ありきたりな展開とありきたりじゃない選択肢
青と金で装飾された真っ白な壁の神殿、荘厳なと形容するのかそんな場所で女神様は自分のペースで話を続ける
「あなたの現在の状態は先程説明したとおりです」
「あなた達がプレイしていたレジェンドクエストシリーズは新たな世界での適正を見極めるための謂わば選別システムであり、あなたはそこで数々の偉業を成し遂げられました」
「金剛竜戦士の初討伐、蒼星の剣入手、ハデスの処刑刀+7の作成等そのドン引き…いえ驚嘆すべき偉業は数知れず」
僕が透き通るように美しい大きな女神様に見惚れている間に話は進む。
「それでどうされましょう?このまま眠りにつくか、新たな世界で命を紡ぐか」
このまま死んでたまるか、僕は半ば食い気味に答えた。
「行きますよ、当然!!」
誰でもそう思うだろうしそれにまだ僕は若い(つもり)なんだ!それにまだ何も本当に男として“何も”成し遂げていない。悲しい事に。
女神様は澄ましたお顔でこう続ける。
「そうですか、わかりました」
「では次の選択です」
「今までのあなたの全てプレイ経験を数値化した上でそれらを引き継いでスタートする、もしくはそれらをリセットした上で賜物を一つ与えられた状態でスタートする、どうされますか?」
突然の選択に頭が真っ白になる。どういう事?
と、とりあえず質問してみるか。
「あのすいません、賜物って特典みたいなものですよね?一体なんですか?割に合うモノなんでしょうか?」
女神様は相変わらず澄ましたお顔でこう答える。
「わかりません」
ハァ???
何なんだ一体、人の人生がかかってるのに。いやまあ人生終わったところなんだけど、、、
女神様は澄ましたお顔で続ける
「しかし、、、あなたの経験を数値化したとすれば手に入るモノはかつて誰一人手にした事のないモノになり得る、というのは断言できましょう」
ゲーマーの収集心とプライドがくすぐられた僕は
「後者でお願いします、リセットします」
と勢いで答えてしまった。これが最初の失敗だったのかもしれない。
「それでは最後の選択です」
憎たらしいほど澄ましたお顔で女神様は続ける。
「新たなる地の名はジェインパラン、王都オースキアに転送されるか、それとも‥」
「最果ての地の最果ての迷宮、地下1000階に転送されるか」
僕は唖然とする。何なんだこのムチャクチャな2択は。
「あのすいません、迷宮というのは?」
女神様は待ってましたとばかりに食い気味に早口でこう答えた。
「地獄級の超高難度ダンジョンです。このダンジョン内では時の流れがほぼ止まっているのが特徴です。地下1000階に到達するのは歴戦の戦士達が、そうですね、レベル100超えの6人パーティーがSSS級の装備で身を固めたとしても到達出来るかは微妙なところでしょうか。」
???
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「あの何度もすみません、それって実質脱出不可能ですよね?仮に特典がすごくいいモノだとしても一つだけだし、敵が倒せなければレベル上げも不可能ですし、何のメリットがあるんですか?それって、、、」
女神様は心なしか少しだけ、ほんの少しだけ優しいお顔で先程と同じ早口でこう答えた。
「メリットでしょうか?当然この条件のクエストを達成したあかつきにはそれなりの報酬も与えられるでしょう。また最初に転送される場所自体は聖域であり敵は不可侵の領域です。そしてあなたが行く世界は特定の行動に経験値が設定されていますのでレベルをあげる事自体は不可能ではありません。詳細は転送された後に与えられる旅人の書を見ればわかります。」
うーん、ゲーマー心くすぐられるが、死んだら終わりだし
「死んでもあなた次第で幾度も復活出来ます、詳しい事は旅人の書に‥」
「ちょっと待って心読めるんですか?だったら疑問にすぐ答えてくださいよ!!怒」
女神様は顔色一つ変えず続ける
「それで、あなた様はどうされましょうか?」