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ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第8章 輝ける星々とその守護者について

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第499話 終わりと始まりの話をしよう

「打ち上げ……」


 咲良社長に中を確かめてもらってから入った控え室は、死屍累々といった様子だった。

 それでもみんな打ち上げをやりたいと言っている。

 まあ、今日のライブの反省会をすぐにやりたくはあるよね。

 色んな意味ですごくて、色んな意味でやってはいけないことのオンパレードだったもん。


「みんな、ヒロくんは今後もお手伝いをしてくれるそうです。今ほどではないけど、今日で最後というわけでもないわ」


「じゃあ帰る」


「本当に疲れたよ。早くシャワーを浴びて寝たい」


「さすがに今夜は一人で寝たいです」


「もうむりぽです」


「ガッ」


 え? なに? みんな僕とのお別れだと思ってたから打ち上げ行きたかったわけ?


 自意識過剰ではないはずだ。

 僕は彼女たちにとってそれだけ大事な存在になれたということだ。

 なりすぎたな。問題があるくらいに。


「じゃあ打ち上げは明日?」


「明日は僕の都合が悪いんだ。朝からずっと用事がある」


 午前中は歌舞伎町の代筆屋のところで湧水の魔術を伝授しなければいけないし、午後はアーリアでヴィーシャさんをどうするのかメルを連れていって話をしなければならない。


「明後日は学校が始まるわよね?」


「はい」


 そうなんだよな。鳴海カノン以外は高校生以下で、9月1日からは学校がある。


「1日は金曜日ですし、夕方からでいいのでは?」


「ちょっとその辺も用事が入る可能性がありましてね」


「もうこいつハブって明日打ち上げすればいいんじゃない? そもそも臨時マネージャーっていうほど仕事した?」


 裏では色々やってるんですけど、表ではほとんどなにもしてないですね。

 鳴海カノンの借金問題解決、白河ユイの家族による支配からの解放、九重ユラを甘やかすと誓い、小鳥遊ユウの性自認の再確認。橘メイは……むしろ足を引っ張っただけか。

 そりゃなにもしてないと思われますよね。


「じゃあ僕は行けたら行くということで」


「絶対来ないやつだ」


「行きたいとは思ってるよ。誰かさんに説教しないといけないし」


「それは私がやっておくからいいわよ。ヒロくんの臨時マネージャー期間は今日までなんだから、明日からは……そうね、この子たちの友だちとして助けてあげてくれないかしら?」


「友だち料として無償の労働をしろということですね」


「なんだこいつ、発想が最低すぎる」


 それは僕にそういう発想を植え付けた檜山たちに言ってくれない?


「というか、ブリギットはヒロくんに負債があるような状態だから、お金を返すまで逃がさないわよ」


 債務者が債権者を逃がさないって変じゃない? 普通は逃げようとするものでは?


「逃げるつもりはないですし、僕を経営陣に入れてくれてもいいんですよ」


「それは怖いからヤダ」


 ヤダっていい大人なんだから。


「それになんだかんだ期限付きって約束じゃないの。もっと大きい事務所にステップアップしていくって言ってたでしょ」


「あー」


 最初の最初にそういう話をしたなあ。

 もちろんその選択肢は生きている。

 僕らの最優先目標はメルを有名にして発言力を得ることだから、テレビ局などに太いパイプを持つ事務所とつながりを持ったほうがいいに違いない。


「それはそれとしてブリギットと関係を絶つつもりもないって話してましたよね」


「確かにそうだったわね。まったく……あなたたちの険しい道を舗装路に変えてあげるみたいなことを言ったんだったかしら? いま考えると恥ずかしすぎる。あなたたちは空を飛べるんだから」


「だとしても咲良社長は滑走路になってくれました。あなたと出会わなければ、こんな短期間にオリヴィアをここまで有名にはできなかったはずです」


「それも時間の問題だったとは思うけど」


「その時間こそ価値のあるものなんです」


 時間は金で買えるが、その価格は決して安くない。


「それに僕はまだまだ咲良社長のお世話になるつもりですよ。咲良社長にとって僕らは守る対象、でしたよね?」


「あなた、ずるいわよ。それは」


 そう言って未来ある子どもたちの守護者は、花伝咲良は大げさにため息をついた。


 これは僕らが輝ける星々の守護者と出会ったときの話で、彼女との関係は思っていたよりもずっと長く続くことになる。

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