表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第8章 輝ける星々とその守護者について

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

426/550

第421話 アーリアにも民族衣装がある

 腹を満たした僕らはぶらぶらと市場を歩いて回る。

 一番多いのは食料品の店だけれども、それに次いで多いのが武具の店だ。ここらへんはいかにもダンジョンの町という感じがする。

 それから古着。靴、装飾品、という感じだろうか。


 もちろん橘メイは装飾品の類いに吸い込まれていった。

 アーリアの屋台でよく売られている装飾品は、削った木片に穴を開け、色をつけてビーズのネックレスのようにしたものだ。ネックレスというより首飾り? なんというか民族色が濃い感じのやつ。

 色合いは彩度が低く、地味に見えるけれど、これは染料の問題だろう。

 彩度の高い染料は高級品だったはずだ。


 橘メイがキャッキャと物色している横で、僕は首飾りの隣、ほんの一角に並んだ石ころに気付いた。


「こっちは?」


 店番をしている少年に訊ねると、少年はついと目を逸らした。


「その、綺麗だなって思った石を売ってるんだ」


 その態度から察するに店主には無断なんだろうね。その分の売り上げは100%少年の懐に入るというわけだ。

 しかしキラキラとした輝きが混じった石ころは実際に価値を感じさせる。


 レベルアップボーナスでは鑑定スキルが選択肢に出てこなかったので選べなかったけれど、今からでもスキル取得に向けて訓練を積んでおくべきだろうか。


「結構いいものに見えるね。鑑定スキルがあれば良かったんだけど。ちなみにこれいくら?」


 この店はまったく値札が出ていないので、何を買うにしてもこの少年との交渉になる。


「銀貨1枚、と、言いたいところだけど銅貨で30枚にまけておくよ」


 今のレートどれくらいだっけ?

 もうしばらく銅貨銀貨の交換レートを確認していない。

 覚えているのが銀貨1枚を崩して銅貨32枚だっけ。

 それだとほとんどまけてないんだよなあ。


「銅貨を30枚は持ってないな。銀貨からお釣りはもらえる?」


「銀貨での支払いなら、釣りは無し!」


「じゃあ別にいっか」


「わぁ! 待って! こっちのお姉ちゃんがなにか買ってくれたら、うまいこと帳尻合わせるからさ」


「だ、そうだけど、なにか欲しいものあった?」


「ん~、綺麗だし、面白いとは思うんだけど、合わせる服がね……」


 そうだよね。こっちの民族衣装に合わせるための首飾りみたいなもんだし、アーリアの普段着とも合わない。使われるにしても祭りの時くらいじゃないかな?


「おにーさんたち他所から来た人だろ。土産物にはなるんじゃないの?」


「ああ、壁に飾っとくとかはありかもなあ」


 父さんと母さんの部屋には旅行先で買ったという三角形の旗がいくつも飾られてたっけ。あんな感じで思い出を物にしておくというのはいい考えだと思う。


「どう? 似合う?」


 胸元に首飾りを当てて橘メイが聞いてくる。

 いいとは思うんだけど、致命的に服と合わないな。

 僕は頭の中で橘メイにアーリアの民族衣装を着せてみる。


「うん。いいよ。すごく似合ってる。それを買おう」


 キラキラした石とまとめて支払い、商品を受け取る。

 橘メイはさっそく首飾りをつけていた。

 まあ、包装紙とかないし、持ち運ぶより付けちゃうのが一番楽だというのはある。


 ただ僕が贈った星のペンダントも付けてるから、装飾過剰だよね。


 観光の町ではないけれどすっかりお上りさんっぽくなった橘メイを連れて、もうしばらく市場をうろついた後、僕らは待たせていた馬車に戻る。


 続いては商店のある通りだ。

 アーリアで新品の衣服というと基本的に仕立てるものなんだけど、事情込みで売られている既製品もある。

 こういう店はだいたいツケ払いだから、客が支払えなかった服を見本として店頭に出すということがあるのだ。それも結構な頻度で。

 だけど服のサイズが選べるほどではないから、それがぴったり体に合うかというと――。


「ねぇねぇ、これどう?」


 あるんだよなあ。持ってるなあ。橘メイ。

 アーリアの民族衣装を着て、装飾品を付けた橘メイは、神々しささえ感じさせる。


「似合いすぎてて怖い」


「それ褒め言葉なの?」


「とてもよくお似合いですよ」


 店員さんからフォローが入る。

 買ってもいいんだけど、本当の本当に着るタイミングがどこにもないな。

 ステラリアの新衣装として全員分揃えたとしても、この民族調の服に合う曲がない。


「もっと普段着みたいなのはありますか?」


「えー、これ欲しい」


「じゃあそれも買うんで、今このまま外に出て歩けるような服があれば助かるんですが」


 量産型女子大生外出着はちょっと目立ちすぎる。


 そして……、


「うーん、まあ、よしとしましょ」


 そっちもあるんかい!


「なんか最近破産したか、しそうな商家のご令嬢にでも、彼女と同じ体型の人がいるんですか?」


「それは流石にお伝えできかねます」


 そりゃそうだ。あの家の資金が尽きたんじゃないかという噂が流れたら最後、取り付け騒ぎになって、潰れそうな家が、本当に潰れてしまう。

 その噂の出所がこの店ということになれば、恨みを買ってしまうだろう。


 なんとかアーリアで異様さを感じさせない姿になった橘メイを連れて店を後にする。

 まあ、馬車移動の時点でくっそ目立つんですけどね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
>それほとんどまけてない 貨幣の繰り上がりが良く分からんから、描写が分からん。 銀貨1枚=銅貨何枚なのよ? 過去の話見直せば分かるんだろうけど、それはちょっとメンドイよね…… 普通に銀貨1枚=銅貨10…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ