後悔と後悔と後悔と
僕がどの選択をしたかはあえて言わなくても冒頭の一人語りでバレバレだろう。そう僕は後悔している。余はまさに大後悔時代ってか、それくらいのオヤジギャグくらい言わせてほしい。
女神様を質問責めにしつつ、かなり熟考して選択したつもりだったが“特典”に賭けてみたのが失敗だった。
簡単な2択を連続で2回、功名心やらくだらないプライドで間違ってしまったのだから。。。
順を追って説明しよう。
最後の選択をした僕に女神様はこう言った。
「未だかつてこのような苦行を選択した勇者はいませんでした。あなたには特別にあなたの妄想プレイの経験、あなたを作り上げた一族の経験を全て加味し賜物を授けましょう。あなたに幸多からんことを。」
最難関クエストを選んで地下迷宮に転送された僕。最後に見た女神様の顔は言葉とは裏腹にほんの少し引いていたような気がする。
何も無い石畳の独房のような空間。辺りは静まり返っている。光る苔のような物体のお陰か曇りの日の部屋程度の明るさはある。
女神様が繰り返し言っていた旅人の書を早速呼び出してみる。念じるだけでいいのは中々使い勝手がいい。
要は出し入れ自由のタブレットと言ったところか。マニュアルやステータスを確認出来るんだな。
僕は急いで自分のステータスを確認する。
レベル1、スキル“自滅呪文デボニヤ”(恐らく考えたくも無い最悪な状態になった場合の救済なのかな)、装備は、、、旅人の服と布のズボン、そして簡素な皮靴のみ。
と、特典は???
冷静になれ、そう冷静に。そうだアイテム欄にあるのだろう。
僕は恐る恐るアイテム欄をタップする。
その画面が切り替わるまでの時間、そう例えるなら合格発表の受験番号を探すようなそれとも大好きだったあの子に告白して返事を待っている時のあのなんとも形容し難い嫌な緊張感を味わいながら。
“素材不明のインゴット”
ハァ???
いや、待て待て。焦るな。何か効果や使い方があるはずだ。
僅かな大いなる期待を込めてアイテムの説明欄に目をやる、そうその
時間はいわば、、、イヤもう例えるのはやめておこう。
“この世には存在しないとされる物質で作られたインゴット”
“錬金素材”
“このままでは使えない”
「こ•の•ま•ま•で•は•つ•か•え•な•い」
「終わったーーーーー」
ひとしきり哭き叫び喚き散らかした後に僕が呟いた一言目。
「どうしよう、、、」
とりあえず寝るか。今何時かわからないが明日考えよう。もしかしたらこれは夢で目が覚めるといつもの日常に戻っているのかもしれないのだから。
おやすみなさい、、、どうか、どうか。
僕は固く目を閉じた。