表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第9章 瑞穂の亡霊たち

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

528/541

第523話 僕らは舞い降りた

「急ぐとは言いましたが、ここまでしなくても!」


「ひーくん、なにか言った!?」


 いま僕らは空の人となっている。


 緋美子さんの説得に向かうと決めた僕らを、話を聞いていた米兵さん……、というのはもう無理があるか。

 米軍横田基地の第377空輸航空団司令官エルドリクス大佐は無線機で色々指示を飛ばしたかと思うと、僕らを小型の、たぶん偵察ヘリに押し込んだ。

 パラシュートを身に着けさせられ、簡単な使い方だけ教えてもらうと、もうローターが回り出して、あっという間に東京上空だ。


 僕、全然詳しくないんだけど、航空管制はどうなってんの?

 こんな簡単に米軍が首都上空を飛べるもんなの?


「空挺降下するわけじゃないですよね!」


 ローター音がうるさくて、大声でないと会話にならない。

 そして僕はメルを通さなければ米兵と会話ができない。


 そして当のメルは僕にしがみついて、身動きができない。

 カオスが過ぎる!


「心配しなくていい! 防衛省本部に乗り付けるだけだ!」


 それってどこなの!?

 スマホで確認したいけど、落としそうで怖い。


 しかしこうして見ると東京は緑が多いなあ。

 そんな中、お堀に囲まれた緑が多いエリアが見えてきて、僕は目を逸らした。

 いや、防衛省って言ってたし、そこに降りることはないはずだ。


 僕が祈っていると、幸いその手前でヘリは降下を始めた。


 Hの文字が書かれた屋上へとヘリが降りていくと、誰かがLED誘導棒らしきものを振っている。こっちに降りろということみたいだ。

 確かにHのマーク二つあるもんね。同じ建物ではあるみたいだけど。


 僕らはEと書き添えられたほうのHマークへと降下した。たぶんEastのEだ。


 そして僕らが降りると、すぐさま飛び立っていく。

 やっぱりここに米軍が乗り付けているのはマズいんですかね。

 そしてパラシュートを返しそびれたけど、防衛省経由で返せばいいのかな?

 さすがにパラシュートが軍事機密ってことはないよね。


「話は伺っています。全てに優先して目的地にお連れしますので、付いてきてください」


 メルが腰砕けになっていたので、僕はお姫様抱っこして、その人の後を追いかける。


「失礼ですが、所属をお聞きしてもいいですか?」


「特務です。察してください」


 あー、つまりあんまり正規の人じゃない感じか。

 それにしても日本語が通じるの助かる。


「いいですか。私はあくまで防衛省出入り業者の従業員です。それ以上でもそれ以下でもありません。そういうことです」


「じゃあ僕らはアルバイトというところですか?」


「警察に捕まったらなにか適当なバイトに応募したことにしてください」


 怖いなあ。とは言っても、捕まるくらいなら逃げるけど。


 防衛省内で結構な数の人目に触れたと思うけど、その辺は大丈夫なのかな?

 もう気にしていても仕方がないか。


「トランシーバーは用意できますか? 一対で構いません。独自に無線通信がしたいんです」


「スマホではいけないのですか?」


「特殊な状況なので」


「わかりました。用意します」


 話が早い。

 防衛省にトランシーバーがないはずもないか。どこかしらにはあるのだろう。


 案内役の誰かは歩きながら電話でトランシーバーを車に用意しておくように指示して、エレベーターに乗り込む。

 僕らも後を追うように乗り込んだ。


「ひーくん、もう大丈夫」


 メルがそう言うので床に降ろしたけど、足元がちょっと覚束ない感じだ。


「ひょええ、まだ揺れてるみたい」


「どうせ車に乗るんだし、ちょっと休んでて」


 そう言って僕は再びメルを抱き上げる。

 エレベーターはそのまま地下まで降りた。

 扉が開くとそこは駐車場になっていて、すでに車が用意されていた。

 日本最大手自動車メーカーの上位クラスの車だ。


「後部座席へ」


 言われるがままに乗り込んで、メルを座らせる。

 言った当人は助手席に乗り込んだ。


 ドアが閉まるのを待たずに車は発進する。


 危ないよ!


 僕は慌てて手を伸ばしてドアを閉めた。

 緊張度合いが米軍の比ではない。


「なにか状況が変わったんですか? 米軍はここまで緊迫していませんでしたが」


「米軍が日本の首都を空爆するかもしれない状況を緊迫していないとでも!?」


 運転手がきつめに言ってくる。


 確かに言われたらその通りだな。

 国防を任されている防衛省や自衛隊からすればたまったものではない。


「大丈夫です。少なくとも僕らの説得が失敗に終わるまでは空爆はありません」


「断言できるんですか!?」


「断言します。少なくとも僕らがいる間に現地を空爆するようなことはしない」


 結果的にではあるんだけど[死者蘇生]スキルの存在を匂わせたのが効いてくるよね。[死者蘇生]スキルについて詳細を知るまでは僕らを意図的に死なせるようなことは絶対にしないはずだ。


 とは言っても僕らが空爆で死ぬんかというと、結構微妙。

 爆弾の類いはレベル補正が乗らないから、戦闘態勢にさえ入っていれば大丈夫だと思うんだよね。

 もちろん空爆されないのが一番だ。


「なので現地についたら後は任せてください。しばらく姿を消しますが、必ず戻ってきますので」


 流石にレベル40前後が何人いるかもわからない拠点に僕とメルだけで突っ込んでいくようなことはしない。

 シャノンさんとエリスさんはマスト。

 できればロージアさんも。

 ニーナちゃんが来てくれたら心強い。


 ヴィーシャさんは、巻き込まれで死んじゃいそうだから今回はパスです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ