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ボス戦

地下1階


青白い炎が数十器の燭台の上で揺らめいている。天井一つ挟んだ先が地上とは思えない程に重苦しい澱んだ空気が僕達を押し潰す。


玉座に佇むモノの影が数メートル先に見える。


モヤかカスミか瘴気なのか。近づかなければ影の正体は相変わらずわからない。


通算1000回目なのに背筋が凍るような悍ましさ。全身の血が凍りつくどころか一瞬で体外に吹き出してしまったような感覚。出来ればここから今すぐ逃げ出したい、そんなあらゆるネガティブな感情に必死で抗う。


心臓に直接響く重低音で影が喋る。


「懲りずにまた来たのか、、、めんどくさい」


「ここに縛られて飽き飽きしていた。退屈凌ぎに丁度良いと思っていたが流石に煩わしい。」


「しかし、我は魔王の力のほんの残滓。今抱いている感情もここには無い。」


「だから我はここには無い。それなのにお前らと来たら、、、」


「象に歯向かう蟻一匹どころか、秤の上の埃にも劣る。」


わかっている、安い挑発ですら無い。魔王と呼ばれた者が残した滓に同じ。

そう、言うなればプログラミングされたただの劣化コピーデータ。


ーーーーーー敗北500回目ーーーーーーー


「チー坊、やっとわかったあいつは人格があるように見えて無い。」


「どういう事ピロ」


「数100パターンあるうちの最善の手をその時に応じて繰り出しているだけ。」


「•••」


「でもそれだけのパターンがあれば結局人格があるのと同じピロ」


「確かに例えばバフ、デバフなんてその通り」


「でも確実に行動を読めるパターンが存在する」 


「???」


「それはね、、、」


ーーーーーそして現在ーーーーーー


「チー坊!」


「わかってるピロ」


魔物は両手を上に翳し、呪文を唱える。


「デルマゲイヤ」


チー坊は僕の前で“かばう”を発動させる。


僕は魔法軽減呪文“マジュルーマ”を唱える。


チー坊の持つ魔法軽減80%と僕のバフ呪文で20%で結果、、、


「チーは無敵ピロ!!!」


そう、攻略の鍵は距離。


それはただの平坦な二次元の距離では無く空間を縦横無尽に走る三次元の距離。


 僕達は501回目以降、距離感を覚えるに徹していた。そして敗北後のイメージトレーニングで頭にその感覚を焼き付けた。考えずとも言葉に出さなくとも身体が勝手の反応する。その領域に達する程に。


僕の位置は対象からの距離8.02メートル、、、


低く構えたあの体勢から繰り出されるのは、、、


「残影突」


僕は体を捻りその突進を避け、固く握った剣で渾身の一撃を魔物の後頭部にお見舞いする。


しかしながら魔物は大して怯みもせずに手にした剣を地面に打ち付け、その反動で瞬く間に僕の背中を取る。

チー坊が僕に向かって突進し僕の体は左に泳ぐ。魔物の繰り出した横一閃を2ミリ、文字通り首の皮一枚で避ける。


ズシャシャシャーーーー


僕とチー坊の身体は石畳に擦れ熱を帯びた。


魔物との距離は?視線は対象から逸らさない。瞬きすら許されない。


目測1.89メートル


僕は地面を左足で蹴りつけて身体を跳ね上げる。と同時に左手で相棒を掴み、魔物の死角を狙ってやつの背後に思い切り投げつけた。


チー坊、攻撃よりも防御、防御よりも回避を優先するんだ。攻撃の機会は必ずある。


距離から行動を僅かに先読みするこれを徹底しろよ。


わかってるピロ。


言葉もアイコンタクトもない。でも考える事はお互い手に取るようにわかってる。


時間の経過すら把握していない。


死線、何度でも、何百回でも何千回でも、、、


「「かかってこい!!」」


潜り抜けてやる!

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