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ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第4章 剣術を学ぼう

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第89話 剣術道場に行こう

 レザス商会で得たお金があまりにも大金だったので、僕らはその足で冒険者ギルドに向かった。道中、周囲の目が気になって仕方なかったのは僕らが小市民だからだろう。


 冒険者ギルドの受付カウンターで金貨を出すと、受付嬢は一瞬、ぎょっとした顔をしたが、なんとか平静を装った。いくらかを残して僕とメルの口座に半分ずつ入金してもらう。これでほっと一息だ。


 入金ついでに受付嬢にどこか戦い方を学べる道場のようなところは無いか聞いてみる。


「冒険者向けですとベクルト剣術道場がオススメですよ。剣術と名はついていますが、総合的な戦い方を教えているそうです。道場主のベクルトさんについては身元も保証できます。事実上引退されてますが、冒険者ですので」


「ありがとうございます。行ってみます」


 道場の場所を聞いて冒険者ギルドを後にする。メルに案内してもらってベクルト剣術道場へ向かおうと思ったが、メルの服装がそれに相応しくないということでトリエラさんの宿に一度寄った。いつもの服装に防具もしっかり身に着けたメルが出てくる。


 僕も装備品は自分の部屋だ。一度戻って身に着ける。そうこうしている間にいい時間になったので屋台で昼ご飯を済ませて、今度こそベクルト剣術道場へ。


 剣術道場という名前から勝手に和風な建物が頭にあったが、全然そんなことは無かった。町の一角に更地があって、そこがベクルト剣術道場であるようだ。今も木剣を手にした十何人かが模擬戦のようなことを繰り広げている。


「おじゃましまーす! 冒険者ギルドの紹介で来ました! ベクルトさんいますか!?」


 どう声を掛けようか迷っていると、メルが迷い無く声を掛けた。こういうところは本当にメルを見習いたい。


「おう、俺がベクルトだ。入門希望者か? それとも道場破りか?」


「えーっと、体験入門とかやってませんか? まずはそのお試しで」


「体験入門か。そういうのは考えたことが無かったな。金さえ払うなら別に構わないぞ」


「おいくらになります?」


「なんだ、冒険者ギルドで聞いてないのか。ここは1日銀貨3枚で剣術を教えている。月払いなら金貨1枚だな」


 結構高いなと思ったが、冒険者だとそうでもないのかな。僕の感覚からすると、日に1万円くらい。月払いで13万円というところだ。とは言っても僕らの所持金からすると支払いは苦ではない。


「ではとりあえずの日払いで。2人分です」


 僕はベクルトさんに銀貨6枚を支払う。


「お前らのレベルは?」


「5です」


「私は7!」


「駆け出しか。それならヴィーシャ! この2人の腕前を見てやれ。2対1だ。勝てるな?」


 こちらを覗っていた門下生の中から1人の少女が進み出てくる。僕らと似たような年齢だろう。ここの授業料が払えるということは親がそこそこお金を持っているということだろうか。


「勝ちます!」


「その意気だ。武器はこちらの備品の木剣を使ってもらう。お二人さんもそれでいいな?」


「分かりました」


「分かったよ!」


 僕らはショートソードを預け、代わりに木剣を受け取る。当たり前だがショートソードに比べてずっと軽い。これなら僕でも軽々と振り回せそうだ。


「じゃあ、いつでも始めていいぞ」


 ベクルトさんがそう言った途端、ヴィーシャと呼ばれた少女が駆け寄ってくる。唐突に模擬戦は始まった。

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