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第7話 侍女からの視線


 春鈴が後宮入りしてから数日後、九嬪の昭容によってお茶会が開かれた。


 お茶会に呼ばれたのは昭容と修儀と、充媛の春鈴の三人。


 名目は春鈴たちの歓迎会という形で、昭容の部屋のある青龍宮で行われることになった。


 その裏の狙いを知っている春鈴は、どうしてもそのお茶会への参加に気が進まなかった。


 ……お茶会を休んじゃえばいいんだけどね。


 そんなことを考えながらも、泰然の言葉を聞いてしまった後では、春鈴がこのお茶会をすっぽかすわけにはいかなくなってしまった。


 まさか、歴代の充媛が嫌がらせによって後宮を去ることになっていたなんてね。


 事前に知らされていないことだらけで困惑するけど、後宮に入って早々ピンチだってことは分かったわ。


 特別な力を持っているだけで後宮の嬪として扱われるというのだから、他の嬪の反感を買わないほうがおかしい。


 家柄が良いということは、お嬢様だし多分プライドだって高いはずだ。


 そんなお嬢様たちのなかに、普通の家柄の子がいきなり入ってきて、並んで後宮を歩かれるてはさぞ腹が立つことだろう。


 春鈴はこれから向けられるであろう敵意を前に、小さくため息を吐いていた。


 別に、好きで後宮に来たわけではないんだけどな。


しかし、そんなことを口にしたら余計に恨まれる気がして、春鈴はその言葉をそっと呑み込んだ。


 春鈴が憂鬱な気分で青龍宮に向かって行くと、青龍宮の入り口付近に差し掛かったところで侍女らしい女たちを見つけた。


とても歓迎ムードとは思えない侍女たちは、春鈴が目の前まで来ると形だけ頭を下げていた。


 お茶会のお迎えにしては敵意を露にしているし、四人の侍女を仕向けることはまだ侍女を持っていない春鈴への当てつけのようにも思えた。


 ……こんなに圧迫的な印象を与えておいて、歓迎会という体にするのは無理なんじゃないの?


 春鈴は昭容と修儀の作戦のずさんさに言葉を失いながら、それに従う侍女たちもどうなのかと一人一人顔を見ていった。


 侍女たちの顔を見ていく中で、春鈴は一人だけ申し訳なさそうにしている子がいることを確認した。


 他の侍女の後ろで隠れるように立っている侍女は、他の侍女たちと比べると少し幼い顔立ちをしているように見えた。


 良い顔立ちをしているのに、その顔は少し青くなっており、こちらに顔を向けようとしない。


 私に毒を仕込む実行犯にでもさせられたのかな、この子。


 春鈴がその娘の表情を気にしていると、侍女たちの一番前にいた女が一歩前に出て口を開いた。


「中で永蘭エイラン様と朱蓮シュレン様がお待ちです。お急ぎを」


「はい、分かりました」


 春鈴は少し棘のあるような言い方をされた気がしたが、特にそのことを気に止めようとは思わなかった。


 すでに何度もこのやり取りは経験済みだったので、腹を立てるほどのことではない。


 春鈴が軽く侍女の言葉を受け流すと、侍女は目つきを少しだけ険しいものに変えた。


おそらく、お高く留まっているとでも思われたのだろう。


 そんなことを考えながら、春鈴は侍女に連れられてお茶会の会場へと向かって行ったのだった。



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