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ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第2章 異世界と交易しよう

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第54話 レザス商会の本店に行こう

「まずはエイギルさんにも馴染みがあるだろう食料品関係ですね」


 僕は緑茶のパックとインスタントコーヒーの瓶、それからチョコレートをテーブルに置いた。


「これが緑茶です。この茶葉をお湯で煮出して飲む飲み物です。紅茶の仲間ですが、ご存じですか?」


「お茶、かね? 聞いたことが無いな」


「紅茶も?」


「それもだ」


 予想外の答えが返ってきた。てっきりヨーロッパっぽいし紅茶文化はあるものだと思っていたが、無いらしい。


「では、これは次回に、茶器も用意してきましょう。ということはコーヒーもご存じないですか?」


「浅学で済まないが、聞いたことは無い」


「カップとお湯は用意できますか?」


「この建物に(かまど)は無いな」


「分かりました。これも後回しで」


 僕は緑茶とインスタントコーヒーをリュックサックに戻す。テーブルに残ったのは板チョコが5枚だ。僕は箱から銀紙に包まれたチョコレートを取り出し、銀紙を剥がした。


「お菓子の一種になります」


 僕はそう言って一片をポキリと折って、自分の口に入れた。


「どうぞ」


 僕がそう言うとエイギルさんは僕の真似をして板チョコを折ると自分の口に運んだ。


「これは、砂糖を使った菓子か」


「よくお分かりですね」


「元々ウチは砂糖を卸しているのだ。わからいでか」


「これはこのままでも美味しく食べられますが、加工が容易なのが特徴です。熱を加えると簡単に溶けますし、冷えれば固まります。使い方は料理人次第ということになるでしょう」


「むむ、これはワシでは判断が付かんな」


「それからこれは傘です」


 僕はリュックサックから折りたたみ傘を取り出す。


「随分と小さいのだな」


 僕は折りたたみ傘からカバーを外し、広げた。


「……これは……」


 エイギルさんは絶句している。


「なんという複雑で精緻な構造だ。すぐ壊れるのではないのかね?」


「そう言われると否定はできませんね。耐久性は低い商品となっています。ですがこれだけ小さいと持ち運びに便利でしょう?」


 そう言って僕は傘を折り畳む。自動で傘が折れ曲がり、折り畳まれるその構造にエイギルさんは釘付けだ。僕はくるくると傘を回して留め具をかけるとカバーに直した。


「それからビーズです。装飾用の穴の開けた石ですね」


 僕は3つのビーズが入ったガラスポットをテーブルに置いた。


「なんと! これは美しい。宝石かね?」


「正直に申し上げると宝石ではありません。ですが、美しいでしょう? 価値は分かっていただけると思います」


「価値があるのは分かる。分かるが、ワシでは値が付けられん」


「最後に鏡です。こちらにも鏡はあると思いますが、僕の仕入れる鏡は反射率が違います」


 テーブルの上に鏡を置くと、エイギルさんは驚きを顕わに鏡に見入った。


「まるで凪いだ湖面を封じ込めたかのようではないか。素晴らしい。ワシにはまったく値付けができん。会頭に紹介する以外に無いようだな」


「レザスさんですか。さっきの契約書の」


「そうだ。お忙しい方だが、これらの品は会頭の時間を使うに値するものだ。カズヤ、ワシと一緒にレザス商会の本店に行ってもらうぞ」


 メルと一緒に来なかったことをちょっと後悔しつつ僕は頷いた。

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