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アカデミーの新入生たち

「すごい話だな。でも時間がない! いつまでものんびりしている場合じゃない、もう第四次戦争が差し迫っているんだ!!」

「この若者、まだ魔法をまともに使えもしないだろう! サッバーズ(Sabbars)は骸骨兵や熟練の魔導師を使い、さらに幹部の側に“秘密兵器”まで抱えている。彼らは第二の魔導師とも呼ばれているんだぞ」


「なんてこった……」と、トーマスは肩をポンと叩いてコフカを励ました。


二日が過ぎ、若者たちは学園に入学した。校内では「プリンセス・エミリーが五年ぶりに戻った」という噂が広まり、エミリーはダルタルピで起きた事件についてコフカに説明する。サッバーズが王国を襲い、支配下に置いたという話にコフカは言葉を失うが、すぐに警戒態勢を整えた。


エリックとトーマスは学園の華やかさに目を奪われ、B組の教室へ案内される。そこで待っていたのはジョビー先生──小柄でネズミのような風貌の人物だ。エミリーは二人に「ジョビー先生を侮るな」と釘を刺す。


「彼はデューク師匠と同等の強さよ!」とエミリー。

「ネズミが? 冗談だろ?」とトーマスは笑う。

「落ち着け、トーマス。ここは魔法の世界、何があっても不思議じゃないんだ」とエリックは返す。


授業は主に戦闘訓練で、たとえ担当教員がその分野の専門でなくても、できる限りの知識を伝えている。サッバーズとの戦いが迫っているため、生徒たちには準備が求められていた。


「どうだ、掴めてきたか? 詠唱の手印はこうだ……」と先生の動きを真似するトーマス。

「教わったことは理解できる部分もあるが、まだ全部じゃない」とエリックは答える。


授業の終わり、ジョビーは生徒たちの献身を求めて講義を締める。恐怖を抱く生徒も多いが、それは避けられない現実だ。授業後、エリックはジョビーに近づき、この世界について幾つか質問した。


「おや、新入生か。名前はなんだっけ……エリィ?」

「エリックです。エリック・アゼヴェドです」

「珍しい名前だな。ちょっと個人的な話をしてもいいか?」


ジョビーは、エリックの持つ《メッタ》の気配を察している様子だった。そして意味深に問う。


「人の内部に、別の“魂”が宿ることはあると思うかね?」

「……そんなこと、あるんですか?」

「変わった質問だな。だが今は答えられん。そういう真実はお前が自分の目的を見つけるときに分かるだろう」


ジョビーはそう言って、眩い煙のように消えていった。エリックは釈然としない気持ちを抱えつつ、訓練場へ向かう。


「魔法の授業がよく分からないなら、拳でなんとかするしかないな!」とトーマスが豪語するそのとき、教室に一人の女性が入ってきた。赤いドレスにティアラを着けた美しい姿──エミリーだ。


「やあ、みんな。勉強は順調?」と彼女は微笑む。二人は慌てて応対する。トーマスは軽口を叩き、エリックは少し照れている。


「私、個人授業が多くてね。前はデュークが直接教えてくれたんだけど、今は……まあ、ちょっとした用事で忙しいの」とエミリーは肩をすくめた。だが、その表情には深い不安が滲む。


やがて実技の時間。広い中庭に全員が整列する。実技担当は長身で斜め掛けの眼鏡が特徴のヴォティア先生だ。


「聞け。ここでお前たちの力を見せろ。恐怖に負けるな。己の限界を超えよ!」と号令をかけ、対人実技が始まる。


トーマスは俊敏に相手を倒し、教室では一目置かれる存在に。エリックの相手はクラス最強の生徒キリアン──紫の長髪を靡かせ、水の術を操る優雅な魔導士だ。エリックは火属性の魔法が有効か不安になりつつも、間合いを取りながら相手の隙をうかがう。


周囲では生徒たちがそれぞれの魔法で飛び回り、戦闘が入り乱れる。そんな中で、クラスメイトのカーラが小声で囁く。


「ねえ、あの二人、なんだか変じゃない?」

「エミリーが連れてきたって聞いたよ。エリカ、調べる価値ありね」


その直後、どこからか低く不気味な囁きが響く――。


「闇は追う。光を見失う者に、希望はない……」


言葉は冷たく、革命じみた決意を帯びていた。続けざまに別の声が低く誓う。


「私は永遠に生きる。未来を見、すべてを支配するのだ」


そして、かすかに聞こえたのは、父へ向けた復讐のささやきだった。


「すぐに仕返ししてやる、父よ……約束する」


風がその呟きをさらっていき、場は一瞬静まり返った。


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