表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
引き取った女の子は邪神の転生体でした  作者: 遠野空
第八章 分裂する世界
140/140

忘れていた、重要なこと

 もうホント、何事かと思ったが。


 幸い、爆発はその一度だけで、後は揺れもすぐに収まった――が。

 どうも、今の爆発音は、階上から聞こえた気がするのだな。

 つまり、この階層の一つ上に当たる、第十一階層から聞こえたような。


「今の、この上だったわよね?」

 サクラがきっと視線を上に向け、呟く。

「おまえもそう思うか――アリサ、センサーは?」


 一番情報が正確そうなアリサに尋ねると、ばっちりだった。


「熱源センサーと、動体センサー、共に反応ありますっ。上の階層で間違いありませんっ」


「よ、よし、じゃあ――」

「とつげきー!」

「あ、こらっ」


 固唾かたずを呑んだ俺を尻目に、ユメが叫び声を上げて、元の階段の方へ走っていく。一番早いコースで上の階に行くつもりらしい。





「こらこらっ。だから俺が先頭だって!」


 慌てて追いかけたが、この子がまた、足が速いっ。

 しかし、今回ばかりは意地でも先へ行かせんっ。敵がテレサだったら、ヤバすぎるだろっ。

 とはいえ、奥の手を今使うのは控えた方がいいっ。

 まだ切り札を出す段階じゃないからな。


 ここは一つ――




「アイナ、俺をおぶって全力でセンサーが反応した地点まで頼むっ」


 楽々併走するアイナに、俺は唐突に指示を出す。

 ぱっとこちらを向いた彼女は、実に嬉しそうに声を張り上げた。


「了解しましたっ」

「うわっ」


 返事と俺をささっと抱き上げるのが、ほぼ同時だった。

 俺だって全力疾走してたのに、なんと器用なっ。




「れ、レージ様っ」

「ずるいわよ、レージ!」

「ぱ、パパぁあああっ」


 レジーナ達を始め、みんながガンガン文句つける。 

 しかし、アイナの疾走が速すぎて、たちまち全ての声が後方に置き去りになった。サイボーグの子が本気出したら、やっぱ速いわっ。


「そ、それにしても、おぶってくれたらいいんだけどっ」


 なにもお姫様抱っこせんでもっ。

 俺の苦情に、既に階段に突入したアリサが答える。


「この方が速いですよっ」


 ……この子には、ロボット法三原則などは無縁らしい。

 命令を微妙に破ってるぞー。

 

 しかし、速いのは否定できず、俺達はたちまち上の階層に至り、今度は通路を走り始めた。

ていうか、ここがまだ暗いってことは、どうやらサブコンピューターの電源はそのままか。


 じゃあ、ここで一体、何が――




「マスターっ」


 いきなり急停止したアイナが、俺に呼びかける。


「ど、どうしたっ」

「熱源センサーと動体センサーの反応が、ふいに増えましたっ。総数、101体となっていますっ」

「なにっ。ちょ、ちょっと下ろしてくれっ」


 アイナに頼み、ようやく俺は通路に降り立った。

 ふいに緊張した理由は自分でも不明だったが……そのうち、否応なく思い出した。



「タイプ012だっ。量産型ヒューマノイドで、アイナより前の旧式タイプっ」



 思い出した俺は、思いっきり喚いた。

 くそっ。財宝にかまけて、今の今まで、そっちを忘れていたっ。マリアから、量産型ヒューマノイド100体を見つけてくれって言われてたのにっ。


「この反応が量産型ということはっ」


 アイナもはっとしたように俺を見る。


「残る一人が敵で――旧型のタイプ012を起動させたのですかっ」

「……他に考えようないだろうな」


 俺は腰の刀に手をかけながら、答えた。



 つまり、してやられたってことだ!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ