01
「........」
気が付くと、僕は布団の上で寝かされていた。
目が覚めると、見慣れない木の天井があった。
目が覚めてしばらく、僕は混乱していた。
「...あれ」
どこだここは。
僕は確か........
...........
「?」
あれ、おかしい。
何も思い出せない。
ちょっと待て、そんなはずがない。
自分の名前とか、自分の出身地とか、そういうのは.....。
だめだ。
全く何も思い出せない。
自分の記憶が頼りにならない以上、何か記憶をたどれるものはないだろうか。
とりあえず、あたりを見回してみよう。
まず、あたりに人は?
...誰もいない。
部屋の大きさからみるに、どうもここは個室らしい。
僕から見て左右には漆喰の壁、上方向にはふすまがついている。
そして下方向、僕から見て足の先にはガラス窓がある。
ガラス窓の下には箪笥のような引き出しのついた木箱がある。
続いて、体の状態は?
特に痛みはない。ちょっと動かしてみたが、手足ともに異常はない。
腹部や胸部にも特に異常は見られないし、問題は頭部であろうか。
おそるおそる、触ってみる。
「痛っ...」
頭に激痛が走った。
なるほど、僕はどうやら頭をけがしてしまったらしい。
確かに妙に頭が重い。
物理的にも精神的にも。
逆に頭だけがケガしているようなので、じゃあこの布団は何の意味があるんだと疑ってしまいそうになる。
ともかく、頭だけが負傷しているならば立てそうだ。
...と頭を持ち上げようとしてみた。
が、上がらない。
物理的に頭が重いせいで、首筋だけの筋肉では持ち上がりそうにない。
もう一度慎重に頭を触ってみる。
固い。
どうやら、ヘルメットのようなものが装着されていて、それがとんでもなく重い。
それでも何とかして頭を上げようと四苦八苦していると、
襖が開いた。
誰かが入ってきた。
恐る恐る目線を上のほうにむけると、
そこにいたのは、
着物を着た、女性だった。