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ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第3章 アーリアのダンジョンに挑もう

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第81話 お腹いっぱい食べよう

 のは、僕もメルも最初の30分くらいで、そこからが戦いの始まりだった。


 お昼ご飯を抜いてお腹をぺこぺこにしていたものの、肉やらスイーツやらを30分も食べ続ければお腹はいっぱいになってしまう。だけどまだ3,000円分食べたとはとても言えない。


 メルはショーケースのケーキを8割方消化したようだが、まだ目の前で作ってくれるクレープや、バームクーヘンのコーナーが手つかずだ。あとそびえ立つチョコレートファウンテンも控えている。チョコレートが滝のように流れてるやつだ。


「美味しい……けど、もう入らないよぉ。ひーくん、半分食べて」


 半分食べてというのはつまり、元々小さなケーキの一切れをさらに半分こにしようという提案だ。全種類を制覇したいというメルの意地を感じる。


「そうだね、甘い物ならもうちょっと入りそう、かも知れない」


 肉ばっかり食べていたので口は甘い物を求めている。僕は新しい皿を持ってきて、メルの皿に乗ったケーキを半分にして自分の皿に移していく。


 スポンジケーキは簡単だけど、ガラス容器に入ったプリンとかは半分にしにくいな。そう思っているとメルは半分食べたプリンの容器をこちらに押し込んでくる。メルは本気で全種類制覇するつもりだ。


 それなら僕も食べて応援するしかない。メルの残りを一心不乱に食べ続ける。ついにメルはショーケースの全種を食べきった。


「ねえ、時間はあるし一旦休憩しない?」


 残り時間はまだ1時間以上ある。お腹はこれ以上なにを食べるんだ、という感じだが、食べていない品はスイーツに限ってもまだまだある。


「ダメ! 美味しかったものを厳選して2週目に行くんだから!」


「2週目!? 1回食べれば十分じゃない?」


「だってこんな機会、もう2度と無いかもしれないし」


「大丈夫だって。魔石で稼いでまた来ればいいんだよ」


「その時に食べたかったケーキがまたあるって断言できる?」


「それは……、できないかな」


「食べれるときに食べる! 冒険者の鉄則だよ!」


 メルは勢いよく立ち上がる。そして迷うことなくスイーツのあるコーナーへ向かう。うーん、食に対する気合いが違う。日本人は美味しいものを食べることに拘る傾向があると思うけれど、その一方で飽食に慣れきっている。食べたい時にいつでも食べられるという感覚があるのだ。


 アーリアも屋台が並んでいていつでも食事ができるように思えるけど、それは日中の話だ。日が沈んでからもやっているような店は酒場みたいなところしかない。それだって夜遅くまで営業しているわけではないようだ。夜中に小腹が空いたからちょっとコンビニに、みたいなことはアーリアではできない。


「ひーくん、これ凄かったよ。作ってるところ魔法みたいだった」


 そう言ってメルがテーブルに置いたのはクレープだ。


「生地だけならアーリアでも作れそうだけど」


「こんなの見たことないよお」


 クレープの生地というと粉と牛乳と卵というイメージだが、小麦粉じゃないのかな? いや、ネックは卵か。


「もしかしてアーリアじゃ卵が珍しいとか」


「ニワトリの? 珍しくないよ。卵を使った料理もいっぱいあるしね。郊外には養鶏場もあるよ」


 となると、粉のほうか。僕はスマホで検索する。


 クレープの生地、作り方、っと。えっと、薄力粉、砂糖に塩をひとつまみ混ぜたものか。


「あー、なるほど。砂糖がネックなんだな」


「これも砂糖が入ってるんだ」


「甘い物は大抵入ってると思うよ」


「凄いね。こんなに沢山どうやって作ってるんだろう?」


「基本的な作り方はアーリアと変わらないと思うけどね」


 アーリアの砂糖と、日本の砂糖の違いは精製部分だ。不純物を取り除く工程がアーリアの技術では難しいのだろう。


「ね、怖いことに気付いちゃった。今日食べた砂糖ってアーリアだといくらくらいになるんだろう?」


「金貨1枚は優に超えているだろうなあ」


 砂糖は200g金貨1枚で取り引きしてる。


「銀貨1枚ならお得だね」


「まあ、実際に支払っているのは日本円だから、鏡に換算したら1人30枚分くらい払ってるんだよ。これを金貨に換算すると……」


「あーあー、聞きたくなーい!」


「レッサーゴブリンの魔石10個分くらいと言えば」


「平気! そっか、レッサーゴブリン10匹でこれが食べられるんだ……」


 アーリアのダンジョンのレッサーゴブリンの命が危ない。まあ、魔物だし、どれだけ倒しても再出現するんだけど。

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