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ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第4章 剣術を学ぼう

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第91話 体の動かし方から学ぼう

「とりあえずは名前を聞いておこう」


「和也です」


「メルシアです」


「カズヤとメルシアだな。メルシアは大丈夫だと思うが、まずは体をどれくらい思うように動かせるのか見せてもらおう。そこに的が書いてある丸太があるだろう。すべての的の中心に剣を当ててみろ。できるだけ早く、だ」


「「はいっ!」」


 僕らは木剣を手にそれぞれ丸太の前に立つ。丸太にはいくつも的が書いてある。全部を剣で叩くには丸太の周りをぐるっと回らなくてはならないだろう。


「はじめっ!」


 僕は最初の的を目がけて剣を振るう。がんっと音がして、次の的へ。丸太ということもあって、基本僕の苦手な横払いだ。がんがんがんっとすべての的を叩き終える。メルの方がいくらか早く的当てを終えていた。


「メルシアは合格だ。ヴィーシャから体術について教えてもらえ。カズヤ、お前は全然ダメだな。まともに的の中心に当たったのは1回だけで後は中心を外している」


「そう、でしたか?」


「それすら分かってないと言うことは的をちゃんと見ていないということだ。ゆっくり的の中心に剣を当ててみろ」


 僕は言われた通り、確実に的の中心に剣が当たるようにゆっくりと剣を振った。コツンと剣先が的に当たる。中心辺りではあるが、中心とはちょっと言いにくい。


「ダメだダメだ。中心に当たるまで繰り返せ。それで全部の的の中心を叩けるようになったら速度を上げろ。できるようになるまでそれだけでいい」


「はいっ!」


 僕が返事をするとベクルトさんは僕の傍を離れていく。まあ、そりゃ付きっきりではないわな。ベクルトさんがあちこちに指示を出したり、指導している声を聞きながら、僕は丸太と向かい合った。


 ゆっくり、ゆっくり、確実に的の中心に剣を当てる。それでも直前で軌道を修正しなければならない。どうやら僕は僕が思っていたよりずっと自分の体を動かすのが下手らしい。


 それでも同じ動作を何度も繰り返していれば段々と慣れてくる。ゆっくりと当てて、次へ。ゆっくりと当てて、次へ。ある意味薪割りに慣れていったのと同じ工程だ。薪割りだって最後のほうは中央からパカンと割れるようになっていた。


 疲れや手の痛みは小回復魔術で誤魔化しながら訓練を続ける。構成に気を取られると、また中心から剣が外れる。だが魔術を使っていてもなにも言われなかったので、これでもいいのだろう。


 ヴィーシャさんだって模擬戦中に魔術を使った。ここでは戦いながら魔術を使うのは自然なことなのだ。だから訓練中だって魔術を使って良い。たぶん。


 むしろ次の課題は魔術を使いながら同じことをやれ、だった可能性もある。


 ゆっくり当てて、次へ。ゆっくり当てて、次へ。


 まずは自分の体を思い通りに動かせるようになることだ。そうしなければ何も始まらない。

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