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引き取った女の子は邪神の転生体でした  作者: 遠野空
第五章 幻の地下都市
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レージ達の探索

 俺の「どうもブレイブハートの中に、ヤバい女が登場したみたいだ」という警告を、アデリーヌは真剣に受け止め、早速調査してくれた。


 その結果、引っ越しが終わった数日後には、その「ヤバい女」が誰か、おおよそ特定できた。




「敵はその存在をひた隠しにしているようですが――どうやらテレサ・パラディーヌという金髪の少女が、レージさまの警告の戦士でしょう」


 憂い顔で言うと、アデリーヌは嫌なことを思い出させてくれた。


「屋敷で、レージさまを背後から刺した者も、確か声は女性だったとお伺いしました。おそらく、それこそがテレサである可能性があります。ただ、あの時に生き残りの襲撃者に背中から刺した不届き者のことを尋ねても、どうやらその者には見えていなかったらしく……」


 申し訳なさそうに言ってくれたが、俺としてはこれは普通に納得できる。

 なぜなら、あの時の俺は、鈍化した時間――それこそ、数十分の一にまでトロくなった時間の中で戦っていたわけだ。 


 なのにあの女は、俺と同じく平然と鈍化した時間の中で動いていた。

 ……ということは、並の人間ではない可能性が高い。




「そいつ、もしかしたら光の神の化身かも」


 ぼそっと俺が言った途端に、アデリーヌはまじまじと目を見開いたな。

「ということは、光の神アフランが降臨していると?」

「ああ、アフランっていう名なのな、光の神は」

 呑気すぎる発言の後、俺は笑ってごまかした。


「いやまあ、俺がそう思うだけだけどね」

 アデリーヌにはああ言ったものの、個人的にはまず間違いないと思っている。

 それと――警戒せにゃならんのは、どうやらその難儀な女だけじゃないらしいのだな。

 リュトランド家の情報網をフルに使って調べた結果、他にも「光の聖戦士」とか呼ばれる、凄腕の少年がブレイブハートにいるらしい。


 そいつは誰よりも先に、新生ブレイブハートの一人として目覚めたそうだが……アデリーヌの調査では、実は百年前の邪神ヴァレンティーヌ(ユメだ!)との戦いの時にも、既に彼のような者がいた記録があるとか。


 ただし、当時の彼はブレイブハートのくせに戦いを放棄し、あえて自らその立場を捨てたらしい。

 それがもし本当だとすると、碧川サクラという前世記憶を持つ唯一のブレイブハート以外にも、当時の記憶を持つ戦士が転生しているわけだ!




「……必ずしも同一人物とは限りませんが、外見的特徴がかなり一致します。想像以上の凄腕らしく、当家でも引き続き彼の動向を追っています」


 ちなみに、降臨した光の神と同じくらい難儀そうなそいつの名は、ロベール・サンピエールとかいうそうな。

 自称十五歳だが、実年齢は謎である。


 下手したら、百年前から生きている可能性も捨てきれないとか。

 今は一応、仮名を名乗っているらしいが、あいにくリュトランド家の調査網はごまかせない。

 しかし、もうこのご大層な本名からして、簡単に片付きそうもない匂いがぷんぷんするじゃないか、くそっ。


 俺の適当な呼び名であるレージとかだと、いつ消えてもおかしくないのに!


 強敵ばかり判明して、全然嬉しくない。





 とはいえ、今のところはまだダルムートの地下拠点に落ち着いたばかりだし、本日の俺は、ユメとエレイン、それに無理についてきたサクラを伴い、この謎の地下拠点を探索中である。


 なぜそんなことをしているかというと、コンピューター声のマリアは本当に協力的になって有り難いのだが、その彼女の監視網も長年の間に各エリアとの接続が切れ、どうなっているのか見えない部分がかなり――というか、大半の地下部分が、彼女も把握できない、闇の領域になっているそうなのだな。


『記録すら抹消されていて、マップが表示できないのです……ただ、一定面積ごとに分散されたサブコンピューターがあるので、それを再起動できれば――』


 ……ということらしい。

 みんな忙しそうなので、唯一暇な俺達が、そのサブコンピューターとやらを起動する役を買って出たわけだ。


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