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引き取った女の子は邪神の転生体でした  作者: 遠野空
第七章 次の覇者は誰だ?
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まだまだ深い地下


 いずれにせよ、俺が今このロクストン城に残っていてもやることもないだろうから、当初の予定通り、俺達は魔法陣でダルムートへ転移した。


 どうせ、メイドさん達の交代も必要だしな。


 今度はダルムートに残っていたメイドさんグループと、一緒についてきたメイドさんグループが、持ち場の交代をするわけである。

 アデリーヌばかりを働かせるのもなんなので、俺はダルムートの司令室に戻るなり、マザーコンピューターのマリアに尋ねた。






「ダルムートの地下に秘密の何かがあるそうだが、ここの地下って何階まであるのかな?」

『この指令センターのある区画を地下第一階層とするなら、地下は第十三階層まであります――が』


「地下に、十三階層っ!? 想像以上に深いのねっ」

「お宝ぁあああっ」


 呆れたようなサクラの声と、嬉しそうなユメの声が重なる。 

 別に財宝があるとは限らないというのにー。


『しかし、現時点で私の管理が及んでいるのは、地下の第四階層までです。後の施設は、まだサブピューターが再起動しておらず――』


「皆まで言うなって。俺達が起動していくよ、例によって」

『ご苦労おかけします』


 マリアは心なしか申し訳なさそうに述べた。


『私がいるこの第一階層でしたら、お留守の間にほぼ全域をカバー出来たのですが、さすがに地下はまだ手つかずなので』

「いいさ。今日はまだ何もしてないし、早速、ちょっと下りてみるよ」


『それでしたらマスター、お願いがございます』


「サブコンピューターの再起動以外に?」

『はい。実は保管場所の記録が抹消されていますが、私のメモリーによれば、量産型ヒューマノイドのタイプ012が百体、地下階層のいずれかに保管されているはずです。それを見つけて起動すれば、大きな戦力になるかと』





「タイプ012!? ていうと、アイナがタイプ013だったから――」


 俺が横目で見ると、アイナは生真面目に頷いた。


「タイプ012は私が設計される以前に普及していた、大量生産されたヒューマノイドです。武装は私より劣りますが、それでも戦闘タイプですので、人間とは戦闘力が比較になりません」

「……だろうな」


 アイナみたいな子が、同じ顔で百人揃ってる図式を想像して、俺は頭がくらくらした。まあ、そっちは純白の髪と薄赤い瞳じゃないかもしれないが。


「そりゃますます地下探索しなきゃな……それも、早急に」

「またしてもテレサが侵入して、今度はその大量の量産型をガメてしまうかもしれないしね!」


 俺があえて言わなかったことを、サクラがあっさり言ってくれた。


「いや、もう進入路は塞いでいるし、大丈夫……のはず」


 とか言いつつ、俺達だってまだここの全容を把握してないけどな。

 あの女がマリア以上の知識を持っていないことを祈るだけだ。


「あのぉ、マスター」

「うん、どうした、アイナ?」


 遠慮がちに口を挟んできたのでまた振り返ると、アイナは実に言いにくそうに教えてくれた。


「マザーコンピューターのマリアのデータでは、十三階層までとなっているようですが、それは正確な事実ではありません」


 たちまち俺達は全員が彼女に注目した。


『どういうことでしょう?』


 マリアまであえて尋ねたほどだ。


「私が眠りにつく直前に得たデータによると、この施設の最深部よりさらに地下に、先史時代の人々が使用していた、地下の軍道のようなものが残っているそうです。それも、想像以上の規模で地下の隅々に広がっているとか」


「つまり……十三階層まで地下に下りられたとしても、まだその先があるってことか?」

「その通りでございます。――なんなら、私が先行して調べてきましょうか」

「いや、それはやめた方がいい」


 今回ばかりは、俺はアイナの意見をきっぱりと却下した。


「一度は侵入に成功したんだから、テレサがまた侵入して来ないとも限らない。あいつとは一対一でやり合わない方がいい」


 声に出しつつ、俺は司令室の中をぐるっと見渡した。

 だいたい、こりゃ俺達だってヤバそうだ。

 幸か不幸か、まだ一緒にきたメイドさん達のほとんどは、遠回しに俺達を囲んで注視しているような。


「今回も、武装メイドさんの何人かに同行してもらおう。……手空きの人、いるかな?」


 訊いた途端、間髪入れずに三十名はいたメイドさんの全員がさっと手を上げてくれた。

 有り難いことだが……でも、全員が手空きの訳ないだろうに。


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