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ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第2章 異世界と交易しよう

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第44話 日本で晩ご飯を食べよう

 借りた部屋に1人で戻ってきた僕はショートソードを部屋に置いて、靴を脱いでから日本へとキャラクターデータコンバートする。


 自室に靴を手に戻ってきた僕はそっと廊下の様子を覗って玄関に靴を戻しに行った。部屋に戻った僕は勉強机の椅子に座り、大きく息を吐いた。


 だがまだ気持ちを緩めることはできない。僕は気を引き締め直す。時計を確認すると18時45分を少し過ぎたところだ。我が家では平日こそ遅くなりがちだが、休日は19時に合わせて夕食になる。


 ギリギリ間に合ったというところだ。19時を過ぎたら母さんから電話で居場所の確認が入るところだった。もちろんあちらの世界に電波が届いているはずもなく、電源を切っているか、電波の届かないうんぬんというアナウンスが流れるだろう。


 よもやダンジョンに行っているとは思われないだろうが、疑われはするだろう。そうすると僕の行動に監視とまではいかなくとも注意されて身動きが取りづらくなるに違いない。


 少しでも良い子の振りをするために僕は教科書を開いて目を通した。勉強に追い付かなくてはならないのも事実だ。


 そうしているうちに19時を回って水琴が部屋に僕を呼びにきた。


「お兄ちゃん、ご飯だよー!」


「分かった。すぐ行くよ」


 僕は教科書を閉じて立ち上がる。2階のリビングに行くと配膳はまだ終わっていないので、手伝うために僕はキッチンに入った。


「和也、今日はどこに行ってたの? お昼にいなかったからびっくりしたわよ。まさかダンジョンに行ってたんじゃないわよね?」


「まさか、橿原ダンジョンはもうこりごりだって。行方不明で友達に心配かけちゃったから会って説明してたんだ」


「ならいいけど、今度から出かけるときは何処に行くのか知らせておいてね」


「分かった。そうするよ」


「それからアンタ勉強もしないと駄目よ。遅れちゃってるんだから」


「分かってるって。明日は1日家で勉強してるよ」


「明日はお父さんとゴルフだからご飯は自分でどうとでもしなさいね」


「りょーかい」


 ご飯だけ食べにあっちに行っても良いかも知れない。ついでに鍛冶屋で合鍵も作ってもらおうかな。そういえばメルの働いている酒場はお昼も営業してるんだっけ。メルが辞めちゃったら給仕姿も見れなくなるし、一度行ってみてもいいかも。私服にエプロンだって言ってたけどね。


 アーリアの食事事情は日本と比べると貧しい。一般市民に出回っている調味料は塩くらいで、他の調味料はお祝い事でもない限り手が出せる値段ではない。後は素材の味だけだ。


 その素材にしても味が粗雑だ。野菜は青臭くえぐみがあり、肉は臭い。


「いただきます」


 こうして日本の食事を口にすると、品種改良のありがたさがよく分かる。だけど一方でアーリアの食事を懐かしくも感じる。あれはあれでなんかいいんだよなあ。不思議だ。


 食事を終えた僕は部屋に戻り、勉強の続きを再開はせずに筋トレをして過ごした。腕立て腹筋スクワット、今日はあまり運動をしていないので筋肉が寂しがっている。


「お兄ちゃん、お風呂空いたよって、なにやってるの!?」


「なにって筋トレだけど?」


「お兄ちゃんが筋トレしてるところなんて初めて見たよ! どんな気まぐれ!?」


「僕だって筋トレくらい……、いや、あんまりしたことないかな」


「別にいいけど、良いことなんだけど、三日坊主にならないようにね」


「これくらい大したことないぞ」


「めっちゃ汗かいてるのに!?」


 製材所で働き過ぎたせいか、もっと追い詰めないと筋肉が満足しないんだよね。正直、自分の体重を負荷にしたレベルの筋トレでは温すぎる。回数で誤魔化すか。


「僕はもうちょっと筋トレするからお父さんかお母さんが入ってなかったら先に入ってもらって」


「分かったけど、お勉強もしなきゃだよ」


「ハッハッハッ、お前には言われたくないな」


 ソフトテニスの部活に夢中で勉強が疎かになっているのは知っているぞ。


 水琴は怪訝な顔をしながらも部屋を出て行く。


 僕は満足行くまで筋トレして風呂に入って寝た。勉強は忘れてた。

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