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ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第1章 クソザコナメクジくん、異世界に行く

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第7話 スキルを試してみよう

 念じた途端に視界が切り替わる。


 薄暗い石造りの狭い空間に僕は立っていた。


 ミミックは消滅していたが、妖精の小径自体は残っているようだ。ということはここは橿原ダンジョンの第3層ということになる。


 僕はすぐにキャラクターデータコンバートと念じた。


・キャラクターをコンバートするサーバーを選択してください。

>基本サーバー 冒険の地アルテリア


 どうやら相互にコンバートすることができるようだ。一安心する。もしできなければ橿原ダンジョン第3層で僕は野垂れ死ぬことになるところだった。我ながら危ない橋を渡ったと思う。だけどどうしても確認しておきたかったのだ。


 僕はすぐに“冒険の地アルテリア”を選択する。


 視界はすぐに切り替わり、僕は見覚えのある草原に立っていた。隣には目を丸くしたメルが座っている。


「早ッ! 何が起きたの?」


「ミミックに食べられたときに転移系のスキルを手に入れたんだと思う。元のダンジョンに戻ることができたよ」


「そっか! 良かった。じゃあ帰れるんだね」


「それがそう簡単でも無いんだ。僕は運び屋として第3層にいたわけで、1人で脱出できるほどの強さが無い。装備も何も無いしね。帰れるけど、帰れない。そんな状況だよ」


「ふむふむ。じゃあこっちで修行して強くなって、そこのダンジョンの3層を1人でも突破できるようになればいいんだ」


「まあ、そういうことになるのかな。そんな簡単じゃないと思うけど。僕は弱いし」


「ちなみにそこのダンジョンの3層ってどんな魔物が出るの?」


 魔物、モンスターのことだろう。


「ゴブリンとスモールウルフだよ」


「そっか。一匹ずつならいけるけど、ちょいキツいかな」


「え?」


「私が護衛してあげようかと思ったんだけど、安全を考えるとちょっとね」


「そんなわけには行かないよ」


「あ、でもひーくんの転移スキルが他の人も一緒に転移できるか分かんないか。試してみる?」


「確かにそれは気になるかも」


・メルシアからパーティ申請が届きました。

>はい

>いいえ


 僕は“はい”を選択する。パーティに参加すると経験値がおそらく等分される、だけではなく相互の体力と魔力が感じ取れるようになる。ゲーム的なシステムのひとつであり、確かにパーティメンバーなら一緒に転移できる可能性はあるような気がする。


「あとは距離とか、触れてなきゃいけないとか制限はあるかもね。その転移スキル、魔力は消費する?」


 僕は自分のステータスを確認したが特に魔力が減ったようには感じない。


「減らないか、減っても気にならない程度だと思う」


「じゃあ色々試してみよ」


 まず僕はメルとパーティを組んだ状態、至近距離、触れ合いは無しでキャラクターデータコンバートを使用した。次の瞬間には橿原ダンジョン第3層、妖精の小径に立っている。

 メルも一緒だった。

 キャラクターデータコンバートはパーティメンバーにも効力を発揮する。


 その後、2人で色々試してみた結果、パーティメンバーであればおよそ10メートルの範囲にいれば一緒に転移できる。転移後は至近距離に移動している。パーティメンバーで無くとも触れていれば一緒に転移される。転移先は直近の転移元の位置になる。ということが分かった。


「日本という国の橿原ダンジョンね。聞いたこと無いなぁ。どれくらい遠いんだろう」


「きっと気が遠くなるほど遠いんだろうと思う」


 おそらくは距離という意味ではどこまでも隔絶している。あるいはサーバーが置かれている場所という意味では至近であるかもしれない。


「このスキル、秘密にしておいたほうがいいかも」


「そうだね」


 僕らは頷き合う。

 そもそも転移系スキルは非常に珍しい。地球上で確認されている転移系スキルはダンジョン内でポータルに個人が転移できるというものしかない。メルに至っては聞いたことすら無いという。


 他人に知られれば面倒を引き起こすことは間違いない。メルに対しても別の世界に繋がっていると伝えるつもりはない。そもそも橿原ダンジョンの外にメルを連れて行けば、それ自体がすごく面倒なことになりそうだ。

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