表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第4章 剣術を学ぼう

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

97/544

第94話 拡散を止めよう

 インスタのバズりはついにインスタを飛びだして他SNSや、まとめサイトへの転載にまで広がった。


 僕の削除申請は手遅れだったというわけだ。


 1度拡散を始めたらもう止められない現代ネット社会の闇を感じる。そのほとんどが好意的な、つまり善意の拡散だから、尚のこと性質が悪い。拡散を止めるほうが悪意を持っているという感じの雰囲気になっているのだ。


 幸いなことにメルの個人情報を暴き立てようという流れは起きていない。流出する個人情報が日本にはこれっぽっちもないのだから、流出しようが無いということもある。だがこのままブームが続けば、そのことの不自然さに気付く誰かが現れるかも知れない。


 ありがたいことに大衆は一緒に映っている僕にはあまり興味を持たなかったようだ。手を繋いでいるところを撮られていたら話は別だっただろうが、偶然映り込んだ男みたいな扱いを受けている。


 それでも学校では学年男女を問わず何度か接触があった。画像に写っているのは明らかに僕なのだから、僕を見かけて声を掛けてくるのは分かる。まあ、僕が「こんなに可愛い女の子と知り合いなわけないでしょ」って言うと、なるほどなーって感じで去って行くのだけど。ありがたいけど納得いかない。


 しかしこれだけバズったらお店のほうの宣伝効果も凄いんだろうな。タダより怖いものは無いとはよく言ったものだ。タダでは無かったけど。こんなことならタダにしてもらえば良かった。


 愚痴っても仕方がないし、メルの画像を追いかけてばかりいるわけにもいかない。実際、勉強と運動で時間は余っていないのだ。さしあたっての目標は12月の始めにある期末テストまでに勉強を追いつかせて赤点を取らないことである。


 今のペースで行けばギリギリ間に合うかどうかというところだ。脇目を振っている暇は無い。もちろん土日は空けての計算だけど。


「ねえ、お兄ちゃん」


 機嫌を損ねていたはずの水琴が突然声を掛けてきた。


「メルさんが今度家に遊びに来るのっていつかな?」


「なんでそれがお前に関係あるんだよ」


「友だちに話したらメルさんに会いたいって言うから……」


「安請け合いしたのか」


 僕はため息を吐く。


「それだけだな? 画像をインスタに上げたりしてないな?」


「それはしてないよっ。したらお兄ちゃんめっちゃ怒るでしょ」


「はぁ、しょうがないな。メルの都合にもよるけど、次の土曜日、お昼前くらいに連れてくるよ。でも友だちにも釘を刺しておけよ。メルがいいって言ったら画像は撮ってもいいけど、ネットに上げるのは絶対禁止。いいな」


「分かってるって。お兄ちゃん、ありがとう!」


 本当に分かっているのか、水琴はルンルンな足取りで部屋に戻っていった。早速友だちに報告するのだろう。


 僕は週末が迫っていることを思い出してため息を吐いた。どうにも今週末は簡単に終わりそうにない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] ネットには上げない(ファイルを共有しないとは言っていない)かもしれないね…
[一言] 拡散されて街を歩けないって言えばいいのでは?他人の写真を軽々しくインスタに上げようとした挙句、止められて拗ねる子供に現実を教えないと。おまけに既に本人と知り合いだと自慢して、気分はいいだろう…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ