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GAMELIZATION ~ゲーマライゼーション~ NPCの生存戦略  作者: 二上たいら
第10章 抵抗は燃え上がる

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第628話 【騎士】にはツキがない

 ボロボロになったエリスから剣を奪い、殴る蹴るの末に、抵抗しなくなるまで半刻もかからなかった。

 いや、半刻はなげぇな。

 よく耐えたもんだ。

 俺ならとっくにゲロ吐いてるね。


 殴る蹴るのついでに衣服を引き裂いたので今のエリスは半裸だ。

 冒険者の重戦士とは言っても、このレベル付近ではまだ全身甲冑ではないからな。

 急所には金属製の防具があるが、普通の服が見えている部分も多い。

 戦闘中だから服にもレベル補正が乗るが、これだけレベル差があったら引き裂くのは容易だ。


 まるで全裸の上から防具を着けたみたいな滑稽な姿は俺の嗜虐心をそそる。


「ハハッ! 女だてらに冒険者なんかやってっからかえって痛い目を見るんだぜ」


 俺はエリスの防具を掴んで上半身を引き上げ、もはやこちらを睨み返すこともできないことを確認して、仰向けに転がした。


「俺が先だからな。見張ってろよ」


「いいけど、先にカズヤの居場所を聞けよ」


「おまえの番にちゃんと聞け。一回で壊れるほど柔な女じゃねぇよ」


 まったく無粋なことを言いやがって。

 これからお楽しみだってのに、野郎の人相書きが頭に浮かぶじゃねぇか。


「カ……ズヤ……」


 エリスが苦しげにカズヤの名を呼ぶ。

 こいつも女ってことか。

 いいね。思い人がいる女のほうがヤリがいがある。


 俺はもどかしく甲冑を脱ぎ捨てる。

 黒鉄の甲冑はそう簡単には傷つかない。パーツを地面に投げ捨てていく。


「……来る……な」


「心配するな。イケるまで付き合うからよ。だからせいぜい抵抗してくれや」


 そう言って俺がズボンを引き下ろしたときだった。


「繧ィ繝ェ繧ケ縺輔s縲∬?ウ繧貞。槭>縺ァ逶ョ繧帝哩縺倥※?」


 まったくわけのわからない声が聞こえると同時に、上から何かが落ちてきた。

 それがなにかと目を凝らした瞬間だった。


 耳をつんざく轟音と共に、目の前が真っ白になる。

 なにも見えない。

 なにも聞こえない。

 体にどんっと衝撃が走ったが、どうなっているのかよくわからない。


 自分が立っているのかさえわからず、俺は混乱する。


 倒れている。

 たぶん、倒れたのだ。


 目の前は真っ白になったままで、なにも聞こえないままだ。


 訓練で鎧を着たまま池に落とされたことがあるが、あれに似ている。

 上下感覚がわからなくて、なにも見えなくて、沈んでいるのか、浮いているのかさえわからなかった。あれと同じだ。


 感覚の喪失に恐れを抱き、叫びを上げるが、キーンと甲高い音しか聞こえない。

 自分の声すら聞こえない。


 わからない。

 なにもわからない。


 必死に手をバタつかせ、地面を感じる。

 地面があることにさえ安堵する。

 上下の感覚は無いがこっちが下だ。


 そう思ったところで強い衝撃を体に感じ、遅れて激しい痛みに襲われる。

 痛いなんてもんじゃない。

 絶叫を上げるが、自分では聞こえない。


 衝撃の度に痛みはより強くなり。

 体のあちこちから力が抜けていく。


 体から温度が抜けていく感じがあった。ションベンした時に体が震えるあれが、ずっと続いて行く感じ。


 ガンガンと衝撃を受けながら、俺の命が流れ落ちていく。




◆◇◆ エリスの場合


 全力の[身体強化]を使ってようやく騎士にダメージが届いた。

 メルの[中回復]魔術を受けながら、あたしは血塗れの剣を手にまだ地面でのたうち回っている甲冑を着た騎士に歩み寄っていく。


「メル、これどれくらいの間、効果があるんだ?」


 あたしたちは日本語で会話を行う。

 これならこいつらには理解できない。

 異界言語理解スキルにこんな使い道があるなんてな。


「そんなに長くは続かないって。それに今の音と光で他の人が寄ってくる。今はそっちまでトドメを刺してる時間はないよ」


「クソが。絶対にこの借りは返すからな」


「ひーくん、やって」


 メルが手に持った機械に呼びかける。

 前にカズヤも使ってた遠くの相手と話をする機械だな。


「エリスさん、遅くなってごめんね。とりあえずどこかに身を隠そう」


「いや、助かったよ。もうちょっと遅れてたら文句を言ってたかもな」


 あたしがそう答えたとき、空が急に明るくなった。

 メルが使った一瞬の光ではなくて、まるで太陽が出たみたいにずっと空が明るい。


「これは?」


「アーリア全体の注意を引くんだってひーくんは言ってた。皆が空を見上げてるなら、私が最高速を出せるでしょ。ほら、掴まって」


 ええー、メルの背に乗れってか。


 体格差がありすぎて気が引けるが仕方ない。

 確かに皆が空を見上げているなら[地術]での移動にはうってつけだ。

[地術]はすごく低い姿勢で移動する歩法が基本だからな。


「どこに向かえばいいか教えて」


「皆のところに案内するよ」


「みんなは無事?」


「ヴィーシャ以外は、な」


「そっか。了解」


 言葉は素っ気なかったが、メルの体に少し力がこもったのがわかった。

 付き合いはそんなでもないが、メルはヴィーシャのことを気に入っていたからな。


 そしてメルは走り出す。

 端で見てても[地術]の移動はめちゃ速なんだが、こうして背負われて見る[地術]の景色は、なんつーか、もう、わけわからん。

 なんでこの速度で曲がり角をほぼ直角に曲がれるんだよ。


「そこ、通り過ぎたそこ、右だ!」


 指示が遅かったのは謝るから、急ターンはもうやめてくれ!

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