて面談。

女性優遇。年齢に応じてさらに優遇。





 以下、ずらずら続くが、こっちも結構数が多い。 

 当然、「援助してやりたい希望」なんで、金持ちとか貴族ばかりが名を連ねている気がする。

 しかし……あからさまに下心が窺える文面もあるな、うん。

 興味本位で見ていく俺は、そのうち、「おや」と声に出した。

「なにか見つけた?」

「いや……この申し出は、随分不思議だなと」

 俺が首を傾げた文面は、以下のような募集告知だ。



リュトランド家 

☆光の神以外の神に近しい方

当家の全力を挙げてサポートします。

ぜひ、お越しください。



「リュトランド家? どこかで聞いたわね」

「光の神以外は置いて、近しい方っていうのはなんだろうな?」

「あえて大事なことを書かず、濁してる気がするわね。まあ、ここは本来、光の神を信仰する国だからでしょうけど」

 結局、考えてもわからないので、俺の関心はすぐ他へ移った。


「あ、この横にもボードあるけど、こっちは落書き帳みたいな書き込みだな」


 パトロン告知の横に並んだ、小さなボードにも目を奪われた。

 これは黒板とかじゃなく、コルク板みたいなのに、小さな紙をたくさん貼り付けてある。

「ジュン、第三ダンジョンで待つ」とか、「今夜、一杯やりたい人!」とか、どうでもいい書き込みばかり――



「うっ」


 下の方に貼ってあったくしゃくしゃの紙を見つけ、俺はなぜかどきりとした。

「今度はなにを見つけたの?」

「いや……これだけど……子供かな、これ書いたの」

 名刺くらいの大きさしかない紙には、こう書かれていたのだ。



●やみのぐんぜいは、新たな兵士をぼしゅうしています●



 ……なぜだろうな。

 俺、これを見ていると、ひどく心が騒ぐ。


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