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引き取った女の子は邪神の転生体でした  作者: 遠野空
第八章 分裂する世界
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敵を探す

 すると、待ってましたとばかりにマリアが話しかけてきた。


『マスター、お戻りですかっ』


「あ、ああ……誰か侵入したって?」

『はいっ。ご注意ください。第五階層より下の階層へと侵入者が逃げ込んだようです。侵入者の現在地は不明。第五~第十二までの、いずれかの階層にいると思われます。場合によっては鉢合わせになる可能性がございますっ』


 ぶっそうな警告に、俺達は思わず顔を見合わせた。





『途中の階層にはまだ私の目が届きませんが、それでもエレベーターは健在ですので、遭遇を避けるためにも、指令センターのある第一階層まで急いでお戻りになることをお勧め致します』

「武装メイドさん達はどうしてる?」


 俺はマリアの意見には答えず、逆に質問した。


『現在、指令センターに残っていた半数が、敵発見のために最後に反応があった場所へ急行しています!』

「第五階層から上の第十二階層までの……どこかってことだったな。それで、敵の正体はまだ不明?」

『不明ですが、私が発見した時の熱源は、一人分だけでした。それより、敵の破壊工作でエレベーターが止まらないとも限らないので、急いで』


「いや、俺は戻らない」


 悪いとは思ったが、俺はにべもなく遮った。


「逆にこの階層から上へ上へと順次上がっていって、どこかで敵を見つけられないかやってみる」

『マスターが自ら戦われることは――』


「いやいや、そうもいかないさ。なにせ、俺が一番死ににくいらしいから。このことで議論するのはやめとこう。とにかく今から上の階層を見てみる。なにか進展あったら教えてくれ……と言いつつ、よく考えたら上の階層ではまだマリアに通じないか。じゃあいいや。またな、マリア!」


 俺は肩をすくめ、勝手に会話を打ち切った。

 それから、黙って聞いていたレジーナ達メイドさんと、サクラとユメ、それにアイナを順番に見やる。

 特にサクラをとっくりと見た。


「ユメを連れて戻れといっても、おまえは首振るだろうなあ」

「首振るどころか、はっきりと意思表示するわよ。い・や・よ!」


 相変わらず、見も蓋もなく言いやがる。

 じゃあメイドさんに頼むかと思ったが、レジーナを含めた三名のメイドさん達は、『ご一緒します!』と早速、声を合わせやがった。


 き、綺麗に一緒に言わんでも……。


「ああ、わかったわかった! 死なば諸共だよなっ。じゃあ、行くかっ」


 どうせ俺だって一人で放り出されても困る。

 ユメもぐんぐん力を取り戻しているし、俺は不吉なことを考えないことにして、そのまま進み出した。





 ピンク髪のレジーナ曰く、「非常口的な階段がありますので、そこから上がれます」ということなので、俺達はエレベーターを使わず、そのシケた非常階段から上を目指した。

 まあ、エレベーター使うとマリアが問答無用で第一階層まで戻す恐れがあるので、この方がいいかもしれない。

 第十二階層のドアを開けると、本当に真っ暗な通路に出てしまい、レジーナ達が早速、明かりの魔法で照らしてくれた。


「敵のせんめつ作戦かいしー」


 景気よく片手を上げたユメは相変わらずだが、俺はかなりおっかなびっくりで先頭に立っている。

 メイドさんの誰かが「私が先頭を歩きますっ」と主張したが、それも俺が却下した。

 一番HPの高い奴が前衛を務めるべきだしな。


「その理屈だと、私が一番頑丈な気がしますが」


 不思議そうにバトルスーツのアイナが主張する。

 どうでもいいが、純白の髪って、やっぱり薄暗いところでは映えるなあ。


「まあそうかもしれないけど、もう先頭歩いてるし」


 一瞬だけ振り向いてアイナにそう言ってやった。


「それより、各種センサーを最大限活用して、敵の所在を探ってみてくれ」

「了解です!」


 大して期待してなかったが、アイナは張り切って答えてくれた。

「しかし……反応が一人だけあったってマリアの情報からして、今侵入してきたのって、やっぱりあいつかねぇ」

「そりゃテレサでしょうね」


 俺があえて名前出さなかったのに、サクラが例によって平然と言いやがる。

 あと、わがままなこいつは、いつも通り、人の言うことも聞かずに俺の隣を歩いていた。


「ユメぇ、ユメがパパの右隣ぃいいっ。サクラはあっちいけ!」


 とユメがしきりにサクラのスカートを引っ張っていたが、「危ないから我慢しなさい」の一言で無視。





「なまいきなのよおっ」


 一言で却下されたユメが喚いた。


「そのうち、後ろからパンツ下ろしちゃうもんっ」 


 その罵声に、思わず脱力した俺である。

 復讐の仕方が俺と大差ない……まあ、俺の場合は思うだけだが。

 しかも結局、ブツブツ言いながらも、ユメは俺の左隣にくるわけで……左右の違いで喧嘩することないだろうに。

 それはともかく、歩き出していくらもしないうちに、アイナが叫んだ。


「マスター!」


 緊迫感満載の声に飛び上がりそうになった途端、いきなり爆発音がして、通路が大揺れに揺れた。


「な、なんだ!?」





数日前から「創造主がキャラを愛でる」という新作書いてますので、よろしくです。

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