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GAMELIZATION ~ゲーマライゼーション~ NPCの生存戦略  作者: 二上たいら
第10章 抵抗は燃え上がる

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第601話 【エリス】はパワーレベリングする

 シャノンが真っ二つにしたサンドワームが魔石を残して消滅する。


「いやー、順調だな!」


「そら、サンドワームは不意打ちさえ食らわんかったら雑魚だからな」


 アーリアのダンジョン25層、砂漠地帯の最後の難関はどこから襲ってくるかわからないサンドワームだ。

 大抵のヤツは砂が盛り上がってるからわかるんだけど、時々完全に砂に埋もれていてどこにいるのかまったく見分けがつかない個体がいる。

 これが冒険者殺しなのだ。


 ところがあたしたちにはカズヤから借りてきたあっちの世界の魔道具みたいなヤツ、サーマルスコープって言うんだっけ? なんか知らんがそれがある。

 ロージアがそれをつけて、敵の位置を教えてくれるから不意打ちされる恐れはなし。

 となると、あたしらにとって25層ってのは戦い慣れたフィールドだ。


 むしろ暑さと、砂で覆われた足元のほうが厄介なくらい。

 それだってロージアの[雨の匂いが満ちる(レインフィールド)]があるから、暑さはそれほどでもない。


 サンドワームは一カ所に固まっている習性があるから、狩りの効率もいい。


「ヴィーシャ、レベルは?」


「まだ19です」


 ニーナと顔を突き合わせて何かをやっていたヴィーシャはあたしに報告する。

 多分、回復魔法使いとしての戦術か何かをニーナが教えてるんだと思う。

 あたしが言うのもなんだが、ニーナは筋がいい。


 ここで降りるのがもったいないよな。


 若いし、このまま行けばもっと大迷宮にだって挑戦できる。

 それはあたしらも同じだけど。


 カズヤの世界の都庁ダンジョンだっけ?

 あれはいい。雰囲気がある。

 恐らくは大迷宮だ。

 最初の踏破者になりたいところだが、うーん、でも殺人人形キリングマータが面倒だったからなあ。

 あれがいずれ階層の雑魚敵になるのだとしたら、今の装備やスキル構成ではちとキツい。

 そっちの道を目指すのなら、やっぱりカズヤを前衛に入れ替えなきゃな。


 師匠ベクルトんとこではモノにならない扱いされてたみたいだが、あそこ(ベクルト剣術道場)はどっちかというとわざの剣術道場だからな。

 メルとは相性がいいんだろうが、カズヤはどっちかというと、あたしら側だ。

 暴力で相手を捻じ伏せる戦い方が合っている。


 まだ体は出来上がっていないし、ステータス補正値も筋力に寄ってる感じではないが、それ以上に不器用だしな。あいつ。


 だがいざという時に前に出られるという性格は前衛向きだ。

 ただ、スキル構成がアレかぁ。

 選択スキルで[鷹の目]を取るのはわかる。

 あれは強スキルだし、前衛としても役に立つ。


 ただカズヤの場合は[筋力強化]も選択肢にあったみたいなのに、もったいない。


[鷹の目]は完成されてるスキルで熟練度での伸びが少ない。

 一方で[筋力強化]は熟練度でどんどん伸びていくからな。

 将来を見据えたら[筋力強化]だったんだが。


 過ぎたことを言っても仕方がないが、メルと比べると、どうしても、な。


 現時点でのメルは優秀だ。

 つーか、あたしらん中では一番強い。次点がロージアだな。

 それからシャノン、あたしの番か。

 ニーナは回復役だからこの序列には加えない。


 だけどそれは現時点・・・で対人の話なんだよなあ。

 つまりあたしらがそれぞれ一対一で戦ったら誰が一番強いか、って話だ。


 例えば殺人人形キリングマータ戦にメルが加わっていたとしたら、まあ、シャノンの負傷は避けられたかもしれない。

 だけどメルがアレに有効打を与えるところもちょっと想像できないんだよな。


 カズヤはできるし、やってみせた。


 都庁ダンジョンがあの調子で続くのであれば、メルとカズヤの役割を入れ替えるべきなんだよ。


 まあ、強さなんてのは設定次第で全然変わるものではある。


 普通の魔物相手ならばメルが軽戦士をやるのが最適解だろう。

 だけど、メルは多分早熟タイプだ。

 最初からステータス補正値が高い代わりに、伸びがそうでもない。


 いま一番強いのも[地術]の補正込みの話だからな。

 だが[地術]には明確な弱点があるから、もうちょっとレベルが上がるとどうなるかわからん。


[地術]は――、


「レベル20になりました! え、っと、これにします! [病魔耐性]!」


 ヴィーシャの声に思考が中断される。


 いま倒したサンドワームでレベルが上がったのか。

 もう別のこと考えててもサンドワームを倒せるようになっちまったな。


「それかあ。無いよりはマシだけどな」


 シャノンが落胆した声をあげる。


「[頑強]とか[壮健]があれば良かったのにな」


「そんなこと言っちゃ駄目ですよ! あってよかったじゃないですか。対病スキル」


「そりゃ無いよりはな」


 ヴィーシャは生まれつき体が弱い。

 なんらかの病気なのだろうが、医者も首を捻るばかりだったという。

 回復魔法や、回復魔術で体力を回復させ続けなければ、普通の生活を送ることも困難らしい。

 だからレベル20で病気を克服できるような選択スキルを得たかった。


 そういう意味では[病魔耐性]スキルはドンピシャだ。

 だけど[頑強]や[壮健]のほうが上位スキルだからなあ。


[頑強]は肉体が強化され、筋力などのステータスにも補正を受けられる。

[壮健]は状態異常にかかりにくくなるスキルだ。


 一方、[病魔耐性]スキルは病魔の類いへの抵抗力が増すスキルだ。

 効果が限定的すぎるんだよなあ。


 ずっと病気と闘ってきたヴィーシャだから、選択スキルに出てくるのは意外でもなんでもないんだが、そのままでももうすぐ取れてたかもしれないんだよな。


「それで効果の程は?」


「うーん、体力の減少速度が減ったというくらいでしょうか」


「まだ熟練度1だし、そんなもんだろ。そのうち減らなくなる」


 本来[病魔耐性]スキルは病魔の類いに抵抗しているときだけ熟練度が上昇していくのだが、ヴィーシャが不治の病であると言うのなら、常に熟練度が得られることになる。

 何年かすれば熟練度が100になってもおかしくない。


「[病魔耐性]の覚醒スキルってなんだっけ?」


「[病魔克服]だったかと」


「完全耐性か。つまんな」


「シャノンさん!」


 ニーナちゃんが腰に手を当ててシャノンを叱る。

 そうだ。今のは良くないぞ。


 あたしも同じことを思ったけど、黙っとこ。

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