表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第2章 異世界と交易しよう

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/540

第50話 カラオケに行こう

 僕は駅の駐輪場に自転車を置いて、吉田くんたちと一緒に電車に乗った。この駅周辺にはカラオケスナックはあっても、高校生が入れるようなカラオケ屋は無い。大和八木駅まで移動して、駅前のカラオケ屋に入る。ドリンクバー付きの3時間コースだ。


 7人でちょっと手狭感のある部屋に入ると、手慣れた様子で永井さんと今村さんがタブレット型の端末を操作する。僕はどこに座っていいのか分からずにちょっと立ち尽くした。


「あはは、柊っち、なにやってんの。ここ座りなよ」


 僕の様子に気が付いた今村さんが自分の席の隣をポンポンと叩いた。え、女子の隣なんて座っちゃっていいのかな? でも躊躇したら今村さんに悪いし、ええい。


「じゃ、お邪魔します」


「お邪魔しますだって。職員室に入るときかよ」


 今村さんがケラケラと笑う。


「えー、じゃああたしたち先生?」


「沙喜が教師ってガラかよ。ウケる」


 そんな間にも曲の受け付けは終わって、僕でも聞いたことのある有名曲のイントロが流れ出す。永井さんが素早くマイクを手に取って歌い出す。上手い。歌い慣れているのだろう。


 永井さんが歌っている間にもタブレットは皆の間を一回りして僕のところにやってきた。タブレットの端末はスマホと同じような操作で大丈夫のようだ。画面をタッチしたら反応する。うーん、歌うのか。で、誰でも知ってる曲となると……。


 僕はちょっと前の流行曲を入力する。最新曲は正直、ちょっと抑えていない。サビくらいは分かるが、それ以外のところを歌える自信が無い。いや、この曲にしたってカラオケで歌ったことは無いんだけど。


 永井さんの曲が終わって、今村さんが歌い出す。彼女も上手い。このままでは僕はさらし者になるのではないだろうかと思っていたが、森本くんの順番になって、有名曲を勢いだけで音を外しながら歌う彼を見て少し安心する。


「柊クンさあ、変わったよね」


 森本くんが歌っているのに今村さんが話しかけてくる。別に歌っている間に話をするのはルール違反では無いようだ。まあ、そうでもなきゃ3時間歌ってるか、聞いているだけになるもんな。


 しかし声を届けるためだろうが、今村さんは僕に身を寄せていていて、その距離感に僕の心臓が跳ねる。メルほどではないが、今村さんも十分可愛い女の子だ。明るくした髪色と、ウェーブした髪に着崩した制服の着こなしでギャルっぽい見た目だから僕には苦手意識があるけれど。


「そうかな?」


「前はめっちゃオドオドしてたのに、今はオドくらいになってんじゃん」


「オドはしてるんだ」


 まあ、人間そう簡単に変わったりはしない。僕には簡単ではない出来事があったけれど、根っから変わるというわけではないだろう。


「してるしてる。でも檜山たちから絡まれたとき、堂々と受け答えしてたじゃん。それどころか煽るようなことまで言ってさ、すごく印象に残ってるんだよね」


「聞こえてたんだ。まあ、あそこで殴ってくれたら話は早いのにな、とは思ったよ」


「そこが不思議なんだよね。柊クン、別に強くなったワケじゃないじゃん。ダンジョンでミミックに食べられて、クソーッてなったのは分かるよ。でも勝てるワケじゃないじゃん」


「勝てる勝てないじゃなくて、こいつに手出しすると痛い目を見るって思わせたかっただけだしね。そしたらもう絡んでこないだろうし」


「実際、絡まれなくなったもんね。時々、凄い顔で柊クンのこと睨んでるけど」


「結構クラスの様子を見てるんだね」


 カーストトップの彼女たちは雲の上の存在で、下界のことになど興味がないのかと思っていた。


「そりゃね。クラスがどうなってるかって把握しとかなきゃ怖いし」


「怖い?」


「あたしの今の注目株は柊クンだよ。ううん。あたしだけじゃないかな。クラス中が柊クンに注目してる」


「僕に? どうして?」


「檜山グループはクラスをまとめていたわけじゃないけど、発言力があった。多分クラスの中では一番レベルも高いしね。その檜山グループがぼっちの柊クンと揉めて、一方的に叩きのめしたならいいけど、痛み分けみたいな感じになったワケじゃん。とーぜん、檜山グループの発言力は下がって、柊クンは注目されるワケ。つまり柊クンがグループを作れば檜山グループの上に行くかも知れないって」


「そんなこと考えたこともなかったよ」


「檜山グループの下にいたグループでは柊クンを入れたいって考えてるし、その下剋上を怖がってる上のグループだってそう。うちのクラスは絶賛柊ブーム中なんだよ」


「じゃあ、今日のこれは僕をグループに入れたいってことなの?」


「うーん、期待させちゃってたら悪いんだけど、うちらはそうでもないかな。でも柊クンがどんな人かは興味があったんだよ。今日のはそういうお誘い」


「なるほど」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ