表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
引き取った女の子は邪神の転生体でした  作者: 遠野空
第五章 幻の地下都市
109/140

怪我


 俺達がようやく追いつきかけた時、通路の先でサクラと問題の侵入者が激しくやり合っていた上に、エレインまで参戦しかけていた。

 おまけに、ユメまで前へ出て「三対一でふくろ叩きなのよーーっ」と嬉しそうに叫んでいるという……。


「アイナっ。追いつく前に、あの白いドレスの女、攻撃できるかい?」


 危機感を覚えた俺は、見つけたばかりのタイプ013の肩を叩いて頼んだ。

 ちなみにアイナというのは、数字で呼ぶのがアレすぎるので、俺がつけた仮名である。本人はいたって気に入ったみたいだが。


「もちろんです!」


 頼もしく応じたアイナは、走りながらいきなり右腕を掴んで外した。

 これには、さすがにぎょっとした!

 見れば、肘の辺りに何かある。おそらく銃口的な物が複数、真円の形に並んでいた。

 なんだこれ、機関砲なのか!?


 その間にも、サクラが止めるのも聞かずにユメが敵に向かいそうで、俺は焦って叫ぶ。



  

「そう、ユメは駄目だぞっ」


 同時に、俺の横でバトルスーツ姿のアイナが猛然とダッシュに移りつつ、右腕の機関砲みたいなのを発射した。

 なんと、通常弾ではなく「ビシュビシュビシュッ!」という独特の音と共に、白い閃光みたいなのが幾筋も走った!


 おいおい、まさかのビーム兵器かよっ。


 ビームの奔流を雨あられと敵に浴びせつつ、アイナがあっと言う間にサクラ達を易々と飛び越え、敵に猛然と肉薄していく。

 これだけ撃ちまくっているのに、嘘のようなコントロールを発揮し、味方には掠りもしない。


 たった今、目覚めたばかりの子とは思えんっ。

 それに、サクラ達を跳び越えて敵に躍り込む寸前に、横の壁を蹴って跳躍したし!

 まあ、敵も残像が見えるような俊敏な動きで、その攻撃を片端から避けてるんだけど。

 しかも、きっとまなじりを吊り上げてこちらを見ると、いきなり叫んだ。


「こしゃくな!」


 その瞬間、ふっと敵の姿が消える。

 以前、背中から刺された時のことを思い出して、俺はぞっとした。いや、こいつがあの時の敵と同一人物だとは限らないけど。

 だが、今回は知らぬ間に味方が刺された、なんてことにはならなかった。


 敵とほぼ同時にアイナの姿もふっと消え、次の瞬間、肉と肉がぶつかるような、エグい音がした。

 途端に再度、敵の姿が現れ、くるくると後方回転しつつ、華麗に着地する。


 おおっ、アイナのスピードはさすがだっ。

 見事に敵の動きに追従していたらしい。


 ドレスの敵は、そのまま俺の方をひと睨みした後、踵を返して猛然と走り出した。要するに、撤退してくれたわけだ。




「アイナ、追わなくていいっ」

 そのまま追撃に移りかけた彼女を、俺は素早く制した。 

 深追いすると、ろくなことにならない気がする。

「了解です、マスター」


「パパぁ~」

「レージ様っ」


 ちょうど、ユメが走ってきたのを抱き上げ、その新たな重さにちょっとよろめいた後、俺は笑顔のアイナに頷く。


「ご苦労様」


 ただ、次にサクラを見て、かなりぎょっとした。


「おいっ。おまえそれ、大丈夫か?」

「なにがよ?」

「身体、あちこち斬られてるようだが」


 セーラー服に、幾筋もすぱっと切れた跡があって、その下の肌にうっすら血が滲んでいるのが見えるのだな。

 ちなみに、胸元にもそんな傷があり、魅惑の膨らみにまで傷があったりする。

 本日のブラはピンクだったことまで、否応なくわかってしまった……こんな時になんだが、ちゃんとショーツの色も揃えているようだ。


 なにせ、スカートも一部斬られてるんで。


「平気よ……大半は掠らせただけだけど、でも危ないのも食らってたみた……い」


 なんか声が弱ったかと思うと、そのままがっくりと膝をつく。


「おいおいっ」


 慌てた俺は急いでユメを下ろし、駆け寄ってサクラを支えてやった。

 見ると……今更のようにどばっと下腹から血が溢れ、だくだく鮮血が流れ始めていた。


 こんな、時間差つけて傷が開くことって――ていうか、だいぶ深い傷じゃないかーー!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ