第39話 王家の隠し事と魔王復活を阻止せよ -3
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7. イリスの知識とルナの情報の収束、そして真実の片鱗
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魔王軍との戦闘が混沌を極める中、イリスは冷静に状況を分析し続けていた。
アリスの歌声が響く中、イリスはルナから得た断片的な情報と、自身が持つ「世界の終焉を記す禁忌の古文書」の知識を総動員し、魔王と世界の歪みの関係を解析しようと試みる。
「ふむ。ルナの感知した世界の終焉のデータと、この古文書の記述が一致するわね」
「イリス様、何か分かりましたか!?」
「ええ。魔王の復活は、単なる悪の復活ではないわ。世界の根源的な歪みが、魔力を凝縮させ、その歪みが魔王という形で具現化しようとしている……」
「な、なんだって!?」
フィーネは、イリスの言葉に顔を青ざめる。その横で、ルナはイリスの解析によって情報が整理され、わずかにフリーズが軽減されていた。
「……世界が……悲鳴を……あげている……」
「ルナさん!」
「この歪みを放置すれば、世界そのものが崩壊するわ」
「崩壊!?」
イリスの言葉に、フィーネの胃がキリキリと痛み始める。
金儲けどころではない、世界の危機という言葉に、フィーネは絶望的な顔を浮かべた。
「まったく、厄介なことに巻き込まれたわね」
「リリア様!そんなこと言ってる場合じゃないです!世界が本当に終わっちゃうんですから!リリア様も一緒に何とかしないとダメです!」
ルナが、震えながらも、これまでにないほどはっきりとリリアを叱咤した。
リリアは、ルナがここまで明確に意見を言えるようになったことに驚き、一瞬言葉を失う。
「なっ……ルナ、あんた……」
しかし、すぐに彼女の表情は柔和になった。
「……フン、そうね。あんたも成長したわね。仕方ないから、付き合ってあげるわよ」
セラは、魔王復活の兆候を示す魔力反応を解析し、目を輝かせている。
「この魔装具を使えば、世界の歪みを視覚化できますね!実験のしがいがあります!」
「セラちゃん、暴走させないでくださいね!」
フィーネの悲鳴が、神殿に響き渡る。調査は、もはや混沌の極みに達していた。
そして、イリスは衝撃の真実を告げる。
「魔王は、かつて世界を調律する存在だったようね。しかし、その調律が、人間から『自由』を奪う矛盾をはらんでいた」
「自由を奪う……?」
フィーネは、イリスの言葉に息をのむ。
「そして、王家は、その真実を隠蔽し、魔王を悪として祭り上げていたようだわ」
「な、なんだって!?」
フィーネは、信じられないといった表情でイリスを見つめる。
「データによると……王家は……真実を……隠している……」
「ルナさん!?」
ルナが、再び情報過多でフリーズ寸前になる。リリアは、そんなルナを支え、魔力無効化能力で彼女の精神的な負荷を軽減する。
「また情報過多?ったく、仕方ないわね。ほら、私の魔力で少しは楽になるはずよ。あんたが動けなくなったら、この場をどう切り抜けるのよ!」
イリスは、ルナから読み取った情報と、古文書の記述を照らし合わせ、さらに解析を進める。
「魔王の復活は、世界の歪みが極限に達した結果、その歪みを正そうとする力が具現化したもの……」
「つまり、魔王は、世界の調律者……?」
フィーネは、イリスの言葉に、混乱した表情を浮かべる。
「ええ。そして、王家は、その調律者を封印することで、人間から『自由』を奪うことなく、世界の均衡を保とうとしていたのね」
「な、なんだって!?」
フィーネは、その真実に、頭を抱えた。魔王が悪ではないとしたら、自分たちは何をしていたのか。
金儲けのために、悪だと思い込んでいた存在を倒そうとしていたのか……。
彼女の胃は、これまでにないほどの激痛に襲われた。
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8. 無自覚な連携、儀式阻止
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「ねぇねぇ、イリスちゃん!
結局、真実がどうだろうと、とにかく魔王を復活させなきゃいいってことよね?
ぶっちゃけ、どうでもよくない?」
アリスがリュートを肩にかけ、呑気な顔でイリスに問いかける。イリスは一瞬口ごもった。
「ま、まぁ、ぶっちゃけそうなんだけど……」
「よっしゃー!じゃあ、妨害しちゃいましょー!
あたしの歌で、ぶっ壊してやるぜ!」
アリスはそう叫ぶと、高らかに歌い出した。その歌声は、魔王軍の術者たちの混乱をさらに加速させる。
「ぐおおお……!体が勝手に……止まらない……!」
「なんだこれ!踊りが止まらねぇ!儀式どころじゃねぇ!」
魔王軍の術者たちは、アリスの歌声に操られるように奇妙なステップを踏み続けている。その隙を、アキナは見逃さなかった。
「よし!世界の真実がどうだろうと関係ない!
受けてみよ、正義の剣!」
フィーネの制止も聞かず、アキナは渾身の一撃を繰り出す。
「もうどうにでもなれーっ!私の胃が限界よ!
バスターソード、くらえーっ!」
フィーネは半ばやけくそになりながら、どこからか取り出した巨大なバスターソードを振り回し、術者たちに突っ込んでいく。
「みんながやるなら、私も遠慮なく。破壊魔法、発動」
エルミナは無表情に呟き、強力な破壊魔法を儀式陣へと放った。
その剣は、術者たちの魔力を吸い取られ、破壊魔法で足止めされ、踊り狂って無防備になった術者たちの、まさに急所へと吸い込まれていく。
「フン、アキナがやるなら、私も手伝ってあげなくもないわね!
この儀式、ぶっ壊してやるわ!」
リリアがツンデレ全開で、魔力無効化の力を儀式陣に叩きつける。
「私もです!この魔装具で、儀式を解析し尽くして、ぶっ壊します!」
セラが目を輝かせながら、怪しげな魔装具を儀式陣に向けて起動させる。
「ふむ。ルナの言っていた『隠された通路』が、この儀式陣の起動キーだったようね」
「イリス様!?」
「そして、エルミナの破壊魔法による祭壇の破壊、セラの魔力吸い取り、アリスの歌による精神攪乱が、すべてこの儀式阻止に繋がった……」
「ありえないわ……!」
イリスは、その光景に目を輝かせながら分析する。儀式陣の周囲の魔力が、文字通り「存在しなくなる」。
「ぐあああああ……!わ、わが魔力が……消える……!?」
魔力無効化の領域に踏み込んだ術者たちは、その身を蝕まれるような感覚に陥り、完全に無力化される。アキナの剣の一撃と、リリアの魔力無効化が、儀式を完全に中断させたのだ。魔王の復活は、完全に阻止された。
「やったー!阻止したぜ!」
「無事……終わって……よかった……です……」
アキナが歓声を上げ、ルナが安堵の息を漏らす。
フィーネは、胃の痛みに耐えながら、このカオスな結末に、ただ呆れ果てるしかなかった。
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