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引き取った女の子は邪神の転生体でした  作者: 遠野空
第五章 幻の地下都市
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侵入者探知


「――あっ」


 いきなりサクラが声を上げ、俺達は一斉に注目した。


「こ、今度はなんだよっ」

「なにを殺気立ってるのよ?」


 サクラは呆れたように俺を見て、カプセルのさらに奥の壁を指差した。


「各所に点在しているサブコンピューターって、これのことじゃないの? だって、出発前にマリアが言った通り、黒い機械の上の方に、白い矢印マークがあるし」 


 マリアの説明では、「マスター達の概念で説明しますと、おそらく問題のサブコンピューターには、上部に矢印に似たマークがあるはずです」と説明していたが、確かにそんな形をしていた。


 その下に、大型のレバーみたいなのがついていたが、これも先に聞いていた通りである。念のためにプリントアウトしてもらった地図を見ると、気が遠くなるほどたくさんある目的地の一つは、確実にここのようだ。




「じゃあ、アレを押し上げたらいいわけだな」

「……レージが迂闊うかつにスイッチ入れた途端、各所に眠る化け物が、一斉に目覚めたりして」


 サクラが愉快そうに俺をからかった。


「その展開はバイオハザードで見たわいっ。おまえ、古いぞ!」


 いや、アレは逆に電源が切れたから、化け物が目覚めたんだっけか。

 まあ、そんなことはどうでもいいがな。

 実はだいぶ後になってから、俺はこのことを思い出して肝を冷やすことになるのだが――あいにく今の俺は特に警戒もせず、近寄ってガコンッと黒いレバーを押し上げてやった。


 すると――キュィィィィンンというなんとも言えない音がしたかと思うと、いきなり部屋が明るくなった。


 例によって光源も特にないのに、周囲が昼間のように明るくなる。

 開いたままだった自動ドアも、音もなくぴしゃりと閉まった。超科学すぎて、元来は日本人の俺でさえ、わけわからん。


 加えて、即座にマリアの声がした。





『お疲れ様です、マスター。A3エリアのサブコンピューターの再起動と、ジェネレーターの起動を確認。動力が蘇り、再びそのエリアが私の支配下に入りました』



「その番号の振り方からして、まだまだ先は長そうですね!」


 エレインが、なぜか楽しそうに言う。

 俺も苦笑して、どこかで聞いているマリアに答えた。


「このまま先を急ぐけど、もう簡単にジェネレーターとサブコンピューターとやらが切れないようにしてくれよ」

『システム管理者の命令受諾。再起動後は、こちらからシステムの管理指令を出し、各地区のシステムを統合していきます』

「……まあ、その再起動作業がまだどっとあるんだが」


 愚痴った後、俺は肝心なことを思い出した。


「そうだ! さっきサクラが、暗闇の中で誰かの姿を見たらしいっ。元はこの部屋にいたようだが……電源回復したなら、そっちで確認できないか?」


 正確には、この施設の動力とやらは、俺が知る「電気」とは別モノらしいが、どうせ俺には理解できない。


『しばらくお待ちを。A3エリアのセキュリティシステムが順調に回復中……システム全回復……そのまま、エリア内の異物探査に移行。……調査中……調査中……不審者の移動を探知!』


 ものの数秒で、切り裂くようなマリアの声がした。




「うお、マジでいたっ」


 俺が声を上げると、即座にサクラが突っ込んだ。


「だからいるって言ったでしょ! それより、そいつって元々この部屋にいたみたいだけど、記録ではどうなってるの?」


 後半はマリアへの質問だったようだが、彼女はちゃんと答えてくれた。

 ただし、参考にはならなかったが。


『過去の記録は、かつてのマスター達が故意に抹消済み。私は自らが管理していた狭いエリアの情報しか、持っていません』


「いいさ。俺達で確認すればいい。廊下へ出て追うから、情報を逐次送ってくれ」

『了解しました!』


 マリアの返事を聞いた後、俺達はそのまま部屋を出た。


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