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ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第2章 異世界と交易しよう

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第55話 レザスさんと会おう

 エイギルさんは丁稚に馬車を呼ぶように伝え、さらに本店に先触れとして走らせた。馬車より走って行くほうが近いなら、僕は徒歩で行ってもいいのだが、エイギルさんは高齢だ。そういうわけには行かないんだろう。


 馬車を待っている間に砂糖の代金として金貨10枚を受け取る。それと契約書の1枚を受け取った。もう1枚はレザス商会側で保存するようだ。これでどちらが契約を破っても、契約書を突き出せるというわけだ。


 馬車はわりとすぐにやってきて、僕はエイギルさんと共に店を出た。いわゆる箱馬車だ。御者の人が扉を開けてくれる。


「先に上がって引っ張り上げてくれると助かる」


 エイギルさんがそう言うので、僕は先に馬車に乗り込んだ。そしてエイギルさんに手を貸す。


「まったく年を取ると、ちょっとしたことも難しくなってかなわん」


「そういうものなんですね」


「いずれ分かる。それ、出してくれ」


 馬車が走り出す。かなりゆっくりの速度だ。人が歩くのよりちょっと早いくらい。まあ、町中で馬車をすっ飛ばしても事故が起きるだけだろう。


「実際のところ、7日で戻ってくるとは思ってなかった。そんなに近くに砂糖の精製所があるのか?」


「それはお答えできかねます」


「まあ、商売上の秘密をおいそれと話すことはできんわな」


「そうですね。僕の稼ぎのネタですから」


 返答しながら僕は背中に冷や汗をかいていた。なるほど、そういう視点もあるのか。考えもしなかった。エイギルさんが7日で行き来できる距離で砂糖を精製しているか、そこに砂糖を備蓄しているものだと考えるのは当然だ。


「ニホンという国の出身だそうだな」


「ええ、はい。とても遠い国です。海の向こうの、そのまた向こうというくらいに」


 情報元は冒険者ギルドだろう。個人情報の保護なんて観点は無いのだろうから仕方ない。とは言え、この7日間で調べられるだけは調べたということだろう。僕が借りている部屋まで知っているに違いない。


「よほど技術の発展したところなのだろうな。遠くて良かったというべきか、悔やむべきか、ワシには分からん」


「まあ、そうですね」


 その後もエイギルさんの追求をのらりくらりと誤魔化していると、馬車が止まる。どうやらレザス商会の本店に到着したようだ。


 レザス商会本店はとんでもない大きさの建物、というわけではなかった。どうやらここに在庫を置いたり、あるいは商品を売ったりするわけではないようだ。

 だが武器を持った用心棒みたいな人が2人で入り口を警備しており、レザス商会にとって大事な拠点であることは分かる。


 先触れのお陰で僕らはスムーズに建物の中に入ることが出来る。1階に商談用の部屋があって、そこに案内された。エイギルさんの店の応接室より一回り大きくて豪華だ。


 丁稚の少年に席に促されて座る。エイギルさんは僕の側に座った。


 陶器のマグカップが2つ用意されて、丁稚の少年が湧水の魔術で水を満たした。アーリアでは飲み水には湧水の魔術を使うのが一般的だ。


 エイギルさんと少し話をしていると、勢いよく扉が開かれ、中年で髭面で大柄な1人の男性が入ってきた。


「俺がレザスだ!」

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