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ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第8章 輝ける星々とその守護者について

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第431話 作戦会議をする

 ブリギットに戻った僕らはまず会議室に向かった。

 会議室ではステラリアのメンバーが全員揃っていて思い思いに時間を潰している。


「どうだった?」


 とスマホから顔を上げて聞いてきたのは橘メイ。

 僕は首を横に振る。


「雑誌の発売は止められない。あの記事は日の目を見ることになる」


 橘メイはそれを聞いて、ふんと鼻を鳴らした。


「つまり私に彼氏がいる世界線が選ばれたのね」


「そういうことではないよ!」


 最悪、彼氏がいたことになったとしても過去形だ。

 僕は君を振ったのだから。


「それでどうするの? あんたのことだからなにか考えてるんでしょ」


 あ、良かった。ちゃんと振られた後の橘メイだ。


「僕のアイデアではないけれど、雑誌に先回りして事情を説明する配信をしようかと考えてる」


「付き合ってる人がいます、って?」


「そんなことしたら大炎上だよ!」


 僕が思わず叫ぶと、鳴海カノンがテーブル上ににゅっと突き出てくる。


「いま付き合っていることは認めましたか?」


 時々都市伝説(SCP)みたいになるのやめてもらっていい?


「付き合ってもいないよ」


 いつものやりとり。

 もしかして鳴海カノンは場を和ませるためにわざと演じたのだろうか?


 だとしてもホラーっぽいのはやめていただきたい。


「はいはい。時間がないの。メイはすぐに謝罪配信の告知を打って。明日には広告が出ることを考えると、今晩やらないと間に合わない」


 パンパンと手を叩いて、咲良社長が空気を引き締める。


「謝罪? なんか謝罪することある? 嘘つき週刊誌の断罪配信じゃないの?」


 こんなすぐにケンカ腰になるアイドルが宇宙一可愛いを自称してるのおかしい。だけど外見はマジで宇宙一可愛いから反則だ。


「こういう時はファンを不安にさせたことについて謝るの。要点は、写真週刊誌にマネージャーとホテルに入るところを写真に撮られて憶測記事を書かれたこと。ステラリアのマネージャーが産休で一時的に男性に替わっていたこと。打ち合わせを嫌がった結果、ホテルに引っ張り込まれ、それが手を繋いでホテルに入るように見える状況になったこと。記事の憶測部分は完全に間違っていること。いいわね。ちゃんと説明するのよ」


「ん、分かった。とりあえず告知打つわ」


 橘メイはスマホを取り出して操作し始める。


「みんなもメイが今晩配信することを告知してあげて。配信開始は22時予定よ」


 それぞれがアイドルとしてのアカウントから告知をするためスマホを手に取った。

 咲良社長もスマホを取りだしたけど、多分ステラリア公式アカウントを使うんだろう。


「オリヴィア、君のアカウントでも告知するよ」


「うん。お願い」


 オリヴィアのSNSアカウントは基本的に僕が運用している。

 メルが撮ってきた写真を使うこともあるけど、文面などは僕が考えている。


「作業しながら聞いて。メイの配信をオリヴィアさんにミラー配信してもらいます。幸いコラボ配信をしたことのある二人だから、それほど不自然じゃない。これなら記者会見をするより効果的だと思う。ネット系ニュースメディアが記事にするかもしれないけど、大元が私たちの主張だから、否定的にはなりにくいはずよ」


 スマホの画面上で指を走らせたまま、咲良社長は続ける。


「それでも週刊誌の発売翌日だからライブはかなりの逆風になる。よくない野次が飛ぶ恐れもある。心の準備をしておいてほしい」


「22時はちょっと遅くないですか? 20時や21時のほうが視聴者が多いと思います」


 白河ユイの冷静な指摘が入る。


「オリヴィアさんが配信するためのスタジオがその時間でしか押さえられなかったの」


 実際にはどのスタジオも満杯で、取れる枠なんてなかった。

 生配信ではなく、動画の撮影をするという枠の利用者に片っ端から咲良社長があたって、なんとか譲ってもらったというのが真相だ。

 もちろん謝礼金は僕のポケットマネーではずむことにはなったけれど。


「それでもあんまり時間があるとは言えないわ。メイはすぐに自宅に戻って配信の準備。台本はメールで送るからよろしく」


「分かったわ。じゃあ先に帰るわよ」


 カバンを手に橘メイは帽子を被ると会議室を出ていく。

 それを見送って咲良社長は会議室の面々を見回した。


「みんなはメイの配信に合わせてSNSで発信してほしい。タイミング等は特に指定しないわ。台本感をあまりだしたくないの。お願いね。ユラ、あなたのは私がやるから」


「任せるのは任せろー」


 九重ユラがスマホをずいと差しだした。

 それを咲良社長が慣れた手つきで受け取る。


「ユウ、悪いけどユラのお守りをお願い」


「しょうがないなあ。社長はヒロくんたちと?」


「というか、オリヴィアさんとね。私の名前を使って横取りしたスタジオなんで顔を出さないわけにはいかないのよ」


「了解。任せて」


 レベルの上がった小鳥遊ユウなら、九重ユラに負ける要素はないので大丈夫だ。

 軽々抱っこだってしてみせるだろう。


「正直に言います。分の悪い戦いよ。ライブの空気が悪くなるのは避けられない。最高の状態でライブに臨めるようにできなかった私の責任です」


「いえ、咲良社長、この写真は100パー僕が悪くて――」


「それはそうね」


「はい、そうです」


 被せて肯定されるとは思わなかったな。


「だからヒロくんには配信の裏でやってもらいたいことがあります」


 おっと、打ち合わせにない要素が出てきたな。

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