第34話 海賊との宝探し -1
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1. アリスの歌と海賊の襲撃
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王都の賑やかな港町は、朝から活気に満ちていた。色とりどりの旗を掲げた船が停泊し、商人たちの威勢の良い声が響き渡る。そんな港の一角で、アリスがリュートをかき鳴らし、自作の歌を高らかに歌っていた。
「〜♪七つの海を股にかける〜、伝説の海賊は宝を隠し〜、ポンコツだけど最強の絆で〜、世界を救う物語は続く〜♪」
「なんですか、その変な歌!」
フィーネが悲鳴に近い声を上げるが、アリスは全く気にしていない。その歌声は、港の喧騒を切り裂き、遠くまで響き渡っていく。
「へへん、フィーネちゃん、元気出せって!あたしの歌声は、最高の宣伝になるんだぜ!」
「宣伝はいいですから!今は依頼の打ち合わせ中でしょうが!」
フィーネは頭を抱える。今回の依頼は、港の治安維持と、怪しい船の調査だ。
その時、港に停泊していた一隻の巨大な海賊船から、荒々しい男たちが飛び出してきた。彼らはアリスの歌声に誘われるように、まっすぐこちらに向かってくる。
「な、なんだあれ!?」
「海賊だーっ!」
港の人々が悲鳴を上げ、逃げ惑う。
フィーネの顔が青ざめる。
「まさか……アリスさんの歌声が、海賊を呼び寄せたんですか!?」
「えへへ、あたしの歌声、遠くまで届いたみたいだな!」
「届きすぎです!」
アリスは得意げに胸を張るが、フィーネの胃はすでに限界をはるかに超えていた。
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2. 海賊との対峙とフィーネの目論見
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海賊たちがヒロインたちの前に立ちはだかる。彼らのリーダーらしき男が、アリスを指差して叫んだ。
「貴様!その歌声は、まさか『伝説の宝』のありかを示す歌か!?」
「へへん、どうかな?あんたたちには、まだ早すぎるぜ!」
アリスは不敵な笑みを浮かべる。フィーネは、その言葉に驚き、海賊のリーダーを見つめる。
「伝説の宝……?まさか、アリスさんの歌が、本当に……?」
「ふむ。アリスの歌声は、特定の魔力反応を持つ者の感情を増幅させる効果があるわ。海賊のリーダーの脳波に、強い興奮が観測されるわね」
「イリス様!データどころじゃないです!」
イリスは冷静に分析する。フィーネは、この状況を金儲けのチャンスと捉えた。
「エルザさん!海賊から賠償金を、そして伝説の宝を手に入れるチャンスです!」
「ふふふ……ええ、そうでしょうね。わたくしの目論見通りですわ」
エルザがどこからともなく現れ、にこやかに微笑んだ。フィーネは、エルザの腹黒さに内心で舌を巻きつつも、海賊のリーダーに詰め寄る。
「海賊の皆さん!あなたたちの目的は、伝説の宝ですね!
私たちに協力すれば、宝のありかを教えて差し上げましょう!」
「な、なんだと!?」
「ただし、宝の半分は私たちに頂戴いたします!
もちろん、港の損害賠償もですよ!」
「ふざけるな!宝は俺たちのものだ!」
海賊のリーダーが怒鳴る。アキナは剣を構え、正義感に燃えていた。
「悪い奴らは俺がぶった斬ってやるぜ!」
「アキナちゃん!ぶった斬っちゃダメです!交渉が最優先!」
フィーネは慌ててアキナを止める。リリアは腕を組み、呆れたように呟く。
「まったく、また面倒なことに巻き込まれるわね。宝探しなんて、私には無縁だわ」
「リリア様、そんなこと言わないでください」
セラは、海賊船の構造に興味津々だ。
「この魔装具を使えば、海賊船の構造を解析できますね!実験のしがいがあります!」
「セラちゃん、暴走させないでくださいね!」
フィーネの胃は、すでにキリキリと痛み始めていた。
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3. 海賊船への乗船とアキナの高所恐怖症
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海賊のリーダーは、フィーネの交渉に乗ることを渋々承諾した。ヒロインたちは、海賊船へと乗り込む。
巨大な帆船は、港の船とは比べ物にならないほど大きく、そのマストは空高くそびえ立っていた。
「よし、作戦開始!各自、持ち場について……」
「へへん、みんな張り切ってるねぇ!あたしの歌で、もっと盛り上げてやろうか?」
フィーネの合図を遮るように、アリスがリュートをかき鳴らし、歌い出した。
「〜♪海賊船は今、出航する〜、宝求めて、大海原へ〜、一攫千金、夢じゃない〜、さあ、みんなで宝探しへGO!〜♪」
アリスはフィーネの悲鳴にも構わず、楽しそうに宣伝歌を歌い続ける。その歌声は、海賊船に響き渡り、周囲の海鳥たちが困惑したようにざわめき始める。
「な、なんだあの歌は!?まるで魔物の雄叫びのようだ!」
「海賊船で歌うなんて、非常識だ!」
海賊たちが、困惑と怒りの表情を浮かべ始める。
アリスの歌声に、一部の海賊たちは突然足元がおぼつかなくなり、よろめき始める。手から剣やロープが滑り落ち、互いにぶつかり合い、海賊船はさらに騒然となる。
「ぐおおお……!体が勝手に……バランスが取れない……!」
「なんだこれ!剣が滑る!まともに立てねぇ!」
フィーネは、もはや絶望の顔でその場にへたり込んだ。彼女の胃は、すでに限界をはるかに超えていた。
その時、アキナがマストの上の宝を前に、突如として叫び声を上げた。
「ひっ……た、高い……!足が……すくむ……!」
「アキナちゃん!まさか、高所恐怖症!?」
「な、なんだこれ……体が……動かない……!」
アキナは、剣聖とは思えないほど怯えきっていた。
フィーネは驚いて叫ぶ。
アキナの高所恐怖症は、予想以上に深刻だった。
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